美里様の後を追う。


貴方が全力で若頭が言っていた方向へ急ぐと。
美里「はあはあはあ……」
そこには激しく息を切らせている美里様の姿がありました。
美里「きょろきょろ……」
そして美里様は何やら辺りをはばかるようにしてから、ふうと息を整えると。
美里「………」
突然、表情をいつもの菩薩スマイルにすると、一軒のお店へと入って行きました。

そこには―。

美里「龍麻……」
龍麻「!? み、美里…? どうしてここに…?」
何とその小さな珈琲店には、行方不明となっていた龍麻の姿があったのです。
美里「龍麻こそ…。私はよくこのお店に来るの。1人になりたい時にね」
盲目の者「???」
貴方には訳が分かりません。
しかしどうやら美里様は逸早く自分で龍麻の居所を見つけ、「偶然」を装って龍麻に近づいているようです。
龍麻「俺…誰かを選ばなきゃいけないって言われて…」
美里「それでこのお店に?」
龍麻「うん。ここなら新宿からも離れているしね」
美里「そうなの…」
龍麻「でも意外だな。美里もまさかこんな遠いお店に来ている事があったなんて」
美里「うふふ…ここは貴方の生地に近い場所だもの…如何にもいそうだと思って気配を探っていたの」
龍麻「え?」
美里「何でもないのよ、うふふ…」
美里の微かなつぶやきは、龍麻には届かなかったようです。
貴方はただ成り行きを見守っています。
すると美里が言いました。
美里「龍麻…。私ね、本当は私も貴方と1度でいいからデートしたいって思っていたのよ」
龍麻「あ…でも美里はそういえばこの企画には…」
美里「私…龍麻が困るのじゃないかと思って…」
美里様は如何にも儚げにそう言って小さく笑うと、恥ずかしそうに頬を赤らめました。
美里「でもこうやって…偶然たまたま運命的に龍麻とここで出会えるなんて…」
龍麻「あ、うん、そうだね」(けろり)
美里「龍麻もそう思う!?」
美里は殊のほか嬉しそうにそう言うと、ぎゅっと龍麻の両手を握り締めました。
美里「あの、あのね、龍麻…。それじゃあ、今日のこのイブの日は…私と一緒にいてくれる?」
盲目の者「ウゴ!?」
龍麻「美里…うん、いいよ。美里とだって1日デートしなきゃね」←義務感か
美里「龍麻…私、嬉しい」

こうして。
美里様は誰の力も借りることなく、自らの手で龍麻をゲットする事ができたのですって。
その後この2人がどうなったかは…。
とりあえず、触れないでおきましょう……。


龍麻の無事を祈りながら、戻りましょう。