質問29「恋は盲目…?」

大学構内、とある大教室にて。


逢坂「桐野、おはよう!」(キラキラ〜)
雪也「あ、おはよ…。あれ、今日は…」
逢坂「いや〜俺も全っ然知らなかったんだけどさっ。この間藤堂に聞いて、実は俺もここの講義取ってたらしいんだよな!」
雪也「そ、そうなんだ? もうすぐ前期終わるけど…」
逢坂「ここの単位なんかどうでもいいよ。俺には、俺と桐野だけが取ってる講義があったって事が重要なわけで…」
雪也「え…?」
逢坂「あっ…! だ、だからさっ! ほら、この間から言ってるけど、俺は桐野ともっと…その、たくさん話がしたいんだよな! そりゃもうすっごく!」
雪也「う、うん…?」
逢坂「その…まあ、つまり! あんま大勢でいるとゆっくり話せねーじゃん! べ、別にこれは涼一がいるからどうとかって言ってるわけじゃなくてだなっ。えーっと、その…ま、まあたまには2人っきりもいいじゃんって事!!」
雪也「うん…」
逢坂「…
! 桐野も本当にそう思うか…?」
雪也「え、うん。俺も逢坂ともっと話したいと思ってた」
逢坂「ほ、ほ、ホントかっ!?」(ガっターンと立ち上がって叫ぶ逢坂康久・ハタチ)
雪也「…っ!?」
逢坂「あ…いやまあその…(赤面)」
雪也「……逢坂って…凄くテンション高い人なんだ(笑)」
逢坂「え!? あ、まあ…はは。まあ、そうかな?」
雪也「逢坂、いっつも明るいもんな。一緒にいると楽しくなるって言うか」
逢坂「へ……」
雪也「よく言われない? 皆といても凄くムードメーカーって感じするし…」
逢坂「え〜? へへへへ…そ、そっかな〜」(にへら)
雪也「……逢坂とだったら涼一も話が合うだろうな……」
逢坂「え?」
雪也「あ…。うん、ちょっと…。涼一っていつも話題豊富だし、話好きだろ? でも俺はあんまりそういうんじゃないから…。その点、逢坂とならいつでも楽しいだろうなって」
逢坂「あ、あのー(汗)。それは絶対違うと思うなー、とか…」
雪也「? でも高校の時から仲良かったんだよな? 同じクラス?」
逢坂「あ、俺は違うよ。俺は藤堂と高2で同じクラスになってさ。あいつを介して涼一と知り合ったってだけ。…まあ、確かに他の奴らより話は合ってたかな。結構つるんだりしたけど…」
雪也「けど?」
逢坂「大学入ってからはさっぱりだよ。あいついつもお前と一緒で―」
雪也「………」
逢坂「あ! っていうのは、べ、別に桐野を責めてるわけじゃ全然ないぞ!? ってか、むしろ俺が責めたいのは涼一の方で(焦)!!」
雪也「…そうだよな。涼一、絶対付き合い悪くなってるよな…俺のせいで…」
逢坂「いや、あの、桐野? お前、人の話聞いてるか(汗)?」
雪也「……涼一、絶対前はもっと色々と付き合いあったはずだもんな。藤堂もよくそれで涼一責めてる事あるし…」
逢坂「いや、だからその。桐野?」
雪也「俺、今度涼一にも言っておく。逢坂だって涼一にあの好きな人の話を聞いてもらいたいんだもんな」
逢坂「………」
雪也「…? 逢坂? どうかした…?」
逢坂「……あのさ。何でさっきから涼一の話にばっかなっちゃうわけ」
雪也「え…?」
逢坂「お、俺は! もっとその…桐野自身の話とかが聞きたいんだけど!」
雪也「お、俺…?」
逢坂「そうだよ。桐野の事が知りたいんだ、俺」
雪也「俺の事って……どう、して?」
逢坂「どっ! どうしてって…それは…つまりその…」
雪也「俺の事なんか聞いても面白くないだろ?」
逢坂「そっ、そんな事はないっ! めちゃくちゃ聞きたい! ってか、その為に今日俺はこんなくだらん講義の為に早起きしてきたってくらいで! …って、つ、つまり俺は桐野と仲良くなりたいから桐野の話が聞きたいんだよ!」
雪也「……っ」
逢坂「……はーっ。やっと言えた…すっきりした〜」
雪也「………」
逢坂「ん…何、びっくりした? 俺が桐野の話が聞きたいって言ったの、そんなにヘンかな」
雪也「あ…えっと、逢坂…(汗)」
逢坂「何、どうしたんだよ桐野。俺の言ってる事分かってくれたか?」
雪也「あ、う、うん。分かった、分かったけど…ちょっと…」
逢坂「へ? どうした、何? 俺、やっぱちょっと暴走し過ぎたかな。けどさ、お前こんくらい言わないと分かってくれないから」
雪也「お、逢坂。ちょっとその話はまた後にしないか? 前…」
逢坂「前? 前がどうし……あ……」


教授「…………(怒)」(教壇から逢坂を睨みつけている)


雪也「こ、講義もう始まるから…」
逢坂「そ、そうみたいだな…はは…」
雪也「………っ」
逢坂「はあ…。もう最悪(涙)」


……2人きりの時間を作るのはなかなかに難しいと感じる逢坂君であった。




【完】