【13】
■本日の立候補者:比良坂紗夜■
あ…えっと、初めまして。
私、比良坂紗夜と言います。……えへっ。何だか恥ずかしいな……。
わ、私、こういうのとっても苦手で…でも、一生懸命話しますね…っ。
だって…私の大好きな人の事だから!
私、初めて彼…龍麻と出会った時、全然初めてって気がしなかった。
もっとずっと前に…彼とは会っていたって思ったんです。
だから私、思わずじーっと龍麻の顔見ちゃったりして…きゃ、今思うととっても恥ずかしいです!
でも龍麻もそう思ってくれていたみたいで…彼、私に会う度にすごく嬉しそうな笑顔を見せてくれて。
だから私ももっとどんどん嬉しくなって。
本当に、涙が出そうになるくらい。すごくすごく嬉しかったんです。
でも彼とは学校も違うし…家も遠いし…なかなか会えません。
本当はちょっぴり寂しいです。
龍麻といつでも一緒にいられたらなって思います。
あ…でも! これって我がままですよね! ごめんなさい!
こんな想い…我慢しなくちゃ。
だって彼に迷惑だと思うから…。
龍麻って本当に優しいから、誰にでもすごく気を遣って、嫌な事も嫌って言えない人なんです。
私、ずっと見ていたから知っています。誰よりも彼のこと、知ってます。
だからせめて私「だけ」は彼の負担にならないように、彼に気を遣わせないようにしなくっちゃって思うんです!
こんな事あまり言いたくないんですけど…周りの人たちは、ちょっと強引な方が多いから。それは本当に…心配っ。
えへっ! 私、だから龍麻の為に歌ってあげたいな。彼が本当に疲れた時…その時はちゃんと傍に寄り添って…。
こんな私の想いが…いつか…うん、本当にすぐでなくていいから、いつか龍麻にも届いたらいいな…っ!

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「モニター室にて」
雛乃「控えめで健気な娘を演出しようとするも結局は露骨なアピールとなる…。恋する乙女の悲しい性ですわね」
龍斗「雛乃ちゃん、辛口」
雛乃「ひーちゃん様はどうですの。彼女のような女性はお好みですか」
龍斗「お好みですね」
雛乃「あら。意外ですわ。それ、本心ですの?」
龍斗「本心ですよ」
雛乃「……ふふ。でもひーちゃん様のプロフィール拝見させてもらっていますのよ。大層な嘘つきだそうですわね」
龍斗「嘘つく時はちゃんと嘘って言うよ」(ぶーとふくれた顔をする龍斗)
雛乃「……本当に可愛らしいお方。さすがのわたくしもよろめいてしまいます」(苦笑)