トーカ様コレクション
壬生紅葉のひとりごと。



龍麻と初めて出会ったのは浜離宮の書店でだった。
あの時彼は一生懸命書棚の上方を見上げていて…。
何だかひどく可愛らしかった。

だから僕は彼のその様子にしばらく見入ってしまったんだ。
龍麻に掛かっていた呪いに気づいたのもそのせいだ。
龍麻は先に本を取ってしまった僕を驚いた顔で見つめていたっけ。
…今頃になって何だかあの時の彼の顔をよく思い出す。


誰と組むつもりもない。
誰かと一緒に戦うなんてこと、この僕には必要ない。
僕には僕のやる事があって、だから僕は彼の手伝いなんかできない。
それなのにどうしてだろう?
この掌にある呪いの証を認める度に、思い出す。
僕を見て笑ってくれた龍麻の顔を。


龍麻は…今、一体どうしているんだろう。
また、会えるだろうか?
会ってもらえるかな…。
第23話「とりあえず、帰還」後。呪いを背負い、1人旅立つ壬生。
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