| ウゴーである貴方は、裏密に教えてもらった秘密の場所に九角を連れて行く事に成功。 しかし、本当に龍麻はここにいるのか…。当然、貴方にも九角にもその姿は見えません。 九角「おい、龍麻」 ウゴー「……………」 九角「こそこそしてんじゃねェよ。いるんなら返事くらいしろ」 返事はありません。 九角「……ち。面倒くせェ奴だ。何をふてくされていやがる」 返事はありません。 九角「おい、龍麻！ 俺が呼んでいるのが聞こえないのか？ 人がわざわざここまで来てやったっていうのによ」 ウゴー「ゴ……」 九角「…何があったか知らねェが、助けてやるって言うんだ。大人しく出て来い」 ウゴー「ウゴーン……」 九角「おい、聞いてんのか？ どうでもいいなら俺は帰るぞ。ここでずっと消えたままでいるのか？」 龍麻「……嫌だ」 九角「……ふん、やっぱりいるんじゃねェか」 龍麻「天童…何で来たんだよ…」 九角「あ？ テメエがいきなり俺に訳分からない話して、そのままいなくなるから探してたんじゃねえか！」 龍麻「俺…透明になっちゃったんだ……」 九角「そのようだな。こうやってお前の声が聞こえているのに、姿は見えない。馬鹿馬鹿しいが、どうやら嘘じゃねえようだ」 龍麻「嘘なんかついてないよ…。俺、困ってるんだからな…」 九角「だったら何ですぐ俺のところに来ない」 龍麻「…………」 九角「こんな所で１人でうじうじと何やってんだ。その上『何で来た』だ？ お前、この俺を何だと思ってんだ」 龍麻「何なんだよ…」 九角「おい……」 龍麻「だって何なんだよ！ 天童って俺にとって何なわけ？ １回は敵として戦ったりだってしたじゃないか！ 俺のこと、死ねって言って襲ってきたりしたじゃんか！ なのに、俺の事助けてくれるわけ？ 何で天童がそんな事してくれるんだよ！！」 九角「おい、龍麻。お前、何イラついてんだ」 龍麻「べ、別に……っ」 九角「そのくせ、まただ。また、テメエは俺の前で泣こうとしてる」 龍麻「な…！ 泣いてなんかいない！」 九角「ふん、どうだかな」 龍麻「何でだよ！ 天童には俺の姿なんか見えないくせに！ 何で俺が泣いてるかどうかなんか分かるんだよ！ 分かるわけないじゃんか！」 九角「ぎゃーぎゃーわめくな。分かるんだから仕方ねェだろ」 龍麻「え………」 九角「お前の事なんざな。俺には手に取るように分かるんだよ。……お前は単純だからな」 龍麻「な…っ！ な、何だよ、それ…っ！」 九角「俺とは正反対のお前だ。そんなお前だからムカつく事もあるが、反面……」 龍麻「……何だよ」 九角「……煩ェ。俺は余計なお喋りは嫌いなんだよ。いいから、龍麻。早く来い」 龍麻「て、天童……」 龍麻が戸惑うのをよそに、九角は自信に満ちた眼で自らの手をすっと前方に差し伸べました。 龍麻「……どうして」 九角「ん……」 龍麻「どうして天童はいつもそうなんだ。どうしていつも…そんな強い眼でいられるんだ」 九角「…………」 龍麻「その手を取ったら俺は楽だ。そんな事、ずっと前から知ってた」 九角「フン、なら何故そうしない。何故俺を拒む、龍麻」 龍麻「拒んでなんかいない…。俺は…俺は、ただ……」 九角「恐れるな、龍麻。お前の手を取ってやる。この俺が、お前を救ってやる」 そうして九角は、たどたどしい足取りながらも自分の側に近寄ってきた龍麻の気配を感じると、素早くその手首を掴み―。 引き寄せて、そのままそこへキスを一つ。 龍麻「わ…っ」 九角「まったく、透明ってのは厄介だな。しっかり触らねえと、どこに何があるか分からねェじゃねえか」 龍麻「い、痛い…っ。そんな強く掴むなよ！」 九角「捕まえてねえと、お前はまたすぐに俺の前から消えちまいそうだからな」 そう言って微かに笑った九角は、それからはっとして目を見張りました。 自分がキスを施したその手首から、徐々に龍麻の姿が浮かび上がってきたのです。 九角「面白い。唇を当てたら元に戻りやがった」 龍麻「え…っ。あ、俺…？」 九角「元に戻ったぞ」 龍麻「あ、あ…俺……」 九角「……何を赤くなっていやがる。手首にキスしたくらいでそんなに舞い上がるのか、お前は」 龍麻「ち、違…！ な、何でもないよ！！」 九角「フッ、まあいい…。それよりも、行くぞ、龍麻」 龍麻「え…？ 何処へ…？」 九角「お前、俺に救われた恩を何も返さない気かよ？ 今日は帰さねェって言ってんだ。俺の所に来い」 龍麻「あ…。う…うん…っ」 こうして、九角と龍麻は見事に結ばれ。 ２人手に手を取って、夜の町へと消えて行きましたとさ。 ハッピーエンド♪ ウゴー「ウゴ〜ン♪」 【完】 |