質問39「映画等に影響されやすい?」

大学構内。大教室にて。


逢坂「あ〜腹減ったなあ。桐野、メシ行かない?」
雪也「あ…うん…」
逢坂「……どうかしたか? 講義中もずっとぼーっとしてただろ」
雪也「え…?」
逢坂「あっ(焦)! べ、別に俺はそんなお前をずっと見てたってわけじゃないんだけどっ」
雪也「?」
逢坂「な、何でもない何でも! 俺の事よりお前だろ! 本当何かあったのか? もし良かったら相談に乗るけど」
雪也「あ…ありがとう。でも大丈夫…。ちょっと…」
逢坂「……もしかして涼一絡み?」
雪也「え…どうして」
逢坂「当たり? は〜何だ…。あっ、いや…。だ、だってお前が落ち込む時って大抵涼一が関わって何かした時だし」
雪也「そう……かな」
逢坂「そうだよ。あーあ、面白くねえ…」
雪也「逢坂?」
逢坂「な、何でもない…っ。それで今度はあいつ何をやらかしたんだ?」
雪也「涼一は悪くないんだ。なのに俺が怒っちゃって…」
逢坂「怒った!? 桐野が!?」
涼一「雪!」
雪也「あ……」
涼一「やっぱりまだここだった。携帯入れたのに反応しないから!」
雪也「ご、ごめん…」(さり気なく視線を逸らす雪也)
涼一「……っ! くそ、まだむくれてんのかよ! いい加減しつこいぞお前!」
雪也「お、怒ってない…。ごめん…」
逢坂「ちょ、ちょっと待てこら! お前が悪い、涼一! そうなんだろう!?」
涼一「あ…? 何なんだお前は、横から出てきて(怒)!」
逢坂「横から出てきたのはお前だろうがッ! とにかく! 何があったのかは知らないが、桐野がお前に謝るような事するわけがねー! 悪いのはお前だろう、そうなんだろ!?」
涼一「康久には関係ねえよ」
逢坂「いーや、あるっ!」
涼一「……何で」(思いきり不機嫌な顔)
逢坂「な、何でって…。そ、それは、桐野は俺にとっても大切な友達だからだ!」
涼一「……お前」
逢坂「う……(赤面)」←言った途端自分の台詞に恥じ入ってる
涼一「……雪、行くぞ」
雪也「え…でも」
逢坂「ちょ、待てよ! すぐそうやって桐野を連れて行くんじゃねー!」
涼一「うっるせーな! そうだよ、雪に悪いとこなんて何もねーよっ。というわけで、俺らは仲直りだ。これで問題ねーだろっ」
逢坂「理由を教えろ」
涼一「は?」
逢坂「喧嘩の理由を教えろって言ってんだよ! 言うまで立ち去る事はゆ…許さん!」(腕組)
涼一「……こいつ、開き直りやがった」
雪也「あ、あの逢坂…。本当に何でもないんだ。…俺が悪いと思うから」
涼一「そうだ。元はといえば雪が悪い。俺は騙されてあれをつかまされた被害者なんだ。なのに俺ばっか悪者でよ」
雪也「……悪者にしたつもりはないって」
涼一「した!!」
雪也「だ、だから…! そう思わせるような言い方だったなら悪かったって言っただろ…っ」
逢坂「あの〜俺にも話が見えるような展開にして欲しいんですけど(寂)」
涼一「ちっ…だから。俺が雪と観る映画をレンタル屋で借りてきたんだよ。したらそこのクソガキが大ヒット作だからとか言ってとんでもないもんを寄越してきやがってさ。それに雪がキレたの。けどその後…」
逢坂「ちょい待て。とんでもないものって何だよ。映画…なんだろ?」
涼一「そう。果てしなくしょーもないエロ映画」
逢坂「エロ映画!? へ、へえ〜…桐野、お前もAV観るのか…。何か意外だ…」
桐野「え…いや俺は…」
逢坂「なーなー桐野は基本的にどういうのが好みなんだ? 俺、高校の時見てたやつでもういらないのとかあるから幾つか分けてやろーか? き、桐野がそういうの見てる時ってどんな顔…」
涼一「死ね!」(蹴)
逢坂「おうっ!?」
雪也「りょ、涼一…!!」
涼一「こいつ…! 今ぜってーしょーもない事想像しやがった(怒)!!」
雪也「何でそうやってすぐ手が出るんだよ! 逢坂、大丈夫…?」
逢坂「な、何とか…」
涼一「雪、んな変態に近づくな! コイツの方がよっぽどあのリョーイチだよ!」
雪也「だ、だからもうその話はよそうって…(汗)」
逢坂「な…何の話なんだ?」
涼一「知るか!」
逢坂「な、何だよ! 教えろ! 教えろよ〜!!」(じたばた)
雪也「きっ…昨日観たそのビデオにリョーイチって名前のストーカーが出てきたんだ…」
逢坂「へ…」
涼一「くそっ、あのバカうさぎ、今度会ったらぜってー殴る!」
逢坂「何だ…そんな事で頭きてんのか? むっ、それにしても何でそのストーカーが俺なんだ!」
涼一「似てるだろ。ちょろちょろ雪の周りうろついて狙ってるとことか!」
雪也「え……」
逢坂「ばっ…! お、お前は一体何言って…(焦)!」
涼一「なのに雪の奴、何つったと思う!? 散々クソビデオ借りてきた俺を責めた後さ、俺がその悪党に似てるって言い出したんだよ! 何で俺があんなのに似てんだ!!」
雪也「だ、だから役どころじゃなくて顔の輪郭がちょっと似てるって言いたかっ…」
涼一「あんなAV男優に似てても嬉しくねーんだよ(怒)!」
雪也「に、似てない…似てないよ。涼一の方がずっとカッコいいって…」
涼一「……本心?」
雪也「う、うん…(汗)」
涼一「……へへへ」
逢坂「あのー…もしもし?」
涼一「ん、まだいたのか康久。とにかく分かったか。俺らはもう喧嘩なんかしてねーの。これで満足だろ」
逢坂「あ? あ、ああ…。けどくだらん事で喧嘩するなよな、まったく…。…はは、それにしてもリョーイチって名前のストーカーが出てくるビデオか。超観てー。何て題? 俺も今度借りてみるから」
涼一「お前絶対バカにしてんだろ」
逢坂「してねーって。そういや大学入ってからそんなん全然観てなかったしなー。な、桐野教えてくれよ。いいだろ?」
雪也「え!? そ、それは…その、凄くつまらなかったし…っ」
逢坂「いいのいいの、俺そういうのににストーリー性求めないから。女が美人ならそれでいい。で、タイトルは?」
雪也「………」
逢坂「? 桐野?」
涼一「マジで観るなって言ってんだろ。探すなよ」
逢坂「はあ? ったく訳の分からん奴だな、何で―」
涼一「とにかく探すな。……普通なら見つからないだろうけど、お前はマジで発見しそうだし」
逢坂「え?」
雪也「涼一…?」
涼一「それで完璧目覚められでもしたら困るから。友達やめるぞ、そしたら」
逢坂「………」
雪也「な、何言ってんだよ、一体…」
涼一「行こうぜ雪」
雪也「えっ…ちょっ…!」
逢坂「………」
雪也「ご、ごめんな逢坂。あんまり気にしないでくれな…っ」


涼一と雪也が去った後。


藤堂「よう」
逢坂「ん…何だお前。いたのか」(ぼーっ)
藤堂「いた」
逢坂「あいつらやっぱり…。なあ、どう思う…?」
藤堂「いかな涼一でもあの言い方はねえよな〜」
逢坂「あ?」
藤堂「康久が映画に影響受けてストーカーになるかもって言いたいんだろ? そりゃいくら何でもひでーよな」
逢坂「もういい……」



【完】