質問13「恋人と一緒に観る映画って…?」

涼一のマンションにて。


涼一「……雪、コーヒー」
雪也「あ、うん。ありがと」
涼一「また創、お前にタダでビデオ貸した?」
雪也「う、うん…」(恐る恐る涼一を見やる雪也)
涼一「………」(案の定むっとしている涼一)
雪也「創、今日俺が涼一の部屋行くって言ったら、一緒に観る用にって言って…」
涼一「はっ。一緒にねえ…。で、何貸してもらったんだよ」
雪也「俺も観た事ないから分からないけど…あ、ケースにあらすじのメモが張ってある。いつの間に」
涼一「…じゃあ、そん中でまだ観ても良さそうなマシなやつ1本だけな。3本も貸しやがって、俺らに徹夜しろってのかよ…」
雪也「それじゃ、涼一が選ぶ? 1本目は…え、と…『嫉妬深い暴力夫から必死に逃げる妻、その妻を執拗に追いかける暴力夫、恐怖と緊張のサスペンスドラマ』……だって」
涼一「…………」
雪也「に、2本目は…っ(焦)。『恵まれない家庭環境の中、孤独に生きてきた青年が数年ぶりに再会した幼馴染と激しい恋に落ちるラブストーリー』。………(汗)」
涼一「……雪、俺ちょっと出掛けてくる」
雪也「ど、何処行くの?」
涼一「決まってんだろッ【怒】! あの創のバカやろうを思いっきりぶん殴ってくんだよっ! あいつ俺に喧嘩売ってんだよ、この前から!」
雪也「お、落ち着けよ、涼一…っ」
涼一「これが落ち着いていられるかーッ!!」
雪也「た、多分創なりのギャグなんだよ、これ…。俺、そう思うっ。それにほら、最後の3本目。これはまともなやつかもしれないだろ…?」
涼一「3本目? ハン、どうせロクでもないのに決まってるよ! 恋人とうまくいってない主人公のもとに現れたビデオ店員、そいつと主人公との恋の行方、とかそういうやつなんじゃねーの!」
雪也「……俺たちってうまくいってないの?」
涼一「ちっ…! そ、そうじゃないよ! た、ただ…っ」
雪也「……俺、いつも涼一のこと不安にさせてる……」
涼一「そうじゃない(焦)! そんなんじゃないけど…! けど…」
雪也「涼一?」
涼一「俺…前、お前にひどい事、したし……」
雪也「え……」
涼一「だから…だから、俺が勝手に焦ってるだけ…だから」
雪也「そんなの……」
涼一「ごめん。でも、俺がイラつくとまた…雪に心配かけるよな。ホント、俺ってまだまだガキだな…」
雪也「……涼一。一緒に映画観よう?」
涼一「………うん。で、3本目は何があるんだ?」
雪也「うん! えーと……」
涼一「何?」
雪也「………何これ(汗)」
涼一「?」


雪也「うさぎ初監督作品、『桐野の日常』だって……」


涼一「…………は?」
雪也「…え、え? 何? ひ、寛兎が俺の事1日中張って撮ったビデオだって…えええ(汗)!?」
涼一「な…ななな……」
雪也「嘘…っ。い、いつの間に…!? あ…! だ、だからこの間突然家に泊まりに来たのか…!」
涼一「う、うさぎが泊まりに来た!? 雪ン家に!? い、いいいいつだよ、それ…! お、俺聞いてない!!」
雪也「つ、つい最近だよ…。家にいるの嫌だって言って…。いつもなら創の所に行くのに、ヘンだなとは思ったんだけど…」
涼一「雪! お前、お前、まさかあいつと一緒に風呂入ったとか、一緒に寝たとかそういうのないだろうなー!?」
雪也「あ、あの…涼一…?」
涼一「まさかまさか…そのビデオ…! まさか創のやつも見たのか? なあ、そうだよな、あいつが貸してくれたんだもんなー!?」
雪也「あの、でも1日一緒にいたって言っても、俺、風呂は一緒に入ってないよ…? 寝たのは…まあ、一緒に寝たけど…」
涼一「寝顔撮られただろ!? 雪、お前、お前無防備なのもいい加減にしろよ!? あいつはガキの姿をした悪魔だぞ!! く、くっそー!! あいつら、あいつら…ぶっ殺してやる〜!!」
雪也「りょ、涼一…!!」


その頃、「淦」では。


うさぎ「創。那智さんが面白い」
創「お前のいたずらが過ぎるから、姉さんを怯えさせているんだろう? …まあ、あんな日常風景ビデオに今頃激怒しているだろう剣君が1番いけないと言ったらいけないのか…」
那智「あわわわ…! あのビデオを目にしてしまったからには私も同罪です…! 剣さんに殺される〜!!」


【完】