12月 6日(木)〜素直になれる人〜


龍麻「あー…何か昨日の異様な空気に長く当たったせいか気分が…」(だる〜)

黒崎「お。よう、ひーちゃん!」

龍麻「あ、黒崎。今日はお前かあ。(またテンション高いのが来たなあ)」

黒崎「ああ! 今日1日、宜しくな、ひーちゃん!」

龍麻「うん…。でも最初に断っておくけど、ヒーローショーとか区内のパトロールとかはヤだからな」

黒崎「え?」


龍麻「俺、疲れてんだよー。だから、あんまり面倒な事はしたくない」


黒崎「はははっ。どうしたんだよ、ひーちゃん? 随分ふてくされてんじゃないか」


龍麻「ふてくされもするよ。みんな勝手な事ばっか言ってさ……」


黒崎「うーん、まあ、ひーちゃんに何があったのかは何となく想像つくけどな! じゃ、今日はのんびりするか!」

龍麻「え…? う、うん。そうしてもらえると俺は嬉しいけど…」


黒崎「じゃあ、ひーちゃん。まあ、ここでもいいけど、もっと静かで落ち着いた所行こうぜ! 俺、結構良い所知ってるんだ!」

龍麻「………。(黒崎ってサシだとこんなまともな奴だったのか…)」←かなり失礼な龍麻



―移動後―



黒崎「どうだ、ひーちゃん? ここの河川敷、川沿いのグラウンドじゃサッカーチームの練習がすごい盛んなんだぜ。時々練習試合も観られるし、それでいてあんま人通らないしさ。のんびりできるだろ?」


龍麻「うん。何かいいな。それにしても、平日でも結構サッカーチームとか練習してんだな。あれ、少年サッカー?」(草むらに腰を下ろしてから遠くの光景に目をやる)

黒崎「草サッカーチームってとこだな。俺、時々コーチとかしてやるんだぜ?」(龍麻の隣に座って)


龍麻「あーやってそう。お前の事だから熱血コーチとかになって弾丸シュートとか撃ちまくってんだろー?」

黒崎「ははっ、まあそうしてやりたいのは山々だけどさ。さすがに手加減はするよ。そんで、あん中からいつか俺と一緒に試合できる奴が出てきたら最高なんだけどな。そういうの考えるとすっげーわくわくするんだよ!」


龍麻「へえ〜」


黒崎「お、そうだそうだ、ひーちゃん! これ食わないか?」

龍麻「ん…タイヤキ?」

黒崎「ああ! さっきひーちゃん待ってる時に買っておいたんだ。後で一緒に食べようと思ってさ。ちょっと冷めちゃったかな」

龍麻「あ、いいよいいよ。食べたい! それ、アンコ?」


黒崎「クリームとかもあったからどうしようかと思ったけどさ。俺、アンコじゃないと駄目なんだよな」


龍麻「あ、俺も! ちなみに黒崎、こしあんとつぶあんどっちが好きだ?」


黒崎「俺か? 俺は断然つぶあんだな!」

龍麻「ホント? 俺もだよ! へへ、つぶあん美味いよな!」

黒崎「………」(優しい笑みを向ける黒崎)

龍麻「……? 黒崎、どうかしたか??」

黒崎「いや、何でもないよ。はは…けどさ、ひーちゃんと食べ物の趣味がちょっと合うだけでこんな嬉しい気持ちになるなんてな」

龍麻「く、黒崎?」

黒崎「ひーちゃんと今日はこうやって一緒にいられんのもすげー嬉しいけどさ」


龍麻「ば、ばっか(赤面)! 真顔でそういう台詞吐くなって」


黒崎「何で? だってホントの事だぜ」


龍麻「恥ずかしいだろ、そういうのって…」(照れ隠しにたいやきをほうばる龍麻)

黒崎「そうか? ……まあ、ひーちゃんがやめてほしいってなら言わないけど。でもさ、ひーちゃん。思った事を、感じた事を相手に言えるのってすっごい事なんだぜ」

龍麻「………?」


黒崎「つまりさ…人間って自分の思った事や感じた事、誰にでも言えるわけじゃないから」


龍麻「え……」

黒崎「相手に躊躇わせず物を言わせる雰囲気があるんだ、ひーちゃんには。それって本当凄い事だよ

龍麻「な、何言ってんだよ、黒崎…?」


黒崎「あー今日は天気良いなあ。な、ひーちゃん?」(伸びをして空を見上げる黒崎)


龍麻「………」

黒崎「……どうした、ひーちゃん?」


龍麻「黒崎って…自分の思った事なんて誰にでも堂々と言える奴だと思ってたけど…?」

黒崎「………」

龍麻「……本当は違った……?」


黒崎「そうありたいとは思ってるけどな。ヒーローとして!!」(にこっ)

龍麻「ヒーロー……」

黒崎「でもよ、ひーちゃん。色々難しいじゃんかよ。完璧なヒーローにはそうそうなれやしないさ。俺はまだまだ修行中の身さ」

龍麻「……ふーん。そっか」

黒崎「あ、でもさ。今日の話はアイツらには内緒な! はは、アイツら頼りないからさ。いつだって俺がちゃんとしてなきゃいけないわけよ。リーダーは辛いぜ」


龍麻「あれ〜? リーダーって黒崎だったっけ?」

黒崎「おいおい、ひーちゃん! そりゃないぜ。誰がリーダーだと思ってたんだよ」

龍麻「ピンク」(即答)

黒崎「がくっ。あ、あのなあ、ひーちゃん―」

サッカー少年A「あー! 黒崎の兄ちゃん!!」

サッカー少年B「ホントだ! お兄ちゃん、またサッカー教えてよ!!」(グラウンドから皆が手を振る)

黒崎「はははっ! しょーがないな! お前たち、ちょっとは練習してうまくなったのか!?」

サッカー少年C「なったよー! 兄ちゃん、バナナシュート教えて!!」

サッカー少年D「俺も俺もー!!」

龍麻「うわー…黒崎、大人気だなあ。さすが正義のヒーロー」

黒崎「ひーちゃん、悪いな! ちょっと行ってくるな! ひーちゃんも一緒にやるか?」

龍麻「え、俺!? お、俺はいいよ。サッカーあんまやんないし。俺、ここで観てるからお前行ってこいよ」

黒崎「そっか。じゃ、ちょっとだけ待っててな、ひーちゃん!」(坂を降りて行き、グラウンドに向かう黒崎)

サッカー少年E「兄ちゃん、あそこのお兄ちゃん誰ー?」(皆ちらちらと龍麻に視線をやっている)


―数十分後―


黒崎「ふう。ごめんな、ひーちゃん! 退屈じゃなかったか?」

龍麻「んーん、全然。何かのんびりした気分になれて良かった。しっかしお前教え方とかうまいよなー。何か今日は感心したよ」

黒崎「え? はは、そうか? ひーちゃんにそう言われるとすげー嬉しいぜ!」

サッカー少年A「おーい、黒崎の兄ちゃん! 恋人にカッコいいとこ見せられて良かったなー」

サッカー少年B「すぐホテルとか連れこむのやめろよー!!」


龍麻「………は? あいつら、何言ってんだ?」

黒崎「へ? い、いやあ、何言ってんだろな!」(ちょっと焦り)

サッカー少年C「兄ちゃんたち、頑張れよー! 俺たち応援してるからなー!!」

サッカー少年D「ホ○でも兄ちゃんは俺たちの大事なコーチだぜ!!」

龍麻「………おい、黒崎。お前、あの子らに何言ったんだ………」(ゴゴゴゴゴ……)←静かに怒りの氣上昇

黒崎「いや! 俺ははっきりとは言わなかったんだけどさー。ちょっとデートしてるって言ったらあいつら先走りやがって、全く参るよなーはははは!」

龍麻「黒崎ー! お前ー【怒】!!」

黒崎「わー! ひーちゃん、ちょっと待て! 落ち着けってー!!」

龍麻「落ち着けるかー!!」



アンコ「……馬鹿ねえ……。結構ポイント高かったのに……」←変装してギャラリーのフリしつつ



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