質問24「恋人にはメールを読まれても平気?」 |
★※短編「届いた手紙」のその後―。 |
涼一の部屋。ほのぼのとした休日。 雪也「涼一、ちょっとくっつきすぎ…!」 涼一「だって雪が隠すからだろ!」 雪也「隠してるわけじゃないよ。ただ打ってるところを見られるのって落ち着かない」 涼一「何でだよ! 何でもない文だったら俺が見たって別に構わないはずだろ!」 雪也「そういう問題じゃないよ。それに涼一、さっきから何打っても文句言うじゃないか」 涼一「当たり前だろ! 返事なんか送らなくていいって言ってるのに…っ」 雪也「そういうわけにはいかないよ」 涼一「〜〜〜! もういいっ、勝手にしろっ!!」 雪也「……拗ねたって駄目だよ」 涼一「拗ねてない。正真正銘むかついてんだよ」 雪也「………」 涼一「……っ! ゆ、雪にじゃないぞ! 勝手に雪のアドレス教えたあのアホに怒ってんの!」 雪也「助かったじゃないか。片木さんからのアドレス捨てちゃってたんだから…」 涼一「だからメールなんかやんなくっていいって言ってる」 雪也「だからそれは……」 涼一「あーあー分かったよ! その代わり、打ち終わったら送る前に俺にも見せろよ」 雪也「……分かった」 涼一「あんま親しげな文にするなよ」 雪也「分かったって。……これでどうかな」 涼一「ん……」 メールどうもありがとう。 返事遅れてごめんね。こういうのはあまり得意じゃないんだ。 お勧めの本もありがとう。片木さんは読書家なんですね。 面白そうなので今度俺も読んでみます。 涼一「却下」 雪也「な、何で?」 涼一「何で? すべてが駄目だよ、こんな文。あの女が調子付くだろーがっ!!」 雪也「…勧めてくれた本のお礼言ってるから?」 涼一「それもある。こんな事書いたら、『じゃあ私の持ってるのを貸します♪』ってきっかけになるだろ」 雪也「そんなものかな…。でも面白そうと思ったのは本心だよ」 涼一「……(ぎっ!)。あの女はなっ、雪が好きなジャンルをわざと選んで読んでるだけなんだよっ!」 雪也「え?」 涼一「……っ」(しまったという顔をして黙りこくる涼一) 雪也「……そうなんだ」 涼一「……とにかく、そこの部分はカットしろよ」 雪也「あとはどこが不満なの?」 涼一「一行目から気に喰わない。『どうもありがとう』なんて、『どうも』は取れ。すげー嬉しがってるように見える」 雪也「は、はあ…?」 涼一「それから二行目。『ごめんね』って、『ね』ってのは取れ! フレンドリー過ぎる。女を有頂天にさせる」 雪也「か、考え過ぎだよ…(汗)」 涼一「雪の方こそ、考えがなさすぎるんだよ」 雪也「そんな事ないよ。同じ二行目、俺、さり気なく遠回しにメールは苦手だって書いているだろ」 涼一「全っ然そんな風に捉えられない。不器用で遠慮がちで可愛い奴ってイメージしか持てない」 雪也「りょ、涼一…」 涼一「三行目。相手の名前を呼ぶな。親近感を持たれる」 雪也「………」 涼一「……何だよ」 雪也「結局全部カットだなと思って」 涼一「……そうだよ」 雪也「…でもメールは送らなくちゃ」 涼一「……フン、分かったよ。だったらもう知らねーよっ」 雪也「………」 涼一「ったく、メール交換なんてくだらないもん、一体誰が流行らせたんだ…っ」 雪也「………」 涼一「…ちっ。無視かよ。熱心に打ちやがって…!」(携帯に目を落としメールしている雪也に悔しそうな涼一) 雪也「……送信」 涼一「……っ」 雪也「涼一」 涼一「………」 雪也「涼一って」 涼一「何だよ!」 雪也「メール、見てよ。どうせまた電源落としてるんだろ?」 涼一「は…?」 雪也「今涼一に送ったから」 涼一「え……俺?」 雪也「うん」 涼一「………」(驚きながらテーブルの上に放置していた携帯の電源をONにする) 雪也「目の前で読まれるのも何だかバカだけど…」 涼一「……あ」 涼一へ いつも困らせてごめん。 でも今夜はお詫びに涼一の好きな物を何でも作るよ。 何が食べたい? 涼一「………」 雪也「こういうの、文になってるとすごく恥ずかしいな…っ」 涼一「……雪」 雪也「でもさメールって…言いにくい事も言えたりするし」 涼一「………」 雪也「あ…やっぱり嫌だった?」 涼一「……良すぎた」 雪也「え?」 涼一「すっごいいい」 雪也「あ…そ、そう(汗)?」 涼一「なあなあ。俺もこれの返事打つから。そしたらまた打って、それの返事。な、雪、いいだろ?」 雪也「いっ…いいけど…?」 涼一「よし、じゃあ打つぞ♪ えっとな……今夜のおかずは、ゆきがいい、っと!」 雪也「ばっ…バカ何言って…!」 涼一「送信!」 雪也「って、言いながら抱きっ…んぅ…っ!!」 ……会話困難につき、これにて閉幕。 |
★ |
【完】 |