11月20日(火)〜可憐な少女が買いたい物は〜


龍麻「あれ? 雛乃ちゃん…?」

雛乃「あ、龍麻様。こんにちは」(ベンチに姿勢良く座っていた。にっこりと笑む)

龍麻「どうしたの、こんな所で? あ、今日は遠野の代わりか何かで俺を見張りに来たとか?」

雛乃「いいえ」

龍麻「え…じゃあ……」

雛乃「はい。龍麻様、今日は1日よろしくお願い致します」(深々と礼)


龍麻「え? ホントに今日の俺の相手、雛乃ちゃんなの? 女の子も来るんだあ…」(ぽけー)


雛乃「やはり龍麻様は殿方がお相手でないと乗り気にはなりませんでしょうか」(うっすらと笑みながら)


龍麻「な…! な、何言ってんだよ、雛乃ちゃん! いくら雛乃ちゃんでも、俺怒るぞ!!」(真っ赤)


雛乃「ふふ…冗談です。龍麻様、そんなにムキにならないで下さい」

龍麻「だ、だって…っ。もう雛乃ちゃん、冗談キツイよ」(ふう〜と大きくため息)


雛乃「それでは参りましょうか」

龍麻「あ、そ、そうだね。えーと、あの…ごめん。俺、いっつも誰かが行く所とか考えて来てくれるんだと思ってたから、雛乃ちゃんが喜びそうなデートコースって全然分からないんだけど」


雛乃「まあ…龍麻様、何を仰るのです。そのようなお心遣いは無用です。今日はすべてわたくしに任せて、龍麻様は安心して後についてきて下されば宜しいのです」


龍麻「え…ええ? そ、そうなの…?」(何かすっごい男らしい…雛乃ちゃんって・汗)


雛乃「わたくしは他の殿方などと違って龍麻様を退屈させたりはしません。さ、龍麻様」(すっくと立ち上がる雛乃)

龍麻「う、うん……」(ひょこひょこと後をついて行く龍麻)



―移動後―



龍麻「あ、あのう(汗)。雛乃ちゃん、ここって…その、何…?」


雛乃「雑貨屋さんです。今、一部の人々にとっても人気のある場所なんですよ」(にっこり)


龍麻「え? あ、そ、そうなんだ。こんな分かりにくい入り組んだ道にあるのに人気なんだ? でも何かヘンな作りの店だよね。しかも外装さ…ちょっと怪しくない?」(原色を使ったピンクだの紫だのを塗ったくった壁と木造のドア)


雛乃「あら、お洒落な雰囲気だと思いますけれど。龍麻様は今の流行などにお詳しいですか?」(ギイィィィと扉を開ける)


龍麻「あ、俺? 俺、そういうのにはすっごく疎いよ。何が人気あるとかも全然。……そっか、今の女子高校生ってこういう所が人気なんだ。知らなかったなあ」


雛乃「ふふ……龍麻様、今日はわたくしが龍麻様の気に入った品物、すべてプレゼント致しますわ。遠慮なく欲しい物を仰って下さいね」


龍麻「え!! だ、駄目だよ、そんなの! 女の子に奢ってもらうなんて、俺、冗談じゃないよ! 雛乃ちゃんこそ、何か欲しい物があるから来たんだろ? 俺、買ってあげるからさ」(雛乃の後について店に入る龍麻。外観は薄暗い。怪しいライトが点滅している)

雛乃「そうですか…? でも、わたくしが欲しい物は、龍麻様が欲しいと思った物なんです。ですから、何かお気に入りの物があったらすぐにわたくしに教えて下さいね」


龍麻「ええ…? 俺が欲しい物って…(きょろきょろ)。……ね、ねえ雛乃ちゃん……」(ようやく店の雰囲気におかしなものを感じ始める龍麻)


雛乃「どうかなさいましたか、龍麻様?」(店の品をいじくり回しながら)


龍麻「ここってさ…ホントに流行の店なの…?」


雛乃「ええ、とっても」(天使のような笑み)


龍麻「で、でもさあ…お客の人、何か…。それに俺ら、浮いているっていうか…」


雛乃「龍麻様、これなどどうですか? 随分頑丈そうですわ」(ジャラジャラ)


龍麻「え? 何それ、手錠? 警察グッズなんて売ってんだ? けど、そんなもんで遊んでもなあ」


雛乃「龍麻様はそういうのお好きじゃないのですね? ええと…それでは…まあ、これなど如何ですか? 色々な色があって綺麗ですわね。それぞれについている香りも違うみたいですし」


龍麻「は? ロウソク? あ、アロマテラピーってやつ? それは確かに流行ってるかもね。けど、あんまりいい色じゃないなあ…。それに何でそんなドギツイ色なわけ? 香りも良くないし」

雛乃「ロウソクお嫌いですか…。確かに、中途半端な香の効果なども、そんなもの、本当の快楽を得るためには邪魔なだけですものね」(でもちょっと残念そう)


龍麻「うわ、ちょっと何これ? 武器? 色々なムチがあるよー。藤咲ってこういう所で買い物してんのかな。ま、如月の所でも売ってるけどさ。げ、鎖とかも。これ、攻撃用か何か?」

雛乃「確かに攻撃する為の物ですけれど、龍麻様が考えていらっしゃる事とは少し違います」(目を細めて武器類を見つめる)

龍麻「そうなの? あれ、何これ? ヘンなオモチャ〜。スイッチ入れたらぶるぶる動き出したよー。気持ちわりー。何に使うの、これ? マッサージの道具にしちゃ何かヘンな形だし」


雛乃「それ…お気に召しまして?」(キラン!)

龍麻「え? いや、別に。ただヘンなのって思ってさ。これ何に使うものなの?」(ブインブインと動かして遊ぶ龍麻)

雛乃「後ほど教えてさしあげますわ。あ、あとわたくし他にも買う物がありますの。一緒に会計に行ってきますね」


龍麻「え? 雛乃ちゃん、ホントに俺買ってあげるって。遠慮しないでよ」


雛乃「いいえ、龍麻様。大好きな方が選んだ品を大好きな方の為に買う喜び、わたくしに味合わせて下さい。それでは、こちらでお待ちになっていて下さいね」(ガチャガチャ)

龍麻「……その瓶類は何なの? 随分買うみたいだけど。商品名のとこが隠れて見えな―」(雛乃が抱えた商品を覗きこもうとする)

雛乃「ただの塗り薬ですわ、龍麻様。それと、ちょっとだけ気持ち良くなる薬です♪」

龍麻「へええ〜」(警戒心ゼロ)



アンコ「……ひ、雛乃ちゃん暴走しすぎ…。いくら後が強敵揃いだからって(汗)。そして龍麻君は、馬鹿すぎ…」(商品棚に隠れながら)



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