質問４８「やさしいお兄さん？」
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自宅アパートにて。


光治「友之君、よく見ててよっ？　この選手のフリーキックはさ、本当凄いんだから！！」
友之「う、うん…？」
光治「で、あの人っ。あの１０番も注目ねっ。ここからシュート狙いにくるんだよ！」
友之「え、１０番…。ど、どこ…？」
光一郎「ただいま」
友之「あっ、コウ…！」
光治「シュート、決まったーッ！　見た見た今の！？　友之君っ！？」
友之「あ…（汗）」
光治「すっげー！　すげーよ！　あの角度からよくあわせたなあ！　感動〜！…って、あ」
光一郎「光治、お前また来たのか」
光治「またって。ひどいなあ、光一郎さん。日に日に態度冷たくなってる感じー！」
光一郎「そうかな」
光治「（無自覚かこの人は…汗）…はー。初めて会った時はすっごく優しい穏やかな兄貴って感じだったのにな」
光一郎「お前も、初めて会った時は遠慮がちで素直な弟って感じだった」
光治「あーまた。ホント、その言い方棘がある！」
友之「………」
光治「あれ？　…友之君？」
友之「……えっ？」
光治「あの、どうかした？」
友之「あっ、何でも…。た、ただ…２人、凄く仲いいなって思って…」
光治「え？　あ、あの…？」
光一郎「……トモ」
友之「え」
光一郎「これな、土産。大学の友達にケーキ作りにハマッてる奴がいて。弟が甘いの好きだって言ったら作ってくれたんだよ」
友之「え？　ぼ、僕に？」
光一郎「そう。お前にだよ」
光治「えー！　どれどれ…わーすっげーデコレーション！　美味そうだなあ、いいなあ」
友之「こ、光治君、甘いの好き…？」
光治「うんっ。俺大好きだよ！　時々ご飯にミルクかけたりする。あとはね、皆が気持ち悪がるのは、納豆に砂糖振りかける♪」
友之「………」（あんぐり）
光一郎「トモ、真似しなくていいからな」
光治「ねえ俺も俺も！　食べていいでしょ、それ！？」
友之「え？　そ、それはもちろん…」
光治「やったー！　じゃさ、俺お皿とフォーク用意するね。あと、ビデオ巻き戻ししよ。さっきのシュート、友之君見てなかったでしょう！？」
友之「あ、ご、ごめ…。見てなかっ…」
光治「やっぱり。もうしょうがないなあ。でも大丈夫、何っ回でも見せてあげるからさ！」
光一郎「光治、お前寮の門限は？」
光治「え、とっくに過ぎてるよそんなの。大丈夫、今日は兄貴の家に泊まるって言ってきたから」
光一郎「兄貴、ね…」
光治「だって光一郎さんって俺の兄貴でしょ。一応」
光一郎「一応」
光治「うぐっ…本当にそんな風に返すなんて（汗）。いいよ、光一郎さんがそんなでも。俺にとっては、友之君も俺の兄貴って事になるんだし」
友之「え」
光治「だってそうでしょ？　友之君はどっちかっていうと弟って感じだけど。一応俺より一コ上だし。兄貴じゃん？」
友之「あ、兄貴…」
光一郎「……何か嬉しそうだな」
友之「えっ…。あ、え、えっと…」
光治「えー、嬉しいんだ。なら俺全然弟っ。その役やる！　トモ兄とかって呼ぼうか？」
友之「……！」
光治「トモ兄〜。それじゃ、ケーキ食べよっ」
友之「………」
光一郎「何を固まってるんだ（笑）」
光治「何か俺。嬉しいな。兄弟とかってずっと無縁だったし、別に特別欲しいなって思った事もなかったけど、何かこういうの凄く楽しいし。友之君、俺これからも遊びに来ていいかな？」
友之「うん…。ぼ、僕も…嬉しい…から…」
光治「（どきっ）…ほ、本当？　へへ、うん、それじゃあ…」
光一郎「ほら、皿。コーヒーも飲むか？」←既に１人台所でお茶の準備
光治「あ、俺ココアが飲みたいなー！！」（だっと駆け寄って皿を取る）
光一郎「……ケーキにココアかよ」
光治「砂糖もいっぱい！　自分でやるから入れていい？」
光一郎「別にいいよ。ほら、さっさと運べって」
光治「はーい。へへ、それにしても光一郎さん動きが早い。もうお湯沸かしてるし。気が利くなぁ、凄い」
光一郎「何だよそれ」
光治「すごい落ち着いてるし。やっぱ優しいし。理想の兄貴？」
光一郎「おだてても何も出ないって」
光治「本当ですよー。あ、ところで友之君〜。友之君もココアにする？　砂糖も俺入れようか？」
友之「え…あ、えっと…」
光一郎「トモは駄目だ」
光治「え、何で。あ、友之君はあまりに甘過ぎなのはやっぱ苦手？」
光一郎「トモはどっちかっていうと甘党だな」
光治「じゃ何で…」
光一郎「そんなにぐだぐだ甘いもんばっか摂取してたら身体に悪いだろ」
光治「へ…」
光一郎「歯にも悪いし」
光治「………」
光一郎「トモ、お前は紅茶にしろな」
友之「うん」
光治「……あの〜」
★
【完】




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