質問6「バカップルって周りが見えてない?」

日曜日。某スーパーの食品売り場にて。



雪也「涼一、今日の夕飯何が食べたい?」
涼一「雪が食べたい」
雪也「…………」
涼一「ごめん、俺が悪かった。俺、何でもいいよ。雪が作ったものなら何でも好きだもん」
雪也「何でも…って言われても…。じゃあ肉と魚。どっちがいい?」

涼一「え? んーそうだなあ………魚」(にやり)
雪也「そ…その笑いは何…?」
涼一「別に。魚はな、小骨がたくさんあるやつがいいな」
雪也「え……何で?」
涼一「雪ってさー、魚食べるのうまいよな。箸の使い方綺麗だし」
雪也「だ、だから…(汗)?」
涼一「だから。俺の魚の骨も取ってもらう」
雪也「………そういうの嬉しいの?」
涼一「相当!」←ものすごく嬉しそう
雪也「そ…(焦)、それで他に食べたいものは?」
涼一「えー何だろ。ホント、雪がいい物でいいよ。雪はないの? 食べたい物」
雪也「俺? え、と……」
涼一「そういう時、『俺も涼一と一緒なら何でもいい』とか言えれば満点なのにな〜」
雪也「あ………ごめん」
涼一「え…っ。じょ、冗談だよっ(焦)? いいのいいの、雪はそんな事言わなくても!!」
雪也「でも俺も…本当はそう思ってたのにちゃんと言えなかったから…」
涼一「…………」
雪也「あ、あのさ。あとビールとか買っていく? 涼一、好きなの選んできなよ」
涼一「え…やだ」
雪也「や、やだって…。何で(汗)?」
涼一「だってその間に雪が誰かにナンパされたら大変じゃん。現にあそこのおばさんなんかさっきからずーっと雪の事見てるし。あっちの人もそっちの人も皆見てる」


雪也「え……? あ……!」(辺りの様子に気づいてさーっと蒼褪める雪也)


涼一「なー? 何見てんだよって感じだろ? もーさっきから気になってたんだけどさー」

雪也「りょ、涼一っ、早く行こ…!」(だだだだだーっ)
涼一「あ、な、何だよ雪! どうしたんだよ、急に走って行っちゃってさー。魚買ったかー?」
パートのおばちゃんA「ありゃ、可愛い方が気づいちゃったみたいよ」
パートのおばちゃんB「ちっ、誰だよ露骨に見てたの…。折角目の保養だったのに…」



【完】