質問15「投手に多い性格って…?」

ブルードラゴンズ練習終了明け。河川敷グラウンドにて。


椎名(29)「あっちー。いや〜バテた。今日は特にバテたな〜」
平(45)「お前なあ。年寄りくさい事言ってんじゃねえッ! 俺を見ろ、まだまだ500本はいけるぜ?」(むききと力こぶを見せ付けてみる)
杉本(37)「いやいや、しかし今日は俺も特別バテたよ。我がキャプテンが異様に燃えてたからねえ」
平「大会近いしな。ん、そのキャプテンはどうした?」
椎名「さっきまで蕗嶋を虐めていたが…」
蕗嶋(30)「ひ〜、何だってあの人はあんなにムキになるんですかね。殺されるかと思った〜」(よろよろと初登場)
平「何だそのよれよれ具合は。お前があまりにもだらしないから正人も呆れんだろうよ。ぽろぽろぽろぽろ、よくもまあうまい具合にこぼすよな」
蕗嶋「むっ! 放っておいて下さい。元々僕のような人間にこういう泥臭い熱血スポーツは向いていないのです。本当はテニスとかフィギュアスケートとかね、そういうのがやりたかったのに…」
中原(20)「ごちゃごちゃうるせーよっ」(蹴り)
蕗嶋「ひいっ! なな…? ま、正人君、グラウンド使用料を払いに行ったのでは…?」
中原「今から行くんだよ。ったく、いい大人がいつまでもぐちぐち文句たれてんじゃねー。…おい、トモ。行くぞ!」
友之(15)「……うん…ッ」(慌てて後をついて行く友之)
椎名「……何で正人はいつも友まで連れていっちゃうんだ」
杉本「それはやっぱりここに置いておくのが不安だからじゃない」
平「お前らが友にいらんちょっかい出すから正人のガードが固くなるんだろうがよ!」
蕗嶋「ちょっと平さん。何こっち睨んでるんですか。友君に犯罪者的視線を向けているのはここにいる椎名でしょう!」
椎名「いやお前も同罪だろ。この間友に写真集プレゼントしてるの見たぞ俺。友が写真…それも風景写真を好きだって情報、どこでゲットしやがった」
蕗嶋「知りません。僕と友君の好き感性がたまたま一致していただけのことです」
平「お前、いちいちむかつくなあ」
蕗嶋「はあ〜。何であんな可愛いコがこんなむさい集団で野球なんかやってるかなあ…ぶつぶつ」←聞いてない
椎名「……こいつ殴っていいですかね」
平「俺が許す」
杉本「まあまあ。実際友君見て潤ってる僕らも人のことは言えないわけで」
椎名「しかも俺らだけじゃないとこがミソですね」
水乃屋(26)「おーい、お疲れさんです! ねーねー皆さん、これからうち来ません? 黒字月間につき、只今水乃屋、大大サービス中ですよ!」
椎名「あ、風呂屋だ」
杉本「幸平君、今日は妙に張り切ってたねえ。何かいい事あったの」
水乃屋「ははは、まあ…。それよりどうです? あとの皆も大体行くって言ってくれてるんすけど」
平「……テメエンとこはいつもサービスサービス口だけはでかい事言って、実際大したサービスしてねーじゃねーか」
水乃屋「あ、ひっでえなあ。この間コーヒー牛乳奢ってあげたじゃないですか」
平「俺はお前にビールを奢ってやった!」
杉本「はいはい、子供の喧嘩しない」
椎名「あーでも俺今日はパス。見たいテレビあるんでもう帰るし」
蕗嶋「大衆浴場なんて冗談じゃないですよ。この僕に1番似つかわしくない場所です」
平「コイツの言い方はむかつくが俺も行かん。家で一杯やりながら自分ちでくつろいだ方がいい」
水乃屋「あっ、そう〜ですか。ま、いいけどね。友は来るけど♪」


一同「………は?」


水乃屋「はいはいはい、別にいいですよ? そりゃそうですよね〜。大したウリもないうちなんてチンケな銭湯より、おうちのお風呂の方がいいですよねえ? さっさと帰って一人なり奥さんなりと一緒にくつろいで下さいよ」
椎名「幸平君! ごめん許して! 俺行く! 絶対行く!」(縋りつき)
平「風呂屋〜!! テメエ、でかした!! 一体どうやって誘ったんだよ〜!? すっげえ大サービスじゃねーか!! このやろう〜!!」
杉本「……あ、雅子か。ウン、僕だ。今日は帰りがちょっと遅くなるから…うんうん」←家族に即行で電話しているパパさん
蕗嶋「………ま、まあこの僕もたまにはそういう所へ行って違う世界に身を置いてみるのもいいかなって…思うわけですよ、うん」
水乃屋「はい、まいどありー!! 4名様ご案内〜♪」(チャリーン)
椎名「しっかし本当かよ? よく友が…というか、正人がオッケー出したなあ! 奇跡に近くないか?」
平「くう〜生きてて良かった!!」←変態オヤジ…
蕗嶋「…人生って素晴らしい…!」
杉本「でも本当に…? 幸平君、どうやって誘ったんだい? 友君は人見知りが激しいから、僕たちとあんまり話してくれないし」
水乃屋「あー簡単っすよ。コウが行けって言ってたよって言ったの」


一同「………は?」


水乃屋「友はホントお兄ちゃんっ子だからなあ。いやーしかしこんなあっさりうまくいくとはね♪」
平「……おい(汗)」
椎名「な、なあ。念の為訊くがこの事正人は知ってるのか…?」
水乃屋「ああ、正人? 知ってますよ。あいつも誘っておきました」
一同「!!……そ、そしたら…?」
水乃屋「えー何か『ははは』とかって笑ってたけど? そういや、結局あいつも行くのかな。あれ、ところで友と正人は?」
平「……帰ったな」
杉本「あのまま帰ったんでしょうね」
椎名「ですね」
蕗嶋「……水乃屋君。そういうのは『笑い』とは言わないんだ。『乾いた笑い』というんだよ」(軽蔑の眼差し)
水乃屋「は…? あれ、おーい、どした? みんな、何で帰っちゃうんですかー? 風呂はー??」
椎名「あいつって商売に対して小ズルイ割には妙に天然なんだよなあ…」
平「ピッチャーって人種はマイペース野郎が多いからな」(むっつり)



【完】