11月17日(土)〜こんなに寒い日なのに〜


龍麻「…………あ」(やってきた相手に茫然となる)

醍醐「ハアハア…。す、すまん、龍麻。遅れてしまった。待ったか?」(息せききってやってきた)

龍麻「………醍醐」

醍醐「ど、どうした龍麻? その…怒っているのか?」

龍麻「わーん!! 醍醐ー!!!」(抱きつき縋りつき泣きじゃくり!!)

醍醐「!!? た、龍麻ッ!? 一体どうしたんだ!?」(龍麻の背中に腕を回していいものかどうか迷う醍醐)


龍麻「ううう〜…何でもないんだ…。ただ今日はお前なのかと思うと、俺すっごく嬉しくって…」(ぐすぐすと泣き虫さんになる龍麻)


醍醐「……昨日の奴がお前に何かひどい事をしたのか?」(内に燃える怒りの炎)


龍麻「……言いたくない。なあ、醍醐。醍醐は俺が嫌がる事はしないよな?」(甘えモード全開の龍麻。どうやら醍醐にはかなり心を許している模様)


醍醐「……ああ、勿論だ。俺はお前が嫌がる事はしないさ。今日は嫌な事は全部忘れろ。俺がずっと……一緒だ」

龍麻「うんッ!! へへ、俺嬉しいよッ!!」


醍醐「…………」(くらりと目眩を感じる醍醐)←かわいそう


龍麻「えーと、じゃあこれから何処行く? 醍醐、決めてきた?」


醍醐「あ、ああ、一応な。俺は他の奴らと違って気が利かんので、お前を喜ばす所と言ってすぐには思いつかなかったんだが」


龍麻「いいよ、醍醐が行きたい所なら、何処でもさ。何? プロレスとか?」(にっこり)


醍醐「……ッ!! た、龍麻、その、お前―」(赤面)

龍麻「んー、何?」


醍醐「い、いや…何でもない」(奴らの暴走ぶりも…コイツにもそれなりに責任があるような気がする…)



―移動後―



龍麻「へえ、K−1かあ。俺、初めてだよ!」(物珍しそうに会場を見渡す)


醍醐「その、退屈じゃないか? 俺の趣味を押し付けてしまって…」


龍麻「ええ? 全然平気だよ。俺もこういうの1回観てみたかったし! でも醍醐は格闘技がホントに好きなんだな!」


醍醐「ん? あ、ああ、そりゃあな! 自分の力の限界点ってやつを、俺は死ぬまで追求し続けたいと思っている! その意味ではプロレスにしても、こういった異種格闘技にしても、俺には自分を試す絶好の場さ」


龍麻「…………」


醍醐「!! あ、す、すまん。何だか一人で勝手に熱くなってしまったな…ッ。こんな話…つまらんか?」


龍麻「んーん。逆だよ。醍醐ってカッコいいなあって思ってさ」


醍醐「た、龍麻?」(見つめられて焦りまくる醍醐)


龍麻「へへ! 醍醐がプロレスラーになったらすっごい人気出るだろうな! それこそ、男にも女にもさ!」


醍醐「そ、そうか? お前にそう言われると…世辞でも嬉しいよ」


龍麻「ばっか、世辞なんかじゃないよ! 俺だって絶対ファンになる! そうだな、醍醐がプロになったら、俺お前のファン第一号なッ!」


醍醐「…………」(突然真顔になる醍醐)


龍麻「? 醍醐、どうかしたか?」


醍醐「龍麻。俺とお前は…そんな、ファンだとかそういう関係じゃないだろう? …少なくとも、俺はごめんだ」


龍麻「え? だ、醍醐…?」


醍醐「俺は、お前にとって……そんな存在ではいたくない」(視線を逸らす醍醐)

龍麻「………ご、ごめん。醍醐、俺―」


―しかし、龍麻が何事が言おうとした瞬間、会場が選手入場で騒然となり、2人の会話はそこで途切れた―


―数時間後。試合も全消化されて―


龍麻「わ…ッ! さすがにこの時間って冷えるな…ッ」(外の寒い空気と風に体を丸める龍麻)


醍醐「俺もだが、龍麻もまだ薄着だな」

龍麻「だってまだコートには早いだろ? へへ、黄龍様は風の子だからねッ」

醍醐「フッ。風の子の割には寒そうだぞ? ……そうだ、龍麻」


龍麻「んー、何? ……って、わ…ッ」(振り返って醍醐を見るや否や抱きとめられる龍麻)


醍醐「……俺は……図体がでかいのだけが取り柄だからな」(ちょっと困った顔をしつつも、龍麻の肩をぎゅっと抱く)


龍麻「馬鹿、そんな事ないよ。でも…すっげーあったかい。サンキュ、醍醐」(醍醐の身体にそのまま寄り添う龍麻)


醍醐「龍麻、今日は楽しかった。また…こうやって会ってくれるか…?」

龍麻「ん…そんなの当たり前だよ。俺たち、友達だろ?」

醍醐「……ああ。ああ、そうだな。俺たちは―」



アンコ「……ど、どうしよう、シリアスだわ(汗)。ダークホース出現かしら…ッ」(パシャパシャと写真を撮る)←電信柱の影から



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