質問9「年の差カップルは好きですか?」

日曜日。河川敷近くのバッティングセンター「アラキ」にて。
続・社会人草野球チームのメンバーたちの会話。



男A(45才)「……うちの娘がこの間男を家に連れてきやがってよ……」
男B(37才)「あ、やっぱり彼氏いたの。で、どんな男だったの」
男C(29才)「へえ、偉いじゃないですか。今時、父親に自分の彼氏ちゃんと紹介する娘なんてそういないですよ?」

男A「うるせーっ!! 俺は絶対認めないからなっ!!」(バンッとテーブルを叩いて)
男B「何、どうしたの。あんまり良い男じゃなかったのかい? けど、コウと比べて気に食わないってんなら、幾らなんでも相手がかわいそうだよ?」
男C「そうですよ。いいじゃないですか、どんな男でも。やっちゃんが好きだって言うなら」
男A「分かってる。そりゃ、理屈じゃ分かってるんだ。あいつが選んだ男ならってな…。けど…相手の男…37だぜ?」

男B「ええ〜!? 俺と同じ年じゃない!!」
マスター「なになに、またシビアな話になってるねえ。どしたの?」
男A「ううう…こんな事なら修司の奴で手を打っておけば良かった…。何が悲しくてBと同じ髪の薄〜いオヤジから『お父さん』なんて呼ばれなきゃならねーんだ…」
マスター「……また何か言われてるぞ」(苦笑)
男B「余計なお世話だーっ【怒】!!」
男C「いや、しかしそれはまたスゴイですねえ。20くらい年離れてるって事になるのか…。一体どこで知り合ったんです? まさか学校の先生とか?」
男A「近い。塾の先生」
男C「うわー本当ですか〜!? 先生と教え子の恋。燃えるシチュエーションだなぁ!!」
男A「他人の家の事だと思って気軽に言ってんじゃねーよ!!」
マスター「で? やっちゃん、まだ学生だけど。もしやもう結婚したいとか言ってるの?」
男A「言ってるんだよ…。大学行かないで結婚するって…。俺は自分が行けなかったからよ、あいつには上まで行かせたかったんだよ…なのに…!!」
男C「まぁでも、大学行くだけが進路じゃないし」
マスター「そうだよ。いいじゃない、やっちゃんがそうしたいって言うなら、その選択を信じてやりなよ」

男B「いや、それは違う。俺も2児の父親としてAちゃんの気持ちはよく分かるよ。やっぱり子供は大学まで行かせたいし。大体、そんな早くに嫁になんて行ってほしくはないよ。しかも相手が自分と年の近い男なんてのは…」
男A「そうだっ。結婚なんてふざけんなーっ!! 俺は絶対絶対反対だー!!」

友之「こ…こんにちは…」(その時、店の扉が再び開いて友之登場)


一同「あ……」(一斉に振り返って友に視線集中)

友之「……あの……」
マスター「よう、トモ。打ちに来たのかい?」
友之「……うん」
一同「ボー……」(見とれ状態)
マスター「ほら、行っておいで」(言ってコインを友之に投げて寄越すマスター)
友之「…………」(ちょっとだけ笑って見せ、ボックスへ向かう友之)
一同「…………」
マスター「……またあんたらは、何を考えているんだい?」(苦笑)
男C「えー? あはは……」(くう…っ。いつ見ても可愛い……!!)
男B「いやあ…まあ、ね? …やっぱり別に学校なんて行かなくてもどうでもいいかなっ…てさ」
男A「どうでもいいな」(きっぱり)
男B「それに十代で結婚ってのも悪くないんじゃないかなー?…とか。花のあるうちに嫁いで行くってのも…なかなか良いシチュエーションだし」
男A「うん。いい。ついでに年の差カップルもいい」(きっぱり)←このオヤジは…
男C「俺も友が相手なら10才以上離れてたって全然範囲内……」(またまた両サイドから殴られ、後の台詞途絶)
マスター「……いい加減にしないと、後で正人に言いつけるよ?」(ため息)



【完】