【8】
■本日の立候補者:奈涸■
龍麻「わわわ…っ!? こ、これってどういう事…ッ!?」(突然放り込まれて面食らっているらしい)
奈涸「やあ、龍麻君。こんにちは」
龍麻「な、奈涸さん…!? な、何なんですかこれは一体!?」
奈涸「いや、何ね。今回の企画は龍麻君をみんなで取り合おうというものだろう? だが俺たち外法世界の住人は、これまで君と十分に触れ合う機会を与えられていなかった。殆ど初対面にも等しい。だから管理人としては俺たちがここでこうやって対話をし親交を深めていく中で…」
龍麻「深めていく中で…?」
奈涸「ま…面白かった奴をここのお客に選んでもらおう…という腹積もりのようだね」
龍麻「そ、そんなの! 奈涸さんはいいんですか…っ!」
奈涸「何が」
龍麻「な、何がって! だだだだって奈涸さん、俺なんかの相手に選ばれたって別に嬉しくないでしょ! 龍斗だって怒るよ、きっと!」
奈涸「ふ…龍斗に怒られるのは俺も勘弁願いたい…が、彼が怒るわけないよ。あっちのモニター室でここを見てコメントしているような奴だ」
龍麻「え? え? 何なに!?」(きょろきょろと辺りを見回す龍麻)
奈涸「俺自身、光栄だね。龍麻君のような可愛らしい人のお相手候補として選ばれるのだからな。ここのお客は目が高い。先ほど投票所を覗いてきたら、外法の住人ではこの俺がトップだったよ」
龍麻「な、な、奈涸さん…!」
奈涸「何だい、可愛い龍麻君」
龍麻「こんなのはおかしいですよ! そうは思わないんですか! 総受けサイトにしたって限度ってもんがあるでしょうがっ。そ、それに奈涸さんだって別に俺の事が好きってわけじゃないのに!」
奈涸「そんな事はないよ。俺は君のように可愛らしいコが大好きだ」
龍麻「うわあっ。なな何近づいてきてんですか…顔…ッ!」
奈涸「そんなに露骨に逃げる事ないだろう? 俺は翡翠などより余程いい男だぞ。大人の男の魅力ってやつを龍麻君に教えてあげるよ」
龍麻「いい! そんなの教えてくれなくていい! だ、大体オフィシャルでは奈涸さんの年齢はそんな上でもな…!」
奈涸「龍麻君。くだらない事は言いっこなしだ。君ももう少し遊び心ってやつを持った方がいいんじゃないか?」
龍麻「大きなお世話ですッ! 俺は奈涸さんやここの管理人と違ってモラルある普通の人間なんですからっ。あ、遊びで襲われちゃかないませんよ!」
奈涸「ひどいな龍麻君。俺はいつだって大いに真面目だよ。俺を選びたまえよ。真面目なところなぞ、いくらでも見せてあげるから」

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「モニター室にて」
桃香「な、何ていうかその…。ひーちゃんさん、うちの龍麻君の貞操がかなり危険なんだけど…?」
龍斗「あいつ、俺と似てるから」
桃香「……というと?」
龍斗「綺麗なものが好きなの」
桃香「あ、あのねえ…。確かに龍麻君は綺麗だけど。でもあの軽い感じ! わ、私は嫌だな! そ、それに…ちょっとホントあそこに2人を閉じ込めておいて大丈夫(焦)!?」
龍斗「うう〜ん。大丈夫じゃないかもしれない」
桃香「ひ、ひーちゃんさんっ! 龍麻君じゃないけどいいの、そんな事で! 貴方がもう少ししっかりしてくれなきゃ…!」
龍斗「俺がしっかりしてるから、奈涸ってあんないい男でいられるんだよ?」(何やら自信たっぷりの笑み)
桃香「………?? り、理解不能なんだけど…?」