【4】
■本日の立候補者:霧島諸羽■
失礼しますッ。
え、と…どこかで見てるんですよね? 皆さん、今日は宜しくお願いします。僕は霧島諸羽と言います。
今日は僕が龍麻先輩について普段から自分が思っている事をお話しますね。良かったら聞いて下さい。
……とは言うものの…龍麻先輩の事となると、ちょっと…。
いつも京一先輩になら思っている事もズバズバ言えたりするんですけど…。
どうも……僕、龍麻先輩の事を話すのは苦手です。
あ…ッ(焦)! これは勿論、龍麻先輩の事を悪く思っているとかじゃなくってッ!
むしろ全然逆で…ッ。
…………。
僕、初めて龍麻先輩に会った時、何かホントに話しかけられなくて…(赤面)。
自分自身でも本当に訳が分からなかったんですけど、すごく…緊張してしまったんです。ドキドキ…しました。
龍麻先輩の手とか身体とかは勿論…あの綺麗な髪とか瞳とか唇とか…首筋とか…。
気づくと僕、いつもこっそり目で追ってしまってました。
そしていつも…先輩に触ってみたいなって…思ってました。…す、すみませんッ!
……こんな事、龍麻先輩に気づかれたら絶対嫌われるって…でもそう思ったらもっとどんどん話せなくなって…。
それでいて、京一先輩やさやかちゃんや…他の皆さんが龍麻先輩と一緒にいるのを見ていると苦しくて…。
でもその度に思ったんです。ああ僕、この人の事が本当に好きなんだなあ…って。
それが分かったら益々先輩を遠くに感じちゃったりもしたんですけどね。…はは、何だか本当、情けないですねッ。
けど、それでもいいんです。僕、ずっと片想いでも全然構いませんッ!
ただこれからも龍麻先輩の近くにずっといられればなって。それで僕が龍麻先輩を護ってあげられたらなって。
だから僕、これからも先輩を護る為に腕を磨こうって思ってます! いつの日か京一先輩だって超えるくらいに強く…!
そしていざとなったら僕がいるんだって! …そう、先輩に気づいてもらえるまで、僕は頑張るつもりです!

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「モニター室にて」
アンコ「霧島君…お客さんの前だから猫被ってるのかしら…随分まともな演説を…」
龍斗「わんわんにそっくり!」
アンコ「へ? あ、ああ、風祭君の事ですね? いや、でも彼は違いますよ」
龍斗「うわーうわーお利口そうなわんわんだ! 俺、好き【愛】!」
アンコ「え、ええ? で、でもあれはやめておいた方が…結構凄い牙を隠し持ってたりするから…」
龍斗「へえ! ますますカッコいい! ひーちゃんからは10点満点をあげよう!」
アンコ「……霧島君もほくそ笑みながら喜んでいると思いますよ。それにしても意外だなあ」
龍斗「なあなあ、あれ幾らで売ってくれる? 俺のわんわんにも会わせてやりたい」
アンコ「あ、あのねえ! ドッグショーじゃないんですからねっ(焦)! もう、分かってんのかなあ…!」