トーカ様コレクション
蓬莱寺京一のひとりごと。



ほんの気紛れだったんだ、最初は。
誰かと群れて旅するなんて冗談じゃねェ。
そいつが旅慣れないひ弱な奴なら尚更だ。

けどあん時は…「ついてってやってもいいか」って…。
何かそう思ったんだ。ち、自分でもよく分かんねェ。
ひーちゃんはホントぼーっとしててどっか抜けてて…けど、何か持ってる。
…俺にない何かを持ってる奴だって感じたからさ。


俺なりに役に立ってたつもりだったし、信頼もされてると思ってた。
ひーちゃんの悩みには気づいてたけど…けど、俺がついててやんなきゃって。
なのに突然消えられて…違う奴らとどっか行っちまったって後で知って。
猛烈頭きた。ふざけんなって思った。
俺がこんなに心配してたのに、このバカ!ってよ。
けどあの時、無事に帰ってきたひーちゃんが俺の名前を呼んだ時は、さ…。
あの時のひーちゃんの顔、何か忘れられねェ。



俺の旅の目的は剣の腕を磨くことだ。
昔っからそれだけは決まってた。


けどよ、今は…今はちょっとだけ……。




第23話「とりあえず、帰還」前。龍麻への想いに途惑う京一。
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