質問58「相性占いって信じる?」

志井とツキトが暮らすマンションにて。
(*ツキトシリーズにあるSS「占い」のその後編です)


志井「月人。この雑誌に相性占いってのがついてた。ちょっとやってみよう」
ツキト「し、志井さん…。この間の占いサイトの事まだ気にしてるの(汗)?」
志井「いいからやろうぜ」
ツキト「うん…」←気が進まない
志井「んー…これ、同じ質問を別々にやってみて、その後どれくらい一致するのかを見るのか…。めんどくせェな、雑誌一冊しかないし、一緒にやるか」
ツキト「面倒ならやらなくていいのに……」
志井「何か言ったか?」
ツキト「な、何にもっ」
志井「よし、じゃあやるぞ。【問1】今日は楽しい日曜日。貴方は恋人とデートの約束をしています。待ち合わせ場所は何処? A.公園/B.駅前/C.どちらかが自宅まで迎えに行く……こんなの俺ら一緒に暮らしてんだから《C》しかないよな」
ツキト「えっ…。俺は…《A》かなって思ったんだけど」
志井「何っ……どうして?」
ツキト「どうしてって…別に…直感で…。デートって言ったら何か何処かで待ち合わせるって言うイメージだし。そうしたらやっぱり公園がいいかなって」
志井「……いきなり不一致か」
ツキト「い、今のはしょうがないよ! どんどん次いこう!」
志井「じゃあ…【問2】やって来たのは映画館。…何で映画なんだよ、ベタだなこのクイズ…」
ツキト「クイズじゃないと思うよ…」
志井「まあいいか。えーと? 貴方は恋人とどんな映画を観たいですか? A.恋愛もの/B.ドロドロなホラー/C.社会派ドラマ……まぁ…《A》かな…(どれかって言われりゃ本当は《C》だが、ツキトがこれを選ぶ事はないだろう…)」
ツキト「……俺、《C》」
志井「! 何でだよ!? ツキト、新聞もいつも飛ばし読みしかしてないだろ!?」
ツキト「いや…俺、ドラマは好きだから…。世の中の事知ってないの恥ずかしいし、ドラマなら見られるかなって」
志井「……恋愛とかホラーは興味なし?」
ツキト「恋愛映画ってよく分からないよ。ホラーは、怖いの苦手だし…」
志井「………」
ツキト「……し、志井さ…」
志井「【問3】映画の後は食事。何が食べたい? A.イタリアン/B.中華/C.お手軽ファストフード……何で和食やフレンチはないんだよっ」
ツキト「志井さんはそれが良かったの?」
志井「いや。単にこのクイズにむかついただけ」
ツキト「だからこれクイズじゃ……って、もうやめる(汗)?」
志井「いーや、やめない。ツキト、今度はお前が先に答えろよ」
ツキト「え、何で…?」
志井「いいから」
ツキト「じゃあ…俺…ファストフードかな」
志井「………」←自分は違うらしい
ツキト「! お、俺、やっぱりイタリアンがいいかなっ!」
志井「………」←それでもなかったらしい
ツキト「………(大汗)」
志井「【問4】食事の後は何処へ行く? A.ショッピング/B.カラオケ/C.…あ…公園で散歩!?」
ツキト「お、俺! 公園で散歩がいいっ!!」
志井「俺もだ! やっとイッコ同じになったな!」
ツキト「うんっ。良かった!」
志井「よおし。次…え? もうラストか……って…ん……」
ツキト「? どうしたの?」
志井「……今まで一つしか同じじゃないから、たとえラストが一致しても、相性はせいぜい40%ってとこか…」
ツキト「え、そうなの? あ…イッコ20点ならそうだよね」
志井「半分以下……」
ツキト「こ、こんなの全然気にする必要ないよっ。だって本当なら待ち合わせ場所なんてないし、俺、志井さんが観たい映画や志井さんが食べたい物がいいもん。俺、志井さんに合わせるからさ!」
志井「ツキト……」
ツキト「俺、占いなんか全然信じてないよ。こんなのバカバカしいよ」
志井「そうだな…。俺も、らしくなかったな」
ツキト「そうだよっ。あ、でもさ。一応そのラストのやつもやってみる? 相性なんか気にしないで」
志井「そうだな…。じゃあ、やるか。えーと、【問5】これまでの質問に対し、貴方は何を思いながら回答してきましたか…? A.自分の思うままに選択/B.相手の答えを予測しながら選択/C.途中から相手の答えを想像しながら選択…何だこりゃ……」
ツキト「俺は…結構自分の思うままに答えてたから、《A》だけど…」
志井「俺は《C》だな。けどこれは……ん……」
ツキト「何なの?」
志井「………」
ツキト「?? 志井さん…? えっと貸して? ……今までの問いは問5の為だけに用意したもので、相性とは関係…ありません…!? 大事なのは最後の問5にお互いがどう答えたか。え、ええ…?」
志井「この雑誌舐めてるだろ、絶対」
ツキト「そ、それで…!? あ、これか! 問5に対し、貴方(もしくは恋人)が《A》で、相手(或いは貴方)が《C》と答えた場合は…。一人が勝手に突っ走り、一人が妙な気の遣い方をする今の関係はお互いにとって宜しくありま…せん。…相性的にはそれほど悪くはないと思いますが、こんな【なあなあ】な状況ではあまり長続きしないかも。注意すべし…。…………」
志井「………」
ツキト「あ……ご、ごめん。俺のせいだ、ね…」
志井「ツキトは悪くない」(すっくと立ち上がり)
ツキト「!? ど、どうしたの志井さん?」
志井「電話してやる。この占い師の所に」
ツキト「え、ええ!?」
志井「どういう根拠でこんなくだらんものを作ったのか一言言ってやらないと気がすまない。仮にも金取ってるなら何か根拠があるんだろう。そいつの勝率も問い質してやる」
ツキト「ちょっ…やめようよ、たかが雑誌についてる占いじゃない!」
志井「俺にとってはたかがじゃないっ」
ツキト「し、志井さん…!?(志井さんが壊れてる…!!)」
志井「心配するなツキト。俺がこれがどれほどいい加減なものか確かめてやるから(もし適当な事言いやがったらタダじゃおかねえ…!)」
ツキト「し、志井さん〜っっ」


おいてけぼりになった雑誌から。
2人が見なかった占い雑誌の追記……【尚、この占い結果で「相性が宜しくない」と出てしまったカップル様。こんなお遊びにいちいち熱くなるようなら貴方たちは至ってまともなカップルです。ラブラブです。だから、心配しないでね☆】



【完】