質問17「安い買い物をする方法って…?」

某スーパーの食品売り場にて。


雪也(…あの子…何か探してるのかな……)
友之「……っ」(困ったようにきょろきょろと視線を動かしている友之)
雪也(卵買ってる…。そろそろ店長が安売りシール貼りに来るのに)←節約主婦の鑑
友之「………」(雪也の視線に気づいてはっとする友之)
雪也(あ、こっち見た。訊いてくるかな…?)
友之「………」
雪也(来ないな……)
友之「………」(更に困ったようにウロウロする友之)
雪也「あの…さ。何か探してるの?」←遂に言った
友之「あ……」
雪也「え、と…。俺、ここによく来るから、もし何か探してるなら…」
友之「………」
雪也「あ、あの…?」
友之「………ビール、を」
雪也「え、あ、ビール? ビールはもうちょっと向こうのコーナーだよ」
友之「………」(ぺこりと頭を下げて去って行く友之)
雪也(……お使い、かな……)
店長「おい、Aちゃん! トモ君、もう買っちゃってたけど、シールは貼っておいたか!?」
バイトのA君「あ、店長〜!! 勿論っすよ!! びっくりしました、いつもより一時間も早く来るから!! 焦りましたよ〜!!」
店長「ふぅ〜、まったくな。俺も今見かけてびっくりしたよ。先回りして今度は食パンフェアやらにゃ!」
バイトのA君「今はビールコーナーに行ったみたいですよ! あ、お客さん、そうですよね!?」
雪也「え…(驚)? あ、さっきの子…? え、ええ、そうみたいですけど?」
店長「いかん、あんな重い物を!! カートだ、カートの用意だ!!」
バイトのA君「ラジャーッ!!」(だだだっと駆けて行く青年)
雪也「…………???」
パートのおばちゃんA「雪也君♪」
雪也「え? あ…ど、どうも…(汗)」
パートのおばちゃんA「いつも感心ねー。今日はこの豆腐ハンバーグがお買い得品だよ。さ、味見してって! あ、いいのいいの買わなくていいから! ほらほら!」
雪也「あ、は、はあ…。何かいつもすみません」
パートのおばちゃんB「あ、雪也君! 今日もうちの魚介類コーナーたくさんおまけするから! 来て来て〜」
雪也「あ、は、はい…」
パートのおばちゃんC「あ、まあ雪也君〜!!!」(その後もわらわらと寄ってくるおばさん連中)


一部始終を見ていた人物が2人。


うさぎ「あの2人の後をついていけば値引き品たくさん買える」
創「そうだな。いつ始まるか分からない安売り時間にあたりをつけるよりも、彼らの買い物時間を把握しておく方が確実に効率の良い買い物ができる。那智姉さんに、桐野君とあのトモという少年をマークするように言っておこう」
うさぎ「……ん」(こっくりと頷くうさぎ)



雪也「……あれ、そういえば今日は卵の安売り、いつまで経ってもやらないな…???」←実はもう終わってる



【完】