「俺はな、龍麻…」
天童はこれでもかという程激しい目をして、龍麻のことを見やった。
「待つのは嫌いなんだぜ。そんな事も知らなかったのか?」
「や…でも、僕……っ」
一生懸命天童の拘束を解こうともがく龍麻に、天童の気持ちはより一層昂ぶった。けれども嫌がる龍麻に更に無理やり唇を重ね、押し倒した瞬間―。
ピ――――――!!!
「………っ!!?」
突然、目の前に鬼道衆たちが現れた。やたらとでかい笛を鳴らしたのは、水角だ。
「な、何だてめえら…!」
「ゲームオーバーにございまする、御屋形様」
「何ィ?」
「ひーちゃん様をごらん下さい」
見ると、自分に押さえつけられ、畳の上に身体を倒されたひーちゃんは(もはや龍麻というのもかったるい!!)、両手で顔を覆ってしくしくと泣き出してしまっていた。
そんな姿もめちゃくちゃ可愛かったり…などと言っている場合ではなく。
「ひーちゃん様を泣かせたら、ゲームオーバーと申し上げたではないですか」
「ば、馬鹿野郎!! 俺のキャラだったら、こうするに決まってんだろうがッ!!」
「そんなことは存じませぬ。良い子なひーちゃん様を泣かせた罪はかなり大きいのでございます」
「てめえら…ホントに俺の部下か?」
「まあいいじゃないですか。無理やりでもちゅーできたんですから」
「……こら待て! ちょっと待て!! 龍麻をどこへ連れて行く気だ!?」
いつの間にか自分から離された所に連れて行かれている龍麻に柄にもなく焦って、天童は声を荒げた。
そんな天童に龍麻は泣きはらした目のまま振り返って。
「ばいばい、天童…。またゲームで敵同士として会おうね?」
そう言って、去って行ってしまったのであった。無念…。
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