あとがき…



  今回の連載「錆」のテーマは、最初からはっきりしていました。前回の丘の時は「家族」をテーマにしていたつもりが、「ここはホ○サイト!だからホ○を書く!」というのが自分の中にもあったせいか途中で「総受け」が主旨のようになり、全体的に中途半端になってしまいました。BLサイトなんだから最初からそれ中心に書くべきだったんですが、当初のテーマも捨てきれず…。

  しかし懲りない私の、今回の連載のテーマは今度こそうまくやるぞ!って事で再び「家族」でした。でも、最初から決めていたテーマにもう一つ、今度はきっちり「同性愛」も入れていました。つまり、この作品のテーマは「同性愛と家族」です。

  今回、雪也の恋人に涼一という人物がいましたが、私の中で奴は本当に愛しかったです。一見何でもできて美形で皆の人気者だけれど、実は傲慢で我がままでランボウ者…。毎週皆様から頂く感想での、「涼一最低!」「何だこの男わ【怒】」等々お叱りの言葉は…というか、嫌われっぷりは凄かったです。でも一方で、それなら主人公の雪也が好かれているかというと、(勿論応援して下さった方も多かったですが)「何てはっきりしない子なんだ」「イライラする〜!」という叱咤激励も少なくありませんでした。後半、涼一の人気が上昇していくにつれ(何故・笑)、雪也へのそれはますます増えていき、でもだらだらじりじりと変わっていけない雪也に、自分でも書いていて「この連載終わるんだろうか」と思ったものです(結構その場のノリで書いていたので…)。

  でも、そうやってぐるぐる悩む雪也もまた書いていて愛しく、終盤になって「この子には本当に幸せになって欲しい」との応援を頂いた時は、それは単に涼一とくっついて終わり、とかではない「幸せ」の意味で言ってもらえてるんだなあというのが分かって、一緒に見守ってもらえていると感じられてとても嬉しかったです。
  毎回の事ですが、連載物は毎週読んで感じた事をそのまま伝えて下さる皆様に成長させてもらって、イッコの作品になるなあと……ありがたく思っています。

  何はともあれ、丘よりも長くなってしまった錆連載ですが…色々な事を考えながら書けて、本当にとても楽しかったです。あっという間の数ヶ月。
  長い連載でしたが、最後まで読んで下さった皆さん、どうもありがとうございました。



2002.11.23 上総 実
(2008.02.一部改訂)