質問19「度を越す鈍感は罪か否か?」 |
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天気の良い祝日。都内某所・某区立公園の芝生にて。 涼一「んー…」(寝転んで読んでいた本を閉じ、小さく欠伸) 雪也「涼一」 涼一「あ、遅かったな。何処まで行ってたんだよ?」 雪也「そこのコンビニだよ。何でもいいって言うから迷っちゃって」(言いながら涼一のいるビニールシートの上に座る雪也) 涼一「だーって雪の弁当じゃないなら食い物なんか何だって同じだもん」(ちょっと意地悪っぽく) 雪也「ご、ごめん…」 涼一「あ〜もう、嘘々っ! しょうがないよな。……まぁ、俺だってあのクソババアのデートがうまくいってくれれば嬉しいし。さっさと誰か捕まえて再婚してくんねーかな?」 雪也「りょ、涼一…」 涼一「あのババアとデートなんて、一体どんな物好きかは知らねーけど。ま、雪のうまい弁当食ったらどんな奴でもよろめくよな」←どうやら雪也が涼一の為に作った弁当を美奈子ママがかっさらっていったらしい 雪也「………」 涼一「ん…。何だよ、その沈黙は?」 雪也「えっ…。あ…いや別に…」 涼一「……母親をクソババア呼ばわりされてむかついた?」 雪也「別に…そんなのもういつもの事だし…」 涼一「…じゃあ再婚話に反応した? 雪、もしかしてババアの再婚に反対?」 雪也「そんなんじゃないよ…っ」 涼一「どうだか」 雪也「………」 涼一「……俺は早く雪と2人で暮らしたいんだけど?」 雪也「あ……」 涼一「雪はそうじゃなかった?」 雪也「そ、そんな事はないけど…」 涼一「けど?」 雪也「………母さん、置いて行くのはやっぱり…心配だから」 涼一「だから再婚してくれればいいって言ってんじゃん」 雪也「うん……」 涼一「………」(途端にむっとした顔になる涼一) 雪也「あっ…。ご、ごめん…」 涼一「……何で謝るんだよ」 雪也「え…だって…何か怒った顔してるから」 涼一「そうやって俺の顔色見ただけで謝るなよ。俺が何で怒ってるのか分かってないくせに」 雪也「分かってるよ」 涼一「ホントかよ?」 雪也「ほ、本当だよ…っ」 涼一「ふうん。ま…いいけど。もうやめよ。せっかく雪と2人っきりのデートなのにさ! つまんねー話はなしな!」 雪也「う、うん…。じゃ、ご飯…」 涼一「ああ! あ、でもさ、雪。俺、ここで待っててさっきちょっと思ったんだけど」 雪也「……? 何?」 涼一「やっぱさ。公園でデートっつったらビニールシートの上で弁当ってのは定番だけど。もう一個是非やらなくちゃいけないもんがあったんだよな!」 雪也「な、何…?」←嫌な予感全開 涼一「へへへ……」 雪也「あっ、そ、そうだ(焦)! あのさ、そういえばさっきコンビニ行った時ー」 涼一「話を逸らすなって! はい、こっち寄って! 膝枕〜!!」(傍に座った雪也に無理やり頭をのっける涼一) 雪也「ちょ…! りょ、涼一っ!!」 涼一「は〜幸せv 雪の太もも柔らかい〜」(至福) 雪也「ど、どけよ涼一!! こ、こんな所でこんなの…!!」(真っ赤)←でも振り払えない 涼一「いいじゃん別に。どうせ周りにいる奴らなんて他人なんだしさ。俺、実は大学の芝生で寝転がってる時もいつか雪にこれやってもらいたいなあって思ってたんだよな」 雪也「だ、駄目だって…(焦)! だからさっきコンビニで電話ー」 涼一「は〜? 電話が何だって〜?」(ごろと寝返りを打って雪也に抱きつくように縋って甘える涼一) 藤堂「よう! いい天気だなあ、絶好の昼寝日和だな!!」 雪也「!!!」 涼一「……な……」 藤堂「いや〜徹マン明けはやっぱ辛ェわ! で、自分とこより近い涼一ン家で寝かせてもらおうと寄ったらお前いねーもんで。桐野に電話かけたら案の上お前らだけで遊んでるって言うから便乗しに来たってわけだ!……って。ん、あれ?」 2人「………」 藤堂「……? お前ら一体何やってんだ? 涼一、お前ー」 涼一「あー…つまりだな…」(それでも雪也の膝の上から動かない涼一)←もういいやって感じ? 藤堂「?? 何か…お前らそれって…?」 雪也「み…耳っ(慌)!!!」 涼一「いっ…?!」(突然の大声に雪也の膝から転げ落ちる涼一) 藤堂「は? 耳? 耳が…どうか、したか?」 雪也「その…っ。だ、だから、涼一が耳の中に虫が入ったって言うからさ! み、見てやってたんだよ!!」 涼一「……いってえ……」(転がり落ちてどっかの石に頭でも打ったらしい) 雪也「ほ、ほら! 痛がってるだろ! そ、それで…っ」 藤堂「はあ、そうなのか? まあ、いい天気だし、虫の一匹や二匹は入るかもなあ」←入んねえよ… 雪也「そ、それより何か食べるだろ? いっぱいあるからさっ。藤堂も座れよっ」 藤堂「お! そうか? いや〜悪ィな、実は何も食ってなくってよ〜」(どかどかと2人の間に割り込んで座る藤堂) 涼一「…………」 藤堂「何があんだ、何買ったんだ? あ、やったあ、シーチキンおにぎり! 俺好きなんだよなあ。コンビニのおにぎりの中じゃ俺これ一番! 桐野は?」 雪也「お、俺は…焼きたらこかな(汗)?」(ちらちらと涼一を気にしている風の雪也) 藤堂「へえ、そうなんだあ。それも美味いよなあ。じゃあこれは桐野な。あ、あと俺鮭もらい! おい涼一、お前はおかかでいいな。おかかしかねえからな。へへへ、あ、あとこのから揚げもらい〜!!」 涼一「……てめえ……」 雪也「!! りょ、涼一、落ち着ー」 藤堂「あ、桐野〜。茶くれ、茶! お前のでいいや、それくれ!」(ごくごくごく〜) 雪也「あ…」 涼一「て!! テメエ〜〜〜(怒)!!!!」 雪也「わー涼一、ストップ〜!!!」 ……その日、のどかな公園の芝生の上には、赤い草が生えていたとかいないとか……。 そろそろ藤堂死ぬかも……。 |
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【完】 |