質問5「人前で自分の恋人を誉めたりする?」

部室を出たところ。



涼一「雪! こんな所にいたのかよ!」
雪也「あ…涼一…俺……」
涼一「ふらふら動き回るなよな! 講義終わったら図書室に行くって言ったろ? お前がいないから何処行ったのかって…!」
雪也「ごめん。涼一、その前に部室に寄るって言ってたから…。俺が先にここに来れば涼一が余計に歩かなくて済むと思って」
涼一「い…いいんだよ、そんな事気にしなくて(焦)! それより、煩いのいただろ? よく出てこられたな、大丈夫だったか?」
雪也「うん。涼一を探している最中だからって謝って出てきたから」
涼一「別に雪が謝る必要なんかないんだよ…。ったく、あいつらいつだって雪を強引に誘おうとするから…」(むっすー)
藤堂「あ」(その時、不意にガチャリとドアが開いて中から藤堂が出てきた)
雪也「あ……」
藤堂「おー、なーんだ、涼一戻ってきたのか? 良かったな、桐野。探す手間が省けて」
雪也「あ…う、うん…」
藤堂「涼一、お前デートの前に桐野と何か用あったのか? てっきりもう行っちまったんだとばっかり思ってたぜ。で、もう用は済んだ? 済んだんならさ、桐野、やっぱりこれから俺らと飲みに行かねえ?」
雪也「あ…その…(汗)」
涼一「駄目だ」(ずいと前に出て藤堂から雪也をすっかり隠してしまう涼一)
藤堂「へ……何でだよ」
涼一「雪とは、これから行く所があるんだよ」
藤堂「行くって…何処へ? だってお前、これから彼女とデートなんだろ? あ……もしかしてあれか? Wデートってやつか? え、何だよ、ひょっとして桐野にも付き合ってる奴いたのか!?」
雪也「え……その……」
涼一「そうだよ。だからお前、A子とかB子にも言っておけよ。雪は望みないからって!」
雪也「りょ、涼一……」
藤堂「ええーホントにそうなのかよ? うう、何かすっげえショックだ…。涼一だけならともかく、桐野までもう相手がいたなんて…。しかも俺らには相手の事一切隠しているくせに、お前らは仲良く4人で遊ぶなんて…ひでえよ〜。俺だってお前らの親友だろー?」
涼一「……デカイ図体して情けない面すんなよ。しょうがないだろ、お前らに知られるの嫌だって言うんだから」
藤堂「へ…? その、お前の彼女が?」
涼一「ああ、そうだよ。恥ずかしいんだってさ」
雪也「………っ」(ハラハラドキドキ)
藤堂「ふうん…。ならさ、せめて桐野は教えてくれよ。お前の付き合ってる奴ってどんな奴?」
雪也「ど、どんなって…?」(ちらと涼一を見やる雪也。汗だらだら)
藤堂「だからー。顔とか性格とか。どんな感じよ?」
雪也「……そ、そんなの……言いにくいよ……」
藤堂「またーなーに照れてんだよ。涼一なんてあーんなノロケてんのによ。な、涼一?」

涼一「ああ。もう最高に美人だし性格いいし。完璧」(雪也を見てにっと笑う涼一)
藤堂「ははは…。はいはい、分かったよ。まったくこれだからなぁ。な、桐野、お前も大変…」

雪也「だからそれは違うって言ってるだろ!!」


藤堂「は……?」

雪也「あ…! い、いや、そうじゃなくてその…っ。美人とかそういうの…は…(混乱)」
涼一「美人だから美人だって言って何が悪いんだよ? 雪、目悪いんじゃないの」
雪也「ち、違う…! な、何で涼一は…そんなの、誉め過ぎなんだよ…!」
藤堂(……こいつらこんなんでよくWデートなんてするよな……)


【完】