11月23日(金)〜愉快な人形ハウス〜 |
龍麻「………遠野〜。帰りたいよ〜」(泣きそう) 莎草「よぉ、緋勇。遅かったじゃねェかよ」(ベンチの所でふんぞり返り) 龍麻「え? そ、そうか? 俺、結構時間には正確…」 莎草「ところで今日はよぉ、勤労感謝の日なんだよなあ」(人の話を聞かない) 龍麻「あれ、そうだっけ」 莎草「でもよー、おかしいよなあ。勤労感謝ってのはよ、いつもお仕事ご苦労さんって意味だろう? 今日くらいゆっくり休んで下さいって意味だろう? 違うか?」 龍麻「はあ…。まあ、そうなのかな」 莎草「なのによぉ、何だってあそこのおばちゃんはこの公園のお掃除してンだよ? さっきからずっとずっとやってンのに、終わらねェんだよ。ここを通る奴らもみんな素通りだ」 龍麻「お前は?」 莎草「見てた」 龍麻「…………そりゃそうだろうね」 莎草「まったく、世の中ってなぁ、おかしなモンだぜ。なあ、緋勇?」(すぱーと煙草を吸ってからそれをぽい捨てする莎草) 龍麻「………俺にはお前の頭の中がよく分からない」 莎草「ところでよぉ、今日はデートなんだよな。じゃあ、そこに見合った場所に行かないとな」 龍麻「……おい、変な所だったら俺は帰るぞ。妙な事しても即刻黄龍お見舞いしてやるからそのつもりでいろ」(最初から警戒態勢万全) 莎草 「緋勇よぉ、心配するな。いきなりホテルには行かないからよぉ。ま、徐々に馴らしてその後チェックインだ」 龍麻「黄龍―――ッ!!」(ドカーン!!) 莎草「グハァ――ッ!!」(ズザザザザ!!!)←吹っ飛ばされている ―移動後― 龍麻「……寛大な俺に感謝しろ。本当だったら、あの公園でもう帰っている所だぞ」(ムカムカ) 莎草「……ひ、緋勇よォ、お前、強いなァ……へ、へへ、そそるぜ」(ぼたぼたと血を流している) 龍麻「馬鹿な事ばっか言うなっての【怒】! ……ったく。ところでここは何処だ? 随分可愛い場所じゃないかよ」 莎草「か、可愛いお前にぴったりの場所だろ……」 龍麻「……もう一発殴っとくか」 莎草「こ、ここは人形の館だ。世界各国で作られた様々な人形を展示したり売ったりしているんだぜ」(ちょっとびびり) 龍麻「へえ、なるほどね。でも外観はサーカスみたいな作りだな。変わってる」 莎草「い、1日に1回だけ、人形劇の公演もあるんだ。へ、へへ、これがよぉ、なかなか洒落ているンだぜ」 龍麻「ふうん。お前って結構可愛い趣味してんだな」 莎草「緋勇もやるか? 俺と人形劇をよぉ。そしたら俺がお前の役用の人形、作ってやるぜ」 龍麻「は? 悪いけど、俺はそういうの興味ないなあ。大体、どうせお前とやる人形劇なんて、ロクな話じゃなさそう。ちょっとした事でキレちゃう大量殺人犯とそいつに付け狙われる善良な人間の話とか」 莎草「緋勇……」 龍麻「あはは、冗談だよ、冗談。そんなマジな顔すんなって!」 莎草「それよぉ、すっげえ面白ェよなぁ。そ、そしたらよ。その付け狙われる役をお前がやれよ? 俺が殺人犯でいいからよ」(何故か鼻息荒く、ハアハアと興奮) 龍麻「………いや、決めるまでもなく配役はそうだろう。ってか、俺はやる気ないけどな」 莎草「そ、それでよ(ハアハア)。狙われたお前が夜道で俺に掴まって、身包み剥がされて『いやーやめてー』とか言っちゃってよ…」 龍麻「黄龍―――ッ!!」 莎草「グハァ――ッ!!」(流血) ―人形劇・公演時刻前ー座席にて― 龍麻「ったく、ホントにお前ってしょーもない奴だな…っ! まあ、もうここまで来ちゃったから、劇の一つも見て帰るけどさっ【怒】!」 莎草「ひ、緋勇よぉ、お前から与えられる痛みが結構快感ってのは、これはどういう事なんだろうなぁ?」(どくどくと流血) 龍麻「知るかっ!! あ、もうすぐ開演だ。もう、お前黙ってろ!!」 莎草「緋勇、プログラム買ってきておいたぜ。これ、やるよ」 龍麻「あ、おう、サンキュ。……しかし、ここ大丈夫かよ? 全然客いないじゃん。しかも人形劇ってフツー子供が見るもんだろ? 何でこんな大人ばっかなんだよ。しかも…ん…?」(プログラムに目をやる龍麻) 莎草「ここはよ、フツーの人形劇場じゃねェからよ。言ってみれば、俺みたいな人形の玄人が来る場所だからガキなんか来ないぜ」 龍麻「……おい、これってどういう話なんだ?」 莎草「あん? 話を先に言ったらつまンないだろうが。臨場感を味わおうぜ、緋勇」 龍麻「うるさい、今答えろ。この話の主人公の美少年がどうなるんだって?」 莎草「緋勇、お前もうあらすじ読んだのかよ? 映画でも何でも、先にプログラム見るなんて邪道だぜ? ……けどよ、ゾクゾクしただろ? この美少年がよぉ、次々やってくる先公やら同級生やら後輩やらにピーされてピーピーになってピーってなる―」(自主規制音が入りました) 龍麻「黄龍―――ッ!!」 莎草「ギヒャア――ッ!!」(大流血) アンコ「……あーあ、龍麻クン帰っちゃった……。で、でもアタシはこのままこれ観て帰ろう……」(ごくり)←劇場の中ほどで |