質問47「無自覚の反応?」

都内の某おだんご屋さんにて。


藤咲「いらっしゃいませ! …って、あ。友之君の…お兄さん?」
光一郎「え…? ああ…。君、確か光治の…」
藤咲「恋人の藤咲です」
光一郎「………」
藤咲「っていうのは、まあ冗談なんですけど」
光一郎「いや、分かるけどね…」
藤咲「この間は長々とお邪魔してしまってすみませんでした。でも凄く楽しかったです」
光一郎「光治は寮でうまくやってる?」
藤咲「あいつはどこでもうまくやり過ぎですね。後輩に懐かれ、タメには信頼され、先輩には―」
光一郎「可愛がられてる?」
藤咲「愛でられてますv」
光一郎「ああ、そう。なら良かったよ」
藤咲「いや、あの。そこ、流して欲しくないところなんですが…」
友之「コウ…あ」
藤咲「あ! 友之君! 友之君もいたんだ? 嬉しいなあ、こんにちは!」
友之「こ、こんにちは…藤咲先輩…」
藤咲「うん。この間は映画楽しかったねー。また行こうね?」
友之「は、はい…っ」
光一郎「…ああ、そういえば光治と3人で遊んだんだっけ? 何かあいつはやたらとぶーぶー文句言ってたような気がするけど」
藤咲「はは、僕が友之君ばっかり構ったから嫉妬しちゃったみたいで。でもあいつに言っておいて下さい、『俺が本当に愛しているのはお前だけだ』って」
光一郎「トモ、お前今度光治に言っておけな」
友之「え? な、何…?」
藤咲「今のもさらりと流されてしまった…。さすが光治のお兄さんだなあ…」
光一郎「ところで藤咲君はここのバイト?」
藤咲「ええ、少しの間だけですけどね。知り合いの店なんですけど、ここの店主の息子さん夫婦が新婚旅行に行っている間、ピンチヒッター」
光一郎「へえ。で、トモ。どうする?」
友之「え、えーと…。あんことみたらしと…きなこ」
藤咲「はい、毎度。何本ずつにしますか?」
友之「10本ずつ…」
藤咲「そ…れはまた…友之君、見かけによらず大食漢なんだあ。まあ、そんなところも可愛いけど」
友之「え…」
藤咲「友之君って甘い物好きなんだね。今度すごく美味しいパフェを出すお店に連れて行ってあげるよ。あのね、凄いんだよ。おっきいいちごがたくさんのっててさ、その上にチョコがまたたっぷりかけられてるの。ね、美味しそうでしょう」
友之「はい…っ」(目がキラキラ)
光一郎「藤咲君、友之を光治と二股?」
藤咲「できるなら…って、いや、嘘です嘘。さっきまで流しまくってたのにそんな殺気立った目しないで下さい(笑)」
光一郎「してたかな…」
藤咲「それじゃあ、ちょっと待って下さいね。今包みますから」
友之「……美味しそう」
光一郎「皆喜ぶといいな?」
友之「うんっ」
藤咲「あ、何だやっぱりお土産だったんだ? ちょっと安心」
光一郎「大食漢のコイツも可愛いんじゃないの?」
藤咲「……光一郎お兄さんは、ホント友之君の事にだけは絡むんですねえ(苦笑)」
光一郎「そうかな…」
友之「???」



【完】