第34話「恋文」

楽しい休日も終わり、週明けの学校。放課後の教室。

元親「お? どうした佐助。頬杖なんぞついてぼーっとしやがって」
佐助「…あれ」
元親「あれ?」
佐助「あの2人」(顎でしゃくり、隣の幸村、その後ろの席の政宗を指す)
元親「…こいつらがどうかしたのか?」
佐助「いやぁ〜べーつに。ただ、あんだけ大騒ぎしといて今のこの仲良しさんっぷり。ほんっと、人騒がせな連中だなあって」
元親「んん? ハハハッ! まぁ、そうかもなあ! だが、いいんじゃねえ? あのウジウジした幸村ずっと見んのも、こっちも勘弁ってとこだったしよ!」
幸村「ん…? 元親殿、今、某を呼ばれましたか?」←政宗との話に夢中でようやく今気づいた
元親「あぁ? ハハ、何でもねーよ。お前ら、仲いいよなあって話だ」
幸村「! はいっ! 某と政宗殿は、仲が良いでござる!!」(キラキラ〜)
政宗「っと…。お前は…面と向かってそれは…(苦笑)」
幸村「あ…も、申し訳ござらん、つい調子に乗って…。政宗殿は、まだ某とそれほど仲良しでは…」
政宗「あー、違う違うっ。仲良しだ仲良し! だからンな顔するなって【焦】!!」
元親「……何だお前ら【呆】」
佐助「うひゃー、もう。痒い痒いッ」←わざとらしくぽりぽり腕を掻く仕草を見せる佐助
元就「ふん、くだらぬ」←そ知らぬ顔で読書


慶次「はーい! お待たせしたねえ、前田慶次、参上〜ッ!!」(ババン!!)


一同「しーん……」
慶次「ん!? ちょ、ちょっとちょっと何なんだよぉ、折角皆の慶次様が意気揚々と登場したってえのに! んな湿気たツラしてちゃあ、女の子たちも逃げちまうよ!?」
元親「テメエ、うぜー。消えろ」
元就「騒がしい」
佐助「そもそも、アンタの茶々がなかったら、この2人だってもっと早く仲直り出来たっての」
政宗「お前はいちいち煩ェしな」
慶次「ひ、ひでえ〜! 何なんだよもう! A組の皆さんはホント、ノリが悪いなぁ! 幸村ァ、お前は違うよな!? 俺を歓迎してくれっだろう!?」
幸村「あ、あの…慶次殿、して、今日はどのような御用向きで…?」
慶次「さっすが幸村ッ! よくぞ聞いてくれたぜい! …つっても、悪い! 今日俺が用あるのは、そこの独眼竜だけなんだけどサ!」
政宗「はぁ…? 俺?」
元親「むかつくな。こんだけ騒いどいて俺らは無視か」
慶次「まあまあ、チカちゃんにも今度オイシイ話持ってきてやっから! ワイルドでアニキ分なチカちゃんはカッコ可愛いって、女の子のファンもたっくさんいるから♪」
元親「ケッ! 俺ァ、んなナンパなもんに興味なんざねーよ! ……お、俺が興味あるのは……」(ちらちらと元就に視線アピール)
元就「無視」
政宗「で? 俺に何の用なんだ? またあのくだらねェ合コンだか何だかの話なら聞かねーぞ」
慶次「えーっ。それも予定としてはいっぱいあるんだけど…! ま、まあ今日はそれは置いておいてもいいや。実はコレ! 最重要任務として俺が直々に託されましてねえ」
一同「………」


慶次が政宗の机の上に差し出したものを皆が顔を寄せ合ってじっと注目。


政宗「…何だこりゃ」
慶次「何って。こりゃ、どう〜見ても恋文! ラブレターでしょう!!」
幸村「!!」
元親「ちっくしょう…! 何でコイツばっかこういうの貰ってんだよ…!」←興味ないんじゃなかったのか
元就「……恋文? 我にはそういう風には見えないが」
佐助「そだね。何か、ラブレターって言うには、この封筒ちょっと地味だし。表に何も書いてないし。どっちかって言うと、果たし状?みたいな?」
慶次「な、何言ってんだよ、俺に託してきたものがそんな物騒なもんのわけないだろう? これは! れっきとしたラブレターだって!!」
元親「じゃあ誰から預かってきたもんなんだよ、これ」
慶次「えー…。一応個人のプライバシーの問題だしなぁ」
元親「何がプライバシーだ! 普段そんなもんと1番縁遠そうな顔しやがって! さっさと言え!」
元就「言え」
佐助「教えて教えて!」
慶次「な、何なんだよもう〜。ったく、しょうがねえなあ…じゃあここだけの話だぞ? 内緒だぞ? これは。我がクラスのマドンナ、かすがちゃんから!」
佐助「な…!」
元親「かすがぁ…? あぁ、あのキンキンした姐ちゃんか。あいつ、ちょっとやばくねえ? 確かに美人だけどよぉ、色んな意味でギリギリっつーか…」
元就「だが、確かに見目はいいな」
元親「な…! ま、まさか、元就はああいうのがタイプとかってんじゃ…!?」
元就「だとしたらどうだと言うのだ。貴様には何の関係もあるまい」
元親「な…! も、元就、本当に?」
元就「して、政宗。一体何が書いてあるのだ?」←元親で遊ぶのが好き
政宗「ん…? あぁ、お前らが勝手に盛り上がってるからまだ見てねーけど。やっぱ開けた方がいいのか?」
元親「ったりめーだろうがッ! さっさと開けろ! んで、かすがでも何でもいいから付き合っちまえ!」
佐助「アンタって人は…」
幸村「………」
政宗「何だってお前が熱くなってんだよ…」(面倒臭そうに元親を見る)
元親「いいから開けろ〜!」
慶次「ストップ! ちょっと! 幾ら何でも、女の子が一生懸命書いた恋文を他の男が一緒に見るなんて無粋過ぎるぜ! それだけは俺も見過ごしちゃおけねーな!」
元親「んだとお!」
慶次「政宗! 頼むから、それは後で1人の時に見てやってくれよ。かすがちゃんだって、よくよく悩んでそれを書いたと思うんだ。何せ最近本当元気なくってさぁ、いつも思いつめたような顔してアンタの事目で追ってたんだぜ?」
政宗「ホントかよ…。俺、そういうのは結構気づく方なんだがな」
幸村「気づく方なのですか?」
政宗「ん?」
佐助「!」
幸村「政宗殿は……、その、前の学校でも、このような事が多かったのですか?」
政宗「あ…? あ、ああ、まあな。時々な」
元親「何が時々だ! テメエ、それは遠まわしな自慢かあ! どうせ俺は全然貰った事ねーよ!」
慶次「え。マジで? そりゃ意外だな」
元就「女子もバカではないという事だな」
元親「も、元就、そりゃどういう意味……」←色々ダメージ中
幸村「ま、政宗殿はっ! そ、その! その、かすが殿と付き合うのですか!?」
政宗「はあ…? あのなあ、俺はその女とは口もきいた事ねーんだぞ…」
佐助「そ、そうだよねえ? そんな、そ、それにそれがラブレターとは決まってないし!」
元就「何をどもっておるのだ猿飛」(ニヤリ)
佐助「べ、別に…」
幸村「……そ、某、今日はこれにて失礼します…」(ガタリと席を立ち、足早に教室を出て行こうとする幸村)
政宗「おい…」
慶次「ん? おーい幸村どうした? 何か青褪めてなかったかい? もしかして幸村、かすがちゃんに気があったのかなぁ」
政宗「! …そうなのか?」
慶次「そりゃあねえ、かすがちゃんは本当に別嬪だからよ。俺たちのクラスの男子は皆狙ってるって言っても過言じゃねえよ! そんな美人からラブレターなんて、憎いねえ、よっ、この色男!」
佐助「だから! まだラブレターって決まってないでしょが!!」
政宗「……幸村」(幸村の去っていった方向を見つめる政宗)




つづく



戻る