12月17日(月)〜アブないスイートルーム〜 |
龍麻「え……あれ?」(待っていた相手に意表をつかれて立ち止まる龍麻) 鳴瀧「……久しぶりだな、龍麻」 龍麻「何かの冗談? 鳴瀧さんがこんな企画に参加するわけないよね?」 鳴瀧「ハハハ……いや、龍麻の学校の同級生だという女の子がこれをくれたんだよ」(龍麻にチケットのような物を差し出す鳴瀧) 龍麻「何これ? 『緋勇龍麻・1日独占権』? …と、遠野の奴、こんな物作ってたのか【怒】」(そこには日付と時間、待ち合わせ場所などが書かれている) 鳴瀧「龍麻の仲間たちはみんなこれを取るのに躍起になっていたと紅葉から聞いていたから、私が貰ってしまってもいいのかと訊いたんだがね」 龍麻「鳴瀧さんまであんな奴らの企画にのっからないでよ。別にこんな物なくたっていつでも会えるじゃん」 鳴瀧「そんな事はないさ。私も仕事が忙しいし、龍麻も仲間たちにひっぱりだこだろう。こんな機会でもないと、2人でゆったりとした時間を過ごすことなどできないからね。私はありがたかったよ」 龍麻「仕事、やっぱり忙しい?」 鳴瀧「そうだな。だが今日は丸1日スケジュールを空けた。久しぶりに龍麻に食事でもご馳走しようと思ってね」 龍麻「ホント!? わ〜! 何処行くの!? 鳴瀧さんって絶対豪華な所連れて行ってくれるんだもん!!」 鳴瀧「龍麻が特に希望がないなら、一応予約している所があるが」 龍麻「俺、何処でもいい! 何でも食える!!」←やはり欠食児童の龍麻であった 鳴瀧「フッ…。龍麻は相変わらずだな…」(実に愛しそうにはしゃぐ龍麻を眺める鳴瀧) ―移動後― 龍麻「………」(テーブルに並べられた豪華な料理を前に緊張気味の龍麻) 鳴瀧「どうした、龍麻? 口に合わないか?」 龍麻「う、ううん…。そんな事ないけど…。俺、こんな格好でいいのかな? こういう一流ホテルのレストランってさ…正装とかしてないといけないんじゃないの? 周りもすごい金持ちそうな人ばっかだし…」(周囲をちらちらと眺め、やや引き気味の龍麻) 鳴瀧「ハハハ、そんな事を気にする必要はないさ。龍麻らしくないじゃないか? いつものように豪快に頬張るといい」 龍麻「お、俺は元々人目とかそういうの気にする方なの! しかもこういうのって慣れないし……」 鳴瀧「いつもはやはり蓬莱寺君たちとラーメン屋かい」 龍麻「え? うん、まあそうかな。あとは翡翠の家でご飯貰ったり…。あ、紅葉の所へもよく行くけど」 鳴瀧「……そういえば昨日は紅葉と一緒だったんだな」 龍麻「あ、うん。何で知ってるの? 紅葉は俺と同じ1人暮らしでも、ホントちゃんとやってるんだよね。料理もすごくうまいし!」 鳴瀧「そうだな。あれはマメなところがあるからな」 龍麻「うん。そういう意味ではさ、あいつは鳴瀧さんと似ているところあるよね」 鳴瀧「ん…そうか?」 龍麻「うん。俺と壬生って同じ鳴瀧さんの弟子なのに、何か違うよね。俺は鳴瀧さんのしっかりしているところとか武道家らしい毅然としたところ、あんまり似なくて」(←大人に「しっかりしている」ってのもどうなのか…) 鳴瀧「私と龍麻の持っているものが本来全く逆のものだからだろう」 龍麻「………」 鳴瀧「龍麻は本当に父親の弦麻に似ている。あれの血を、お前は間違いなく引いているのだと思うよ」(何かを思い出しているように) 龍麻「ふーん。……でも、俺にはあんまりぴんとこないや」 鳴瀧「…………」 龍麻「…これを言うと、鳴瀧さんはちょっと寂しそうだけどね」 鳴瀧「ん……そうか。そう……見えるかい」 龍麻「うん。でもさ、俺は親と同じにはなれないから」 鳴瀧「……ああ。そうだな」 龍麻「あははっ。何か変な話になっちゃったね! 食べようかな!」 鳴瀧「そうだね。どんどん食べなさい」 龍麻「うんっ! へへ、明日自慢しよっと!こんな所、滅多に来られないもんね!」 鳴瀧「シャンパンも飲むかい、龍麻」 龍麻「えっ、いいの? 鳴瀧さんと一緒だからアルコール類全部駄目かと思った!」 鳴瀧「フッ…。まあ今日ぐらいはいいだろう? 私だってたまには息を抜くことだってあるんだよ」 龍麻「うんっ! じゃ、今日は鳴瀧さんと忘年会だ!!」 ―数時間後― 鳴瀧「龍麻、大丈夫かい」 龍麻「……うん。ちょっと眠くなってきただけ…って、あれ……ここ、何処?」(見慣れぬ豪奢な部屋がおぼろげな視界に映る) 鳴瀧「ここのホテルの部屋だよ」 龍麻「へ……? う、わ…そういえばすっごいふわふわなベッドだ……。もしかして部屋も取ってたの、今日…?」 鳴瀧「ああ、そうだよ。せっかくの独占日だ、今日は龍麻と2人、遅くまでゆっくりしたいと思ってね」 龍麻「……わ、何かこの部屋って……」(むっくりと起き上がって部屋中を見渡す。一室にしては広すぎるスペース、見るからに豪華な家具や絵画、ミニカクテルバーなどがついている) 鳴瀧「龍麻もシャワーでも浴びてくるといい」(カウンターで酒を作りながら) 龍麻「…ねえ、ここってもしかしてスイートルームってやつ?」 鳴瀧「そうだよ」 龍麻「うわあ…。俺、初めて見た〜。テレビとか映画では見た事あったけど…。すげー! …ねえ、こういう所ってやたらと高いんじゃないの? いいの、こんな所? 大丈夫なの?」←お前が大丈夫か 鳴瀧「龍麻と2人の夜だ。たまにこれくらいはしてもいいだろう」 龍麻「……今日の鳴瀧さん、何か変だ」 鳴瀧「ん……そうか?」 龍麻「うん。何か妙に優しいし。そりゃ…元々そんなに厳しいって感じじゃないけどさ…。あんまり俺に甘くする人じゃないじゃん」 鳴瀧「………」 龍麻「べ、別に優しくしてもらえるのがヤだってわけじゃないけどさ。何だか…調子狂うよ」 鳴瀧「そうかもしれないな……」 龍麻「鳴瀧さん、またどっか遠い所行くの? 仕事とかで…」 鳴瀧「……いや。そんな事はないよ」 龍麻「ホント? だから珍しくこんな事しようとしたのかと思った。鳴瀧さんって時々俺に過保護っていうか…父さんみたいにする事あるでしょ?」 鳴瀧「………そう、思うのかい、龍麻は」 龍麻「うん。あ、俺、父さんってどういうものかよくは分からないけど…でもいたら、鳴瀧さんみたいなのかなって思う時あるし」 鳴瀧「……私のような父親だと、息子のお前は大変だぞ」←まったくだ 龍麻「んな事ないよっ。俺、鳴瀧さんがいてくれて良かったなあって思うから」(焦ったようになって鳴瀧の傍に寄る龍麻) 鳴瀧「………」 龍麻「…鳴、瀧さん…?」 鳴瀧「…あぁ、すまない。何でもないよ。…だが…お前は実に真っ直ぐ育ってくれた」 龍麻「…なっ…。何それ(焦)」 鳴瀧「……嬉しいよ、龍麻。ありがとう」 龍麻「……鳴瀧さんがお礼を言うなんておかしいと思うけど……」 鳴瀧「そうかな」 龍麻「そうだよっ」 鳴瀧「そうか……」 龍麻「………あ! そうだ、鳴瀧さん!」 鳴瀧「ん……?」 ―数時間後― 龍麻「……それでさ。京一の奴がまーた『ラーメン食いに行こう』って言うんだよ! 俺はいい加減嫌だって言ってんのにさっ! ホント、あいつって馬鹿の一つ覚えみたいにさあ……」(ベッドの上に座っている龍麻。既にパジャマ姿!←パジャマはどこから!?とかそういう突っ込みはなしにして下さい) 鳴瀧「だが他のみんなもそれでも毎日行くんだろう?」(同じく、龍麻のいるベッド上にいる鳴瀧) 龍麻「ああ、そうそう! 醍醐も桜井も美里も。よくもまあ、いっつもにこにこしてラーメン付き合うよなあ」 鳴瀧「いいじゃないか、仲間と共にいられるというのは幸せな事だぞ」 龍麻「うーん、分かってるけど。……おっ、来た来た! よし、勝負! キングのツーペア!!」(トランプしてます) 鳴瀧「…残念だったな、龍麻。私はエースのツーペアだ」 龍麻「ええ、またあ? もう何で鳴瀧さんばっかいいカードいってんだよっ! ズルしてんじゃないのォ!?」 鳴瀧「カードを切っているのは龍麻だろう」 龍麻「そうだけど…くそ、じゃあもう一回! 負けた分はつけといて!」 鳴瀧「つけておくと、今までの負け分、総額23万5800円だな」(けろりと) 龍麻「ぐっ…! な、鳴瀧さん、その細かさ…! さすが学院経営者…結構きっちりしてるね」 鳴瀧「龍麻が曖昧にされるのは嫌だと言うからだろう?」 龍麻「うん、そう! 今に全部返すって! もっかい、勝負!!」 鳴瀧「龍麻はこういう勝負事には滅法弱いな。村雨君だったか…彼と勝負はしない方がいいぞ」 龍麻「うーん、そうだよなあ…。でもね、まだこのデート企画。アイツが残ってるんだ。アイツの事だから麻雀とか何かだと思うから、ヤバイ感じだよ」 鳴瀧「せいぜい気をつけなさい。……それよりもうこんな時間だ。この1ゲームでラストにしよう」 龍麻「あ、もうこんな遅いんだ! ん…。あ、でもさあ…今日は鳴瀧さんとデートなんだよね。何か妙な感じだなあ」 鳴瀧「父親くらいの私とだと、龍麻もデートという感じはしないかな」 龍麻「ええ〜? というか、鳴瀧さんはやっぱり俺の中では師匠だし。へへ、それに鳴瀧さんは他の奴らと違ってヘンな事は考えるわけないし」 鳴瀧「………」 龍麻「んーまたあんまりいい手じゃないなあ」(黙りこむ鳴瀧に気づかない龍麻) 鳴瀧「龍麻……」 龍麻「ん、何? ああ、すごい! ストップ! 見てこれ! ジャックのフォーカード!!」 鳴瀧「………私の手は龍麻のそれより上か下か。どちらだと思うね?」 龍麻「え? そりゃ勿論、俺は自分のこれ、さすがに勝ちだと思うんだけど…」 鳴瀧「賭けようか」 龍麻「な…っ。何賭けるの(汗)?」 鳴瀧「龍麻が勝てば、今までの負け分はチャラだ。私が勝ったら―」(龍麻の耳元に口を寄せて囁く龍麻) 龍麻「えええええ!? な、なななななな……!」(赤面) 鳴瀧「龍麻から賭けて良いよ。私は後の方に賭ける」 龍麻「うう…やっぱり今日の鳴瀧さん、ヘンだ…。じゃ、じゃあ……俺の負け!で…いいや」 鳴瀧「……龍麻。いつでも弱気は自らの運気を逃すぞ。……私は2のワンペアだよ」(フッと笑んでカードを見せる鳴瀧) 龍麻「あー! ずっりぃーよ! ひっかけだー!」 鳴瀧「私の勝ちだよ、龍麻。それじゃあ…いいかな?」 龍麻「う…う…。もう…分かったよ……」(はあとため息をつく龍麻) アンコ「き、聞こえない! よく聞こえない! 鳴瀧館長ったら何を条件に出したのー! 教えてー!」(スイートルームの天井裏から)←そんな所があるのかは知らない…そして賭けの内容はご自分でご想像下さいv |