質問20「悪気がないなら全て許せる?」

続・天気の良い祝日。涼一のマンションにて。


藤堂「う…う〜ん…?」
雪也「あっ、藤堂! 気がついた?!」
藤堂「へ…? あぁ、桐野。どうしたんだ、真っ青な顔して…」
雪也「どうしたって…! 藤堂、ホント大丈夫か? ずっと目を覚まさないから気が気じゃなかったよ」
藤堂「え…俺が…? そういやここは…?」(ベッドの上からきょろきょろと辺りを見回す)
涼一「俺の部屋だよ」
藤堂「ふえ…あ、涼一…」
涼一「…ったくよ、お前みたいな巨体をここまで運ぶのにどんだけ苦労したと思ってんだよ。あれくらいで簡単に気絶してんじゃねーよ」
雪也「涼一っ! お前が悪いんだろっ!!」
涼一「……俺は悪くないっ」
雪也「涼一!!」
藤堂「……あれくらいって…えーと、何だっけ??」
雪也「えっ。と、藤堂…覚えてないのか…?! やっぱり頭の打ち所が悪かったんじゃ…」(言いながら濡れタオルを藤堂の額に置いてやる雪也)
藤堂「はあ…? 一体何の話だ? あ…にしてもそれ気持ちいい〜。サンキュなぁ」(にへら)
涼一「………」(ぴきぴきっ)
雪也「幸い怪我は大した事ないけど…今日は安静にしておいた方がいいよ。何か飲む? 夕飯も作ってあるんだけどさ」
藤堂「え、本当かよ?! やったあ!!…って…い、いてて…??」(起き上がろうとしてあちこちが痛む事に気づいた藤堂)
雪也「まだ起きない方がいいよ。いいから寝てなよ。食事なら俺がここまで持ってくるから」(言いながら部屋を出て行く雪也)
涼一「………」(その雪の後ろ姿を恨めしそうに見やる涼一)
藤堂「う〜…な、何で俺はこんな全身打撲みたいな状態になってんだあ? えーと、何があったっけ? 確か公園でお前ら見つけて昼飯にありつこうとして…」
涼一「おい藤堂」
藤堂「あ…? 何だ?」
涼一「お前…弱ったフリして無駄に雪に甘えてんじゃねえだろうな…」
藤堂「は、はあ?」
涼一「お前、昔はあんなくらいで倒れたりしなかったじゃねーかよ。幾ら高校ン時より太ったからってー」
藤堂「ほ、ほっとけよ! そんな太ってねーよ! ちょっくらお茶目な体型になっただけだぞ!」
涼一「煩い! ンな事は聞いちゃいねー! お前の体型なんかどうだっていいんだよ! とにかくお前、これ以上俺たちの仲かき乱したら友情切るぞ、永遠に」
藤堂「な、何なんだよ、何そんな怒ってんだよ?! 俺にはさっぱり分かんねー! 俺が気絶している間に一体何があったんだ?!」
涼一「気絶するような事したんだろが! お前がよ(怒)!」
藤堂「何なんだ! 俺は知らねーっての! 涼一、お前何そんなイラついてんだよ!」
涼一「イラつくに決まってんだろ、今日は俺と雪のデー…」
雪也「涼一!」
涼一「……っ」
雪也「……藤堂、お待たせ。はい、これ」(涼一を牽制しながら藤堂にトレイに乗った夕飯を差し出す)
涼一「雪、俺のはっ?」
雪也「キッチンにあるよ。勝手によそって食べればいいだろ」
涼一「な、何だよそれ〜!!」
藤堂「あ、あの…(汗)? 何だ、お前ら…何か…俺が寝てる間に喧嘩でもしたのか?」
雪也「何でもないんだよ。藤堂は気にしなくていいから」
涼一「気にしろ! この馬鹿野郎〜!!」
雪也「もう涼一…っ!」(やや疲弊気味)
藤堂「……ちょっと、おい。お前ら、本当どうしたんだ? いつもお前らすげえ仲いいじゃねえかよ。何があったのかは知らねーけど、気まずいのは良くないぞ。さっさと仲直りしろって」
雪也「え…い、いやその…」
涼一「お前に言われたくねーよ…(呆)」
藤堂「何でだよ? 俺はな、お前らの親友として言わせてもらう! 折角の休みなんじゃねーか。こうして集まってんだし、楽しくやろうぜ? な、桐野。メシも一緒に食おうぜ?」
雪也「え…う、うん。分かった…」
涼一「お前な……」
藤堂「おらおら涼一。桐野は素直に頷いてんだろ。分かったらお前も桐野に謝ってきっちり収めろって。どうせお前が何か我がまま言って桐野を困らせたんだろ」
涼一「………雪、俺頭痛い」
雪也「はは…。え、とさ。それじゃあ、俺、涼一と俺の分、用意してくる。藤堂は先食べてていいよ?」(そして再び部屋からいなくなる雪也)
藤堂「いいよいいよ俺も待ってる。な、涼一?」
涼一「知るか」
藤堂「いや〜しかしこれすげーな! これ全部桐野が作ったのか? めっちゃくちゃ美味そう〜。ひええ、今日はここに来て得したなあ!」
涼一「くそう……」
藤堂「は? 何か言ったか? いや、それにしても美味そう。これ芋煮か? やっぱちょっとつまみぐいっ!」(ぱくりとおかずの一つを口に放り込む藤堂)
涼一「………」
藤堂「……んぐ。うっめー!! うますぎー! 何だこれー!! すげーすげーな、おい涼一!!」
涼一「………」
藤堂「最高に美味いぞ、これ! 桐野、料理の天才か?! いやあ、ホントすげえわ! そこらの女の子より腕あるかもな! な、涼…」
涼一「やっぱりすげえむかつく〜【怒】!!!」


雪也「お待たせ涼一…って……。わ、わ〜!? と、藤堂〜!!」


雪也の悲鳴は何を意味するのか?!
藤堂は今度こそ死んだのか?!
以下次号!!(続きません)


【完】