質問４５「雑誌アンケートってあてになる？」
★

レンタルビデオショップ「淦」にて。


涼一「あ〜信じらんねえ…。客に店番させる店なんて聞いた事ねーよ」
うさぎ「俺は結構聞く」
涼一「うるせーよ。バカうさぎは黙ってろ。創から聞いてるぜ？　お前、この間もこうやって那智さんが貧血で倒れた後、勝手に店番して未成年にエロビデオ貸したんだってな」
うさぎ「お客様が望んだ物を貸しただけだ」
涼一「何がお客様だよ。…はあ。ったく、ツイてねーなー」
うさぎ「……桐野は性格はいいが」
涼一「あん？」
うさぎ「男を見る目はないらしい」
涼一「……何か言ったか」
うさぎ「桐野、後で俺らにも昼作ってくれるって」
涼一「俺は当たり前だろー！　はあ、ホントならもうとっくにここ出て俺ん家行ってるとこだったのに…」
うさぎ「ざまあ」
涼一「〜〜〜！！」（殴りたいが雪也に頼まれているので必死に我慢）
友之「あの…こんにちは…」
涼一「ん……？」
うさぎ「イラッシャイマセ」
友之「あ…！　この間の…！」（うさぎを見て驚く友之）
うさぎ「イラッシャイマセ」
涼一「？　あれ、何かどっかで会ったような…」
友之「え…？　あ！　駅で会った…！」（今度は涼一を見て驚く友之）
涼一「え？　あ、やっぱり会ってた？　何だっけ？」
友之「あ、えっと…」
うさぎ「何が入用ですか？」
友之「え？　あ、あの、ビデオ…返しに…」
涼一「……このバカうさぎ、人との会話に割って入ってくんじゃねえよ…（怒）」
うさぎ「返却ですか。五百円です」
友之「え！？」
涼一「適当に言うな！」（蹴）
うさぎ「痛いぞ」
涼一「あっと、ごめんね。返却ね。それじゃそれ失礼」
友之「あ、は、はい…！」（ビデオの袋を渡す友之）
涼一「……っと。はい、結構です。ありがとうございました」（営業スマイル〜）
友之「……あ、あの。あの時は…」
涼一「え？」
友之「ありがとうございました…」
涼一「……あー！　あの時の！　友之か！　駅で具合悪くしてた？！」（※知らない人は宴13の「それは普通のこと」を参照して下さい）
友之「はい…っ」
涼一「ああ、そうだそうだ！　久しぶりだなあ、元気してたか？　あれから具合悪くなったりしてないか？」
友之「はいっ」
うさぎ「……こいつ、かなり優しい」
涼一「お前と違って友之は素直ないい子なんだよっ。へーそれにしても、何でこんな店に来てんの？　家、全然違う方向じゃん」
友之「あ、はい…」
涼一「ちゃんと好きな奴に１００回好きって言った？」
友之「えっ…。あの、そ、その…（赤面）」
うさぎ「おい」（蹴）
涼一「いってーな！　何すんだよこのバカうさぎ！」
うさぎ「何の話だ？」
涼一「お前に関係ねーよ。ったく、同じ子どもでどうやったらこんな性格違うのが出来上がんだろな？　やっぱ育ての親が大きいのかね？」
うさぎ「どういう意味だ」
涼一「そういう意味だよ。創みたいな変人に毒されてるからどんどん小生意気なガキになってくんだろうが、お前は」
うさぎ「お前は桐野といてもちっとも性格が改善されないな」
涼一「はっはっ。言ってくれるじゃねえか〜！！」（ぎりぎりとうさぎの首を絞め始める涼一）
友之「あ、あの…っ（慌）！！」
うさぎ「お客さんの前でみっともない真似するな」
涼一「お前がいちいち癇に障るんだよっ」
うさぎ「ところで今度は何を借りマスカ？」
友之「え？」
涼一「あ、そうだな。友之、何か借りてくか？　今日さ、ここの店員病気で寝込んでるんだよ。だから今日は特別サービスで何とタダ！　どうだ、凄いだろ！」
うさぎ「お前、勝手にそんな事していいのか」
涼一「別にいいだろ。お前だってこの間中学生にエロビデオタダで貸したって言ってたじゃん」
うさぎ「こいつ」（そっと友之を指差す）
涼一「は？」
友之「……（汗）」
うさぎ「こちらのお客様に貸した」
涼一「はあ？」
友之「あのっ。こ、この間は勝手に借りて行っちゃって…ごめんなさい…っ」
うさぎ「別にいい」（びしっと片手を出して「平気」の合図をするうさぎ）
涼一「ええ…？　何、もしかして創が言ってた子って友之の事？　何だ、友之実はそういうの好きだったのかー。へー（笑）」←わざとからかってる
友之「えっ。そ、その…！」
うさぎ「若い者にはありがちな罠だ」
友之「……っ（困惑）」
涼一「まあ照れるなって。いいんじゃないの。友之片想いだって言ってたし、どっかで発散しないとな」
うさぎ「お前もどっかで発散してるか」
涼一「何で俺がンな必要あんだよ！　俺は雪と今限りなくうまくいってんだよ！」
うさぎ「ここで質問です。貴方にとって浮気とは？」（傍にあった雑誌を取り出して）
友之「……？」
涼一「どうでもいいけど、那智さんも案外普通の女性誌読んでるんだな」←何気に失礼発言
うさぎ「１．セックスしたら　２．キスしたら　３．一緒に食事に行ったら　４．アダルトビデオを見たら　…さあ、貴方はどれ？」（友之を見つめて言ううさぎ）
友之「え…？　え、えっと…？」
涼一「１から３までは論外として、４も微妙だよな。雪が１人でＡＶ見て興奮してたらショックだ…。まあ、ありえねーけど」
うさぎ「何で」
涼一「ありえないもんはありえない。雪はそんな事しない」
うさぎ「俺がどんどん貸してやる」
涼一「テメエ…」
うさぎ「メシくらいはいいだろ」
涼一「駄目！　俺が一緒に行くならともかく、２人っきりは基本的に駄目！　事前に言ってくれるんなら、まあ許せるけど」←ホントか？
うさぎ「困った嫉妬魔だな」
涼一「……お前に言われると何か余計にむかつくぞ」
うさぎ「これによると、３を許せないと思ってる男なんか最悪だと書いてあるぞ」
涼一「最悪で結構。雪以外の奴にモテてもしょーがないし。雪が最悪って言わなきゃいい」
うさぎ「桐野だって最悪だと思う」
涼一「お、思わねーよっ。雪は思わないっ」
うさぎ「思う」
涼一「思わねーよっ」←子ども
うさぎ「それで、友之は？」（涼一を無視して視線を友之に向けるうさぎ）
友之「え…」
うさぎ「友之はどこからが浮気だと思う」
涼一「お前はもう友之を呼び捨てかよ…（呆）」
うさぎ「１から４の、どこまでなら許せるか？　即答せよ」
友之「……っ」
涼一「ん？」
友之「許す、とかじゃなくて…」
涼一「え？」
友之「そんな事言えないから…。一緒にいてくれるなら…それでいいから…」
うさぎ「謙虚〜」
涼一「えー！　お前っ。友之っ。お前、それは違うだろっ。お前それは自分の本心隠して我慢してるじゃん！　そんなのは駄目だぞー！」
友之「え…っ」
涼一「お前は自分に嘘をついているっ。好きな奴がお前以外の奴とキスしたりデートしたりしてたらどうよ？　セックスしたら嫌だろうがよー！」
うさぎ「涼一煩い」
友之「……っ。うん…。嫌だけど…」
涼一「だったら嫌だって言えばいいの！　自分に嘘つくくらいなら、他人に最悪と思われろ！」
友之「……好きな人にも？」
涼一「え？」
友之「好きな人がそういうの最悪だ、我がままだって言ったら…？」
うさぎ「それは嫌だな」
友之「うん…」
涼一「ばっ…。でも考えてみろ、自分の好きな奴がお前のことそんな風に酷い言い方すると思うか？」
友之「え…ううん…」
涼一「だろ？　少なくとも俺の雪はそんな俺が傷つくような切り捨て方はしないぞっ。それが恋人同士ってもんだ！」
友之「………」
涼一「だから我慢はよくない！　友之、あるがままに生きなきゃ駄目だぞ！」
うさぎ「お前は少しは抑えろよ」
涼一「煩い！」
友之「……（笑）。涼一さん、カッコいい…」
涼一「え？」
うさぎ「おぞぞっ」（寒気がしたらしい）
友之「そんな風に…ハッキリしてて…堂々としてて…。すごく、カッコいい、です…！」
涼一「え。あ、そうか？　はは…さんきゅ」
うさぎ「きもいきもい〜」
涼一「黙れ」（殴）
友之「あの…雪さんってどんな人ですか？」
涼一「え、雪！？　雪はな、本当世界で一番最高な奴だよ！　あんな奴他には絶対いない！　いつも話しかけるとこうふわっと笑ってさ。すっげー美人で優しくて控え目で、繊細なところも好きだな。マザコンなのが玉に瑕だけど、それでも自分をちゃんと持ってるしさ、いざって時にはがんばろうって顔するところとかがまたそそられるんだよな。で、夜になるとこれがまたすごく可愛くてでも色っぽくて肌なんかこうめちゃくちゃ白くて滑らかで。おまけに料理はうまいし、マメだし細かいとこまで凄くよく気がつくしそれにそれに……」（あと延々と続く）
友之「………」（ボー然）
うさぎ「……ちょっと付き合いたくない友達ベスト１」（雑誌を手繰りながら）
友之「え？」
うさぎ「恋人の惚気話を延々とする奴」
友之「………」
★
【完】




戻