11月18日(日)〜流星に願いをこめて〜


霧島「あ、こんにちは、龍麻先輩ッ!!」(キラキラキラリン!)

龍麻「あ、今日は霧島なんだ。ごめん、待ったか?」

霧島「いいえ、大丈夫です! 僕が勝手に早く来過ぎただけですから。ははっ、僕、今日は龍麻先輩と会えると思ったら嬉しくていてもたってもいられなくて。昨夜は夜中に何度も目が覚めちゃいました」

龍麻「大袈裟だなあ。しょっちゅう会ってるじゃないか」

霧島「そんな事ないですよ! 実際は僕が龍麻先輩と会いたいと思っている半分も会えてないんですから!!」(ずずいと詰め寄る)

龍麻「そ、そうなのか? な、なら遠慮しないで会いにくればいいのに」(たじたじ)


霧島「そうしたいですけど…」(表情が翳る霧島)


龍麻「霧島…? そ、それじゃ、今日は思う存分2人で遊ぼうぜ! 何処へ行くか考えてきたか?」


霧島「あ、はい! でも龍麻先輩がこういうの興味あるか分からないですけど…」


龍麻「何だよ、そんな気を遣うなって! お前が行きたいって所だろ? 俺は何処でもいいんだからさ」

霧島「あ…はいっ! 龍麻先輩、ありがとうございますッ!!」(再びキラキラッ!)



―移動後―



龍麻「へえ〜、プラネタリウムかあ。懐かしい〜何年ぶりだろ」


霧島「龍麻先輩は星とか興味ありますか?」(座席につきながら)


龍麻「あ、悪い。実は興味はあんまりないんだ。でもさ、こういうのは悪くないよ? 静かで落ち着いた場所って好きだから」


霧島「良かった。本当はもっと豪華な食事とか買い物とか…そういうのがいいかなって思ったんですけど」

龍麻「あはは。ばっかだなあ、年下が何オトナぶったこと言ってんだよ。……大体、俺当分レストランって名のつく所には行きたくないんだ」(何かを思い出したように身震い)


霧島「そうなんですか? あ、そういえば先輩、今日は深夜にしし座流星群が見えるらしいんですよ、知ってましたか?」


龍麻「へ? あの3年前に大騒ぎされてたやつ? へえ、また見れるの? 実際俺は興味なくてその時も見なかったけど」


霧島「その年は日本では天候が悪くて、見たがってた人も見られなかったらしいですよ。でも今年は天気に恵まれるらしいんで。今日のこのプログラムでもこの流星群についての説明があるみたいなんですよ」


龍麻「へーえ。でも霧島、お前が星に興味あるなんて、ホントお前って見た目そのまんまの奴なんだな」


霧島「え? どういう意味ですか、それ?」(きょとん)


龍麻「えー? ん〜何かうまく言えないけどさ。純粋っていうか、ロマンチストっていうか」


霧島「嫌だなあ、龍麻先輩。それって誉めすぎですよ」(にっこり)


龍麻「馬鹿、ホントだって。…って…あ、始まる!」(急にライトが落とされ、場内が静かになる)


霧島「………龍麻先輩」(囁くように龍麻の耳元に唇を寄せる)


龍麻「ん? ……あ? き、霧島…ッ?(焦)」(不意に自分の手を握られて驚く龍麻)


霧島「すみません、今だけ……。こうさせて下さい、先輩……」(少し切なげに)


龍麻「き、霧島……」(困惑しつつも、その手を振り解けない龍麻)



―上映終了後。館内の展示物なども見物してから退館―



龍麻「…日が落ちるのが早くなったなあ。もう夕方だもんな」


霧島「龍麻先輩、今日は本当にどうもありがとうございました」(龍麻の一歩背後から頭を下げる霧島)


龍麻「……何だよ、そんな改まって。今日のお前、何か変だぞ?」(その場の空気を誤魔化すように振り返ってから苦笑する龍麻)


霧島「……先輩。また明日からも、こうやって違う人と会ったりするんですよね?」


龍麻「え? あ、ああ、そうみたいなんだよな。ホント迷惑な企画でさ……」

霧島「な、なら…ッ! もうここでやめてくれませんか? 僕で…終わりにしてくれませんかッ?」


龍麻「き、霧島……?」

霧島「!! す、すみません、こんな…。龍麻先輩が悪いんじゃないのに、勝手な事言って。僕だって、この事がなければこうやって先輩と会ったりできなかったくせに」

龍麻「そ、そんな事ないだろッ! 別にこんな企画なくたって、会いたい時は会えるし、遊びにだって…!」


霧島「……龍麻先輩は本当に優しいんですね」(自嘲的に笑んで視線を逸らす)

龍麻「な、何言ってんだよッ! そりゃ、中には別に会いたくもない奴も混じってるみたいだけど、霧島は別だよ! 俺はお前とこうやって会って星見れたこと、すごく嬉しかったと思ってるし。お前と無理してこうしてるわけじゃない! 絶対!」

霧島「龍麻先輩……本当に……?」(戸惑った風に)


龍麻「当たり前だろ! あ、そうだ。これからさ、一緒に流星群見よう? 俺、映像だけでなくって、本物の星も見たいって思ってたんだ」


霧島「ほ、本当ですか!? 龍麻先輩…ッ、僕、すごく嬉しいです!!」(抱きつき!!)


龍麻「うわ、よせって! はは、ホント仕方ない奴だな。よし、じゃあ行こ。何処か良い場所あるかな? 高い建物がない所がいいよな?」


霧島「龍麻先輩、僕、絶好の見物スポット知ってます! 人気がなくて静かでムード満点のところ!!」(ぎゅっと龍麻の手を握る)



アンコ「……龍麻クン……。完全に黒い悪魔に騙されてるわ……」(首を横に振ってため息)←ゴミ箱の影から



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