【30】
■本日の立候補者:如月翡翠■
おい…ッ。そんな風に強引に人を押し込むのはやめてくれ。
煩く言わなくてもちゃんと入るよ。ここで龍麻の事を話せばいいんだろう?
……あぁ。確かに本来なら、こんなバカげた事に付き合わされるのは御免被りたいさ。
だが、事情が事情だ。龍麻がここで監禁されていると聞いたんでね。
まったく、いい加減にしてくれ…!
これが終わったら彼を連れて帰らせてもらうよ。誰が何と言おうが、そんなのは僕の知った事じゃない。
いい加減、ここの管理人にも龍麻を玩具にするのはやめてもらいたいと言いたいな。
ああ、龍麻自身にも問題がある事は分かっているさ。
彼は甘いんだ、何事にも。
ぶすくれたりぐだぐだと文句を言う事はあっても、龍麻は、最後には結局全部笑って許してしまうだろう
周囲の我がままも受け入れる、危険な戦いも引き受ける…全く、お人よしにも程がある。
その上本当はそれでいつも苦しいくせに、ひどい時はそんな己に気づいてもいないんだ。
……そういう彼を見ていると、本当にイライラするよ。イライラするし、気が気じゃない。
目が、離せない。
……そうでなくとも龍麻は何かと言うとちょろちょろと何処かへ行ってしまう事が多いんでね。
それで今回のこの騒ぎだろ……まったく参るよ。
……龍麻をきちんと見守るのはこの僕の仕事だ。
彼を間違った方向に行かせないようにするのも、僕の務めだ。
いつだって彼は本当に……危なっかしいからな。
…………。だから。もう彼を連れて帰るよ。
龍麻の傍にいる…そしていざという時には彼の盾となる事が、僕が彼にできる唯一の事だ。
僕という人間はただそれだけの為に…龍麻を護る為だけに在るのだから。

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「モニター室にて」
裏密「う〜ふ〜ふ〜。外法ひーちゃん、はじめまして〜。ミサちゃんだよ〜」
龍斗「……怖い」
裏密「あれれ〜怖がらなくていいんだよ〜? ミサちゃんのターゲットは今のところ剣風のひーちゃんだから〜」
龍斗「怪しいミサちゃんと従者の翡翠。強いのはどっち?」
裏密「うふふ〜ひーちゃんはどっちを応援する気〜?」
龍斗「…………翡翠」
裏密「ひどい〜ひーちゃん〜。でもまだ彼にひーちゃんを連れ帰らせるわけにはいかないよ〜」
龍斗「邪魔はしていいよ。恋のハードルは高い方が面白いから」
裏密「……う〜ふふ〜。外法ひーちゃんって〜複雑なお人なのね〜キシシ…」




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