質問４４「人の振り見て我が振り直せ？」
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中原正人・自宅アパートにて。


正人「ったく煩ェなあ…誰だよ！」
友之「あ…」
正人「ん…。な、何だ、トモかよ…っ」
友之「………」
正人「〜〜〜！　んなびびった面すんな！　寝起きで機嫌悪かっただけだ。最近しつこい新聞屋多かったしよ」
友之「あの…これ…」
正人「ん？　お前、また懲りずにくだらないビデオ借りてきたのか！？」
友之「ちがっ…。今度は違う…（焦）！」
正人「……まあいいからあがれ」
友之「えっ…。で、でも…」
正人「何だよ。いいからあがれって」
友之「……帰る。ただこれ見せに来ただけだから…」
正人「別に取って食いやしねーよ！　いいから入れっての！！」
友之「……っ」
正人「くそっ、まるで脅迫してるみてーじゃねーか…！」←実際そうです
友之「……お邪魔します」
正人「適当座れ。タイミング良かったぜ。お前ン家持ってこうと思ってたもんがあったんだ」
友之「え…？」
正人「得意先の社長がくれたんだよ。俺は甘ったるいのあんま好きじゃねーしよ」
友之「凄い…。凄く美味しそう…」（豪華クッキーの折り詰めに目を見張る友之）
正人「光一郎と一緒に食えよ。お前ン家なら裕子も時々来るだろうし」
友之「うん。数馬も」
正人「あ？」←見る見る不機嫌
友之「時々遊びに来る…から…」
正人「ああそうかよ…」
友之「………」
正人「ったく、お前も悪いダチ持っちまったな…。けど、責任の一端は俺にもあるのか…」（ぶつぶつ）
友之「……（困）」
正人「あいつ最近俺の神経逆撫でするような事ばっかしやがって…。まあ元からそういう奴だったが、この頃ホントクドイよな。昨日だってお前にふざけたビデオ借りに行かせてよ…！」
友之「あ、でも…」
正人「それを俺ン家で観るってところがまたふざけてるだろ。お前も言われるままにンなもん手に入れてくんじゃねーよ！　お前みたいのにレンタルさせる店も店だがよ！」
友之「あの、だから、これ…」
正人「あん？　何だそれ。ビデオ？」
友之「うん…。今度は普通の、借りてきた…」
正人「……？　それを何で俺のとこ持ってくるんだ？」
友之「え？　だ、だって…正兄が、今度何か借りてきたら観る前に自分に見せろって…」
正人「は…？　俺そんな事言ったか…？　そうか…」
友之「……別に良かったの？」
正人「いや…。何だ、だからお前、わざわざ俺ン家寄ったのか？　それだけ？」
友之「う、うん…」
正人「………」
友之「正兄…？」
正人「はっ。あ、ああ…何でもねーよ。それで？　何借りてきたんだ？」
友之「うん…っ。これ…」
正人「……はあ。お前にぴったりな映画じゃねーの。よく選んできたなあ。お前、映画なんか普段滅多に観ないだろ？」
友之「うん…。でも、店員さんが…僕に合いそうなものをって選んでくれた…」
正人「……何？　何で店員がわざわざそんな事すんだよ…？」
友之「？　知らない…。趣味だって」
正人「趣味ィ！？　お、お前の事が趣味だって言ったのか！？　そいつ！？」
友之「え？　ち、違うよ、ビデオ選ぶのが…」
正人「何なんだその店は！　この間貸してきたエロビデオといい！　お前に色目使うその言い方といい（怒）！　怪し過ぎじゃねーかよ！　何なんだ！」←色目なんて使ってません
友之「あ、あの、正兄…？」
正人「そいつ、その店員、男なんだろ？　どうせ！　ヤローに決まってる！！」
友之「え…う、うん…」
正人「ほらな、やっぱりな！　あ〜もうウゼエ〜！　何でこう次々と…！！」
友之「………正兄」
正人「あ！？」
友之「何で…男に決まってるの…？」
正人「はっ！？」
友之「何で…？」
正人「な、何でって…。そういう事をお前にする奴は男と相場が決まってるんだよ！」
友之「どうして…？」
正人「どうしてって…。そ、それはだな…！」
友之「………」
正人「な、何でもねーよっ！　細っかいところをいちいち気にするなお前は！！」
友之「………」
正人「…だからそういう恨めしい目をするなって…」
友之「……ビデオ、観てもいい？」
正人「あ、ああ……」
友之「………」
正人「何だよ」
友之「正兄も観る…？」
正人「あ？」
友之「これ…」
正人「……勝手につけろよ」
友之「あ…い、嫌なら、家で観…！」
正人「ここで観てけ」（きっぱり）
友之「え？」
正人「ついでだよついで（焦）！　いいからここで観てけ！」
友之「う、うん…。（何だ正兄もやっぱり観たいのか…）」←ほっとしてる
正人「はあ…。他人の事言えねえ…」（嘆息）
★
【完】




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