04.06.テーマ「6月の花嫁」
【京主】
『さ、指輪の交換の後は誓いのキスだ、ひーちゃん』
『や、やっぱり恥ずかしいよ京一…。皆が見てる前でなんて』
『バカ、皆が見てるからやるんだろ? これで俺たちは正真正銘の夫婦になるんだぜ』
『う、うん…』
『ほら、じゃあ顔上げろよ?』
『ん……』
「――っていう、ラブラブな結婚式がしてーよなあ、ひーちゃん?」
「バカじゃないのか」
「ンな照れるなって。あ〜マジでひーちゃんの花嫁姿見てー! なぁラーメン奢るからいっぺんだけやってくんねー?」
「俺の恥はラーメン一杯分か!」
【壬生主】
「あ、見ろよ壬生。あそこの教会、結婚式してる」
「ああ、本当だ。……幸せそうだね」
「うん! 花嫁さんもすっごい綺麗だよなあ…」
「………」
「ん…。な、何だよ? そんな人の顔じっと見て…」
「フ…何でもないよ」
「あっ、何だよその笑いはっ。俺が花嫁さん見惚れてたからってからかってんのか!?」
「違うよ。それに、見惚れてたのは僕の方だから」
「え? だって壬生は…あ…」
「ねえ龍麻。せめて…あそこまではこうやって手を繋いで行ってくれない?」
【如主】
「まだむくれてるのか」
「怒ってるのは翡翠だろ! 何だよあれくらいの事で…っ」
「あれくらい、ね。大事な商品を勝手に遊びに使うのは別段大した事ではないと」
「だから悪かったって言ってるだろ! しつこいんだよ翡翠は!」
「君がいつまでも僕の方を見ないからだ」
「だって…」
「あの時の君をとても綺麗だ…と言っていたら、店の経営者としては失格だろう?」
「……俺、ただ翡翠をびっくりさせたかったんだ……」
「十分驚いたよ。あんな美しい花嫁は見た事がない。これからも一生見る事はないだろうな」
「なっ…何だよ一生って…。翡翠が見たいなら…そしたら、また遊んでやるよ!」
【劉主】
「な…何だよ劉…。その真面目くさった顔は…」
「…そう言いながら何でアニキはわいから離れてくの」
「だって何か…俺、お前のそういう顔に弱いんだよな」
「わいだっていつもおちゃらけてばっかりやない。真剣になる時だってある」
「そりゃ…分かってるけど…。で、何なんだ?」
「結婚して」
「は?」
「わいと夫婦になって、末永くずっと一緒に仲良う暮らそ?」
「え? なーんだ、そんな事か! そんなの、今やってる事とそんな変わらないじゃん」
「へ…。あ、あの、アニキ? いやその、何つーか今までと同じノリと思われるとめっちゃ困るんやけど…」
【村主】
「先生の花嫁姿、さぞや別嬪さんだろうな」
「……何が言いたいんだ?」
「この間御門の仕事先でばったりと見ちまってな。お、こりゃ先生に是非着せたいと思ってね」
「ばっ…!? お、お前、まさか…!」
「ご名答。どうだい、先生? 可愛らしい色だろう。サイズもぴったりだと思うぜ」
「アホバカ恥知らず! おま、一体な、何考えてんだよッ。誰がそんなもの―!」
「着ない、とは言わさねーぜ先生? 金の話をするなんざ野暮だが、これでも結構したんでね」
「し、知るかよ! お前が勝手に…って、ちょ、脱がすなー!!」
「ちゃんと着てやらなきゃドレスが泣くだろ。ほらよ、目、開けてみな? 綺麗に輝いてんだろが?」
「お前〜。ドレスが泣くのは駄目で、俺が泣くのは構わないってのか〜!!」
【犬神主】
「あ、また。お見合い写真発見!」
「お前は家に上がりこんだ早々それか」
「だって先生の所の大家さん、すぐ先生の事結婚させようとするんだもん。時折チェックしないとね」
「チェックしてどうするんだ」
「別に。ただ先生の好みそうだったら…邪魔するかな?」
「ばぁか」
「先生も男だから。やっぱり女の人のこういう着物姿とか、花嫁姿だって好きでしょ?」
「フ…ならお前がしてみるか? 案外似合うと思うぞ」
「……別にいいよ。先生が貰ってくれるんなら」
「ムキになるな、冗談だ。まったくお前は…まだまだ子どもだ」
【九角主】
「パーンパカパーン! パンパカパーン!」
「死ね」
「いって! 何すんだよ、いきなり足蹴りかよ!」
「煩ェッ! そのふざけた格好でそう言うかテメエは!」
「知るかよ〜。来たら鬼道衆さんたちにこれ着てくれって土下座されたんだから」
「奴らにそのまま乗るテメエが悪い!」
「わ…珍しい…。俺のせいなのか、今回は…」
「そうだ…! 分かったらさっさとそのズルズルしたド派手な服を脱いでこい!」
「分かったよ。…けど、何もそこまで目を逸らす事ないじゃん…。そんな頭きた…? ごめんな…」
「〜〜〜! このバカ野郎がっ。ンなモタモタしてんなら、この俺が直々に脱がせてやるッ!!」
【美里主】
「龍麻見てちょうだい。3日前から徹夜で仕上げたのよ」
「ぐあッ!? な、何そのブラックな…それ、ウエディングドレス…?」
「ええ、そうよ。うふふ、どう、似合うでしょう?」
「う、うん、それはもう…神々しいほどに…。美里、結婚するの?」
「ええ」
「…嫌な予感を覚えながら一応訊くけど、一体誰と?」
「それで龍麻にはこれ。やっぱり純白よね。私との対比を考えてデザインはちょっと派手目にしたわ」
「美里、それおかしいから。花嫁さん同士で結婚なんかできるわけないだろ?」
「あら、2人共ドレスの方が似合うからこうしただけよ。花婿役は私がちゃーんとやるわ、うふふ…」
「…俺は結局花嫁なのか…」
【雑多主】
雨紋「龍麻サンの花嫁姿といや〜、俺らの永遠の憧れだよナ!」
アラン「OH、アミーゴのドレス姿、絶対ビューティフル! 見てみたいネ〜!」
雪乃「しかし普通に頼んだんじゃー絶対やってくれっこねえしな、そんな格好」
さやか「そうですか? 私が頼めばきっと龍麻さんもうんと言って下さると思うんですけど」
霧島「さやかちゃん、脅迫しないで先輩を説得するんだよ」
雛乃「うふふ…。それに花婿を誰にするかでも揉めそうですわよね」
御門「全く不謹慎な話し合いを…! 龍麻さんにご迷惑でしょう!」
芙蓉「晴明様の仰る通りでございます」
舞子「でも〜。舞子もダーリンのウエディング姿見たぁ〜い」
藤咲「そうよねえ。あんだけ綺麗で可愛いんだもん。むしろやらない方が罪だわよ」
小蒔「決定! じゃ、ひーちゃんには何が何でもしてもらおうよ、花嫁さんッ!」
醍醐「さ、桜井…。だがどうやって龍麻を説得するんだ?」
紫暮「むう…。ならば俺と血闘をして、負けたらしてもらうという事で…!」
紅井「したらしてもらえねーじゃん! 師匠の強さはハンパじゃねーぞ」
桃香「そうよねえ…。やっぱり力で押すのは逆効果だと思うわ」
マリイ「じゃあマリイがお願いしてミル!」
アンコ「それはかなり効くと思うけど…でも駄目でしょうねえ、さすがに」
黒崎「やっぱりここはこのブラックがひーちゃんにストレートなプロポーズをするしかないか!」
一同「却下!」
裏密「キシシ〜。なら〜ミサちゃんが呪いのドレスをひーちゃんに〜」
青葉「駄目駄目! そんな怪しげなものを龍麻君に着させないで!」
比嘉「あんたらと一緒だと、龍麻がどんどん変な道へ連れてかれそうだ…」
マリア「アラ、そんな事はないわよ。頼りになる美人担任がついてますからネ、ウフフ…」
天野「はいはい、怪し過ぎるから」
鳴瀧「む…。ドレスや式場の手配ならいつでもしてやれるんだが…」
岩山「金に糸目はつけないって事だね。なら白粉はアタシが施してやるかね、ヒヒヒ…」
ウゴー「ウゴッ!? ウゴンウゴン、ぶるぶる…!」
道心「何でえ何でえ、結局ちっともまとまらねーじゃねーか。で、花婿は誰になったんだ?」
龍山「いやあ…その前に龍麻が花嫁になるかが問題じゃて…」
伊周「フウー、まったく爺さんまで出張ってきて、龍麻も色々大変ねえ」
紗夜「……出張ると言えば、そろそろ来ますよ」
佐久間「ったく、ぐだぐだとしょーがねーなテメーらッ!」(バーン!!)
一同「出た…」
佐久間「龍麻の花婿はこの俺だ! 龍麻のドレス姿なんざ、この俺がババッと動けば―!」
一同「じゃ、詳しい作戦会議はまた別の場所でやるって事で」(ぞろぞろ…)
佐久間「!? お、おい、テメエら! まだ俺の話は終わってな…!」
しーん。
佐久間「………」
しーんしーんしーん。
佐久間「……俺は、し、白無垢がいい……」(寂)