質問11「押し倒すのはどっち?」

大学構内。図書館棟近くのベンチにて。
サークル仲間に捕まっての会話。



A子「雪也君、見ーっけ!」
B子「もーう雪也君、こんな所で1人寂しく座ってるなら、私らの部室に来てくれればいいのにぃ」

雪也「あ…(汗)。え、えっと、どうしたの?」(読んでいた本を閉じて)
A子「えへへ…藤堂から聞いたよー。雪也君、彼女いるんだって?」
雪也「え!?」(ぎくぅっ!!)
B子「やーもうショックだよ〜。雪也君はフリーだと思って、私結構本気で狙ってたのにっ。ねえねえ、彼女って一体どんな人? ってか、私たちの知ってる人?」
雪也「え、え…(焦)」
A子「今日という今日はちゃんと教えてくれるまで逃がさないからねっ。私たちにずっと隠してた罰っ!! さあ素直にゲロしちゃいなさい!」
藤堂「……お前らはどこの警察だよ(笑)」
A子「何よー別にあんたは来なくていいのにー」
B子「そうだよー邪魔邪魔〜」
藤堂「お、お前らな…。だから俺は傷つきやすい男だって何度も言ってるだろーがっ。それに桐野の事、ついうっかりお前らに喋っちゃってよ。これでも反省してるんだ。桐野、悪いな」
A子「ちょっとそれどういう意味よー!!」
B子「そうだよっ。私たちにだって雪也君の彼女の事を知る権利はあるでしょー!! ねえねえ雪也君〜、いいよね? 教えてくれるよね?」
雪也「あの…それはちょっと…ご、ごめん」

A子「えー!! 何でー!! 雪也君も涼一君と一緒で秘密主義なの!?」
雪也「そういうわけじゃ…ないけど…」
藤堂「桐野はな、お前らと違って誰彼構わず自分の彼女自慢するようなタイプじゃないんだよ。むしろそういうのを恥ずかしがる性格っていうか…」
B子「だからあんたの意見は聞いてなーい!!」
藤堂「こ、こいつ…。大体、俺だって教えてもらってないのに…」
A子「えっ、何よあんたも教えてもらえてないの? わ〜」
藤堂「な、何だよ…っ」
雪也「あ、あの…! 本当にごめん…っ。でも別に特別話すような事もないし…」
A子「えーそんな事ないよ。雪也君が好きになるタイプってすっごく興味あるもん。ね、じゃあこれだけ教えて。雪也君から告白したの? それとも向こうから?」
雪也「む、向こうから…」
A子「やっぱりね」(うんうんと納得したように頷くA子)
B子「へー、でも今は雪也君も相手の事すごく好きなんだ?」
雪也「それは……うん」
藤堂「かーっ。結局桐野も涼一と一緒でノロケかよ〜。そんなラブラブじゃー、毎日身体の休まる日もないってかーおい?」(にへら〜)
A子「……このオヤジは」
B子「わっ、雪也君、藤堂の言葉なんかで赤くなっちゃってる〜!! やっぱ可愛い〜!!」
雪也「そ、そんな事…っ」
藤堂「わはははっ。おい桐野、お前図星なわけ? 羨ましいねコノー!! けどお前が率先して彼女押し倒すとかって想像できねえなあ。案外彼女がリードしてお前を押し倒してたりして〜!?」

雪也「……………」(絶句)

藤堂「あ、あれ………?」

雪也「………」(石化)
A子「……やっぱり女は積極的じゃなきゃ駄目って事ね」
B子「何だー押し倒してモノになるなら私もさっさと押し倒しておけば良かった」(がくーっ)
藤堂「……いいなあ」←羨望の眼差し


【完】