質問16「恋人の嫌いな食べ物って知ってる?」

雪也の幼馴染、護の行き着けカフェテリアにて。
涼一と護が向かい合わせで窓際の席に座っている。
雪也はカウンターの所で何やら店の女主人と話している。


護「……ふっ。やっぱり涼一もついてきた」
涼一「悪いかよ」
護「うん。悪い(笑)」
涼一「んな…! 大体なあー! 今日はずっっと前からこのオ・レが! 雪と約束してたんだよ! それを何だよ、突然帰国してきたからって電話なんかしやがって…!」
護「だって折角なら雪の顔見て帰りたいじゃないか?」
涼一「…………」
護「雪、嫌がってた?」←意地悪
涼一「嫌がってるわけねーだろッ【怒】! す…すげえ嬉しそうに言ってきたよ! お前がちょっとの期間だけ帰国してきてるから…会いに行ってもいいかってさ…」
護「それでお前が駄目と言っていたら、俺は雪を一緒にアメリカに連れて行ってたな」
涼一「!!!」
護「冗談だよ」(あっさり〜)←やっぱり意地悪
雪也「はい、涼一」(席に戻って来て自分たちのコーヒーをテーブルに置く雪也)
涼一「あ…」
雪也「こっちは護の」(言って今度は護の前にコーヒーカップを置く)
護「さんきゅ」
涼一「……何でお前が運んでくるわけ? こんなガラガラの店でさ…あのオバサンが運んでくればいいじゃん」(むっすー)
護「聞こえるぞ。それにマスターはまだ30歳だぞ?」
涼一「ふん、だってムカつく。さっきなんて俺の顔見て物知り顔に『君が護君に勝った子なの〜?』とかなんとか言いやがってよ! テメエはどこまで喋ってんだよ!」
護「話さなくてもバレるんだよ。あの人鋭いから…(苦笑)」
店の女主人「あら、私の事噂してた?」(トレイに昼食を載せてやってきた、本編の最終回にだけ登場した女性店主)
護「はは…まあね」
店の女主人「涼一君、美しい《お姉さん》の特性バーガーをどうぞ?」
涼一「どーも」(むすー)
店の女主人「雪也君、これでいいのよね? はい、じゃあこっちが涼一君。こっちが護君の」
雪也「あ…ありがとうございます…っ」
護「……? 何だ?」
雪也「あ。さっき涼一の方のにはピクルスは抜いて下さいって頼んだんだ。涼一嫌いだから…」
涼一「え……」
護「へえ?」
店の女主人「やーん、もう! この細かい心配り! お姉さん、雪也君のこと好きになっちゃいそう! キュートだし!」
涼一「こ…! この年増! ヘンな色目向けて雪に近づくなっ!!」(バンッとテーブルを叩いて立ち上がる涼一)
店の女主人「何よ〜失礼しちゃう。まったく護君、ホント平気なの? こんなお子様に大事な幼馴染渡しちゃって」
護「まあ…駄目そうなら、ちゃんと俺が引き取りますから」
雪也「え…ま、護…っ?」
涼一「こ、こ、この…!」
雪也「涼一…っ」(心配そうに横から視線を寄越す雪也)
涼一「……!」(ぐっとなって黙り込み、ゆっくりと座り直す涼一)
護「……ぷっ」
涼一「……何だよ!」
護「別に。じゃ、食べようか?」
雪也「うん」
護「あ、でも雪」
雪也「え?」
護「お前、覚えてなかった? 実は俺もピクルス駄目なんだよな」
雪也「え……!」
護「何かショックだなあ(笑)。そうやって涼一のはわざわざ除けてもらっているのに、俺の方のは忘れててそのままなんてさ」
雪也「そ、そうだったっけ…護に食べ物の好き嫌いなんて…(焦)」
涼一「…………」←かなり嬉しい
護「ま、しょうがないよな。5年も離れ離れになってたわけだし…」
雪也「あ、なら…護の、今取ってあげるよ。貸して」(そう言いながら慌てて護の皿を引き寄せ、バーガーからピクルスを取り出す雪也)
涼一「な…!?」
護「え、わざわざいいのに。悪いな、雪」(含み笑)
店の女主人「わーもう雪也君ってやっぱり優しい♪」(含み笑)
雪也「これくらい大した事ないから。はい、まもー」


涼一「ちょっと待ったあああ!!!」


雪也「!? りょ、涼一…?」
涼一「俺がこっちを食う!」(がっつと護に差し出された皿を取り上げる涼一)
雪也「え? え、でも…」
涼一「テメーはこっちを食え。最初っから除けてあるやつの方が味が残ってなくていいだろ! 俺は親・切、だから! 替えてやる!」
護「……(笑)。俺は雪が手、つけたやつの方がいいんだけど?」
涼一「ふざけんなッ! お前はおとなしくそっちを食ってればいいんだよ! でなきゃ雪、連れて帰るぞ!!」
雪也「りょ、涼一…???」
護「あはははは! 分かった、分かったよ。俺はこっちでいいって。そんなムキになるなよ」


店の女主人(………うーむ、護君が遊んでる)



【完】