12月10日(月)〜熱くさせる者〜


龍麻「うーん、昨日のデートはいかにもデートって感じで楽しかったな! いっつもあんな感じだったらいいのに」(ご機嫌♪)

雷角「ひーちゃん様」(不意に現れる)

龍麻「どわっ!? び、びっくりした…っ!?」(仰け反る龍麻)

雷角「いらして下さったのですね。嬉しいですぞ…」(ぽっとしてみたり)

龍麻「ま、まさか今日って…?」

岩角「わーいわーい! ひーちゃん様とデートデート♪」(どたどたどた…)


炎角「きゃっほう!! 燃える燃える燃えるぜイエー!!」(ハイテンション)


風角「えーい、やかましいぞ、お前ら【怒】! ひーちゃん様が戸惑ってらっしゃるだろうが!!」

水角「フフ…まあ仕方ないわよ。何せ昨夜はこのわらわでさえ、興奮でよく眠れなかったくらいなんだから♪」


龍麻「あ、あああの……まさか鬼道衆さんみんなとデートすんの、俺(大汗)?」

雷角「はっ…そうしたいのは山々なれど…ああ! いやいやッ(焦)! …勿論、違いますとも」(1人で赤面・雷角)

炎角「俺たちはひーちゃん様をお迎えに来たんだぜッ! イエッ!!」

岩角「わーい♪ ちゅーちゅーちゅーちゅー!!」(どたどたどた!!)

風角「どごおっ(殴)! バ岩角! お下品な言い方するンじゃねェ! …って、はっ! あー、ごほん(焦)。ひーちゃん様、俺ら鬼導衆、今日の日をゲットする事が出来て、誠にもって光栄の至り―」

水角「な〜んせ、うちの御屋形様、今回の企画クジに参加して下さらないんだものねェ(嘆息)。で、わらわ達が代わりに引いてきたんですけど、みんなクジ運悪いし、当たった日は突然のサイト休止で抹殺されるし」


炎角「でも再度チャンレジで俺が当てたんだぞ! 俺偉い! 俺、みんなに誉められる! イエ!」


龍麻「………(呆気)。あの、さ。つまりは天童の所に行くって事だよな。でもさ…みんながクジ引いたって事は…あいつは別に俺と会いたいってわけじゃないんじゃ…」


水角「んもう! そんな事ないですって! そこが御屋形様のカッコいいとこなんじゃーないですかぁー」(うりうり)

雷角「とーにかく! 躊躇されている暇はありませんぞ、ひーちゃん様! 行数にも限りがございますっ。さあ皆の者、運べ!」

鬼導衆「おー!!」

炎角「イエッ! ひーちゃん様に触れるぜー♪」(すかさず風角から殴られる)

龍麻「うわっ! …って、俺別に一人で歩けるからーッ!!」(大慌て)



―移動後―



龍麻「ここは……?」(見知らぬ小さな神社の境内。参拝客は誰もいない。静かである)

鬼導衆「では、我らはこれにて!」(どろん!と消えてしまう鬼導衆)

龍麻「あ…。……変な奴ら」


―龍麻、境内をぐるりと回り、裏手にあるお堂に差し掛かったところで足を止めた。障子が開け放たれ、外から見えるようになっていた広いそこには、刀を手にし本尊を見つめている九角の姿があった―



龍麻「天童………」


九角「………何しに来やがった」(龍麻の方に振り返りもせず)

龍麻「え……。あ、えーと、その……」

九角「………ち。アイツらか」(すっと振り返り、ここで初めて龍麻を見やる九角)

龍麻「!! (相変わらず、すごい迫力だな……)」

九角「テメエの方は腕が鈍っているようだな」

龍麻「あ…! う、うん、まあ…。ごめん。(びっくりした。コイツ、すぐ人の心読むんだからな)」

九角「フン……。どうだ、やるか、龍麻」(立ち尽くす龍麻に自分が手にしていた刀を投げて寄越す)

龍麻「うわっ…! あ、危ないな…ッ! これ真剣じゃないのかよ!?」


九角「斬れやしねェよ。いいから、上がってこい。相手してやる」


龍麻「えっらそうに……」


九角「何か言ったか?」

龍麻「何でもないよ! やればいいんだろ、やれば! 俺の腕が鈍ったかどうか、今確かめさせてやるって!」(言いながら靴を脱いで中に入り込む龍麻)

九角「フッ……」



―数時間後―


九角「……これでお前はもう四回も俺に殺られてるぜ」(刀の切っ先を倒れた龍麻の喉元に当てながら)

龍麻「う……くっそぉ……。で、でもお前だって2回は俺にやられてるはずだっ」(床に背をつけてじたじたと悔しそうにする龍麻)

九角「バーカ。手加減してやったンだ。それくらいの事も判らないのか?」(心底嘲笑するように言い、刀を収めて龍麻から離れる)


龍麻「ちぇ。全く、相変わらず負けず嫌いだな、天童は……」(渋々と言った感じになりながら上体を起こす)


九角「あン? 負けた奴が後ろでごちゃごちゃ言ってンじゃねェよ。くだらねェ事やってねェで、お前も少しはその力、鈍らせないように鍛錬するんだな」

龍麻「分かってるよ…ったく、鍛錬だなんて、紫暮みたいな事言っちゃって…」(ぶつぶつ)

九角「何だ? それともお前は、今やってるデートだかいうので、野郎共に尻尾振ってる方が好きなのかよ?」

龍麻「は!? な、何だよそれ!!」

九角「それで来たんだろ。今日はよ」(刀を仕舞い、龍麻に背を向けたまま素っ気無く訊く九角)


龍麻「そりゃまあ…そうだけど。お前のトコの鬼導衆さんたちが無理やり俺を連れて来たんだよ! 悪かったな、勝手に来てさ!」

九角「まったくだぜ……」

龍麻「むう…」(ちょっとふてくされ気味の龍麻)

九角「………」

龍麻「………(な、何か気まずいぞ)」

九角「おい」(不意に振り返る九角)

龍麻「わっ!! な、何だよ…?」

九角「……ッ! テメエこそ何だ。素っ頓狂な声出しやがって」

龍麻「お、お前が急に声かけるからだろー!!」

九角「………ち」(不機嫌そうに眉を吊り上げ、それから外へ向かって歩き出す九角)

龍麻「て、天童……?」

九角「……………」(九角は応えずに黙ったまま堂の入口近くに来ると胡座をかき、龍麻に背を向けた状態で外の景色を眺めやる)

龍麻「………。(な、何だよ、むすっとしやがって……)」


―互いが黙り込むと境内は一気に静寂に包まれる。幸い、外の天気が良いため、お堂に差し込む光は温かい―


龍麻「……なあ、天童」

九角「……何だ」

龍麻「俺が弱くなってるの、そんなにムカついたか?」

九角「あ?」(多少意表をつかれたようになり、龍麻の方をちらと向く)

龍麻「だってさ…お前、怒ってるみたいだから」(ずりずりと九角の方へ這ったまま近づき、横に並ぶ)

九角「怒る…? 俺がか…?」

龍麻「だってむっとしてんじゃんかよ」

九角「……煩ェ。テメエ如きにいちいち熱くなる事なんざ、俺には何一つねェよ」

龍麻「………」

九角「全くくだらねェ…。仲間共にちやほやされてお姫様気取りの奴に、俺が―」←王様とか言わないあたりがどうにも

龍麻「悪かったな…ッ」

九角「あ……?」

龍麻「どうせ俺は馬鹿な事やってるよ。毎日毎日野郎とデートして、お前と違って遊び呆けてるよ!!」

九角「テメエ、今度は開き直りかよ……」

龍麻「ふん!! だけどな、そのアホな企画にのこのこ参加してきたのは、お前の家来共なんだからな! 上司のお前だって部下の管理不行き届きなんじゃないのかよ!!」

九角「おい……」

龍麻「何だよ、偉そうにしやがって…。お前はいっつもそうだよ…ッ!」

九角「……! おい、何だお前。急に…何そんな面してやがる…」(ぎょっとして龍麻を見やる九角)

龍麻「……!! そ、そんな顔って何だよ…?」(急に九角に見据えられて困惑する龍麻)

九角「おい、やめろ! 俺がテメエを泣かしたみたいじゃねェか!」

龍麻「な!! な、泣いてないだろ、俺は! 別に!!」(しかしかっと赤面して九角から顔を逸らす龍麻)

九角「〜〜〜! 訳の判らねェ奴だ。おい、こっちを向け! 俺が何をした? テメエが勝手にごちゃごちゃ言うのは構わないけどな、俺はそういう面倒な事が嫌いなんだよ」

龍麻「うるさいな! もう、天童! お前ってホントムカツク!!」

九角「ああ!? テメエ…そりゃこっちの台詞だろうが!!」(ぐいと龍麻の肩を掴み、無理やり自分の方を向かせる九角)

龍麻「な、何すんだよ、離せよ!!」

九角「馬鹿が…!」(問答無用で龍麻の事を引き寄せ、抱きしめる九角)

龍麻「て、天童…ッ! よせってば…! 俺のこと、嫌いなくせに…!」(九角の胸元でもがくも解放されない)

九角「黙ってろ。ったく、お前は本当にどうしようもない奴だ。ムカつくだと? それは俺の台詞だ! ……俺は許したか。お前が俺以外の奴と2人で歩く事をよ」


龍麻「え……?」

九角「……ち、くだらねェ事言わせンじゃねェよ!!」

龍麻「天童……?」

九角「……何熱くなってンだ、俺は……」


―その頃、龍麻を密着取材のはずのアンコは―


アンコ「もうー! ちょっとアンタ達! 規定違反よ! いいからここを通しなさーい!!」

雷角「ならぬ! ここから先は御屋形様とひーちゃん様の聖域ぞ! 何人たりとも通る事はまかりならん!」

水角「そうよ。ここは極秘テープに録っておいて、後でアタシら同人サークル『鬼道衆』がコミ○で本作って売るんだから♪」

岩角「わーい、もうそろそろちゅーしてるかなー♪」(どたどたどた)

炎角「きっとしてるぜ! してるぜイエ!!」(踊り狂う)

風角「ふうぅ〜。禁断のロマンス…萌える」(ぽ)

アンコ「あ〜ん、もう! 悔しい〜!!」(じたばたじた)




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