ヒトは間違うけれど、



  ツキトは大学が主催していた学生対象のアート大賞に入選した。大学も2年の終わりにさしかかろうという頃だ。
「はぁ…」
  けれど事務局横の掲示板にも張り出され発表されているそれに、ツキトは小さな溜息をつく。
  入選を果たしたコンテストは一般にも公募の告知を出していたとはいえ、元々は大学側が学生の意欲向上のために実施したもので、構内の学生を除けば注目度も低く、大仰な「ご褒美」も過度な賛美も、特別には得られない。
  勿論、サトミをはじめとする少数の友人らはツキトの入選を心から喜び、祝福してくれた。大学の広報誌に小さく載ったせいか、通いの家政婦である典子や兄の秘書である支倉、それに上月も、ツキトが恐縮し赤面するくらいの「誉め殺し」でこの事を祝ってくれたし、「元見張り役」の田中などは「有名になる前にサインと、何でもいいから坊ちゃんの描いたラクガキ下さい」と真顔で迫ってきたりもした。
「はぁ…」
  にも関わらず、掲示板の前でツキトの溜息は一向に止まない。
  皆が今回のことで祝福してくれる事は素直にありがたいと思う。ツキトとて嬉しくないといえば嘘になる。否、本当のところ、最初は叫び出したいくらいに嬉しかった。大賞や特別賞など、メインの賞を獲得した他の学生らは、ツキトが以前から「凄いな」と尊敬し憧れていた個性派揃いの先輩たちだったから、そんな彼らと、紙面のほんの片隅にとはいえ並んで名前を載せられた事は無条件に誇らしかった。
  それでも、「こんな想い」をするくらいならば入選などしなくて良かった。いっそ今回の受賞に全くの無関心を貫いている太樹たち家族の素っ気無い態度の方が余程気持ちも和らぐというものだ。

  つまり、何があったのかというと。
  一番祝福して欲しい人―恋人の志井―が、何も言ってきてくれない。

「どうしたんだろ……」

  いや、「おめでとう」という言葉自体はあった。それは確かに貰えたのだ。
  けれどこのコンテストの発表がある数日前までは、たとえ住む所が離れていても毎日のようにメールや電話で互いの近況を報告しあっていたのに、今回の入選を知らせた直後、彼は突然何の前触れもなく、ツキトへ一切の連絡をしてこなくなったのだ。

(おめでとうって言ってくれた…。何かあるわけない。きっと仕事が忙しいんだ)

  何度も疑問に思っては結局その結論に至るツキトだが、不安な気持ちは拭えなかった。
  入選が決まった時、今とは全く逆の昂ぶった気持ちで、ツキトは急いで志井にメールを打った。努めて浮かれた文面にならないようにと気をつけはしたが、あの時は「以前のこと」など全く頭に浮かばなかったし、志井が喜んでくれる以外の場面をツキトは微塵も想像する事が出来なかった。
  現に志井はすぐに「良かったな、おめでとう」というメールを返してくれたのだ。
  けれどそれ以降は、この数日間ぴたりと何の音沙汰もない。

「恋人と毎日メールに電話? ウザッ! ウザ過ぎるでしょ、ありえない!」

  それとなく相談を持ち掛けてみたサトミには、「おー、さぶさぶっ」などと大袈裟なリアクションまで取られてツキトの不安を一蹴されてしまった。彼女が言うには、そもそも毎日密に連絡を取りあっていた今までがおかしいのであって、相手が社会人で仕事もあるのなら、尚のこと生活形態の異なる学生のツキトへマメな連絡を求めるのは酷だと言うのだ。
  世の中の恋人同士だってみんなそんなもんよ、と。
  サトミは自らのドライな交際関係を思い浮かべるようにしてそう肩を竦めた。
  そうなんだろうか。それならいいけれどと、ツキトも何度も同じ思考を張り巡らせながら、それでも掲示板の片隅にひっそりと載った自らの名前をぼんやりと見つめやった。
  入選したからどうという事はない。自分自身の中身が変わるわけでもない。
  けれど、志井はどう想っただろう。

(本当は嫌かもしれない……。俺が絵を続けていくこと……)

  志井を疑うような考えは捨てるべきだが、こうも声が聞けないとどうしても悪い方向へ考えが向いてしまう。ツキトはぶるぶると激しくかぶりを振り、逃げるようにその場を去った。
  もう随分と前の話だけれど、付き合い始めてから暫くして、志井はツキトの絵の才能に焦がれるが故に、ツキトを自ら手離そうとした事があった。
  それについて志井は「あの頃の自分を殺したい」と、己の愚行を悔やむ発言をするが、ツキトはその度途惑ってしまう。最近でこそ、見た目に反して志井が病的に考えこむ性質である事や、自らに恐ろしく自信を抱いていない事をようやく理解しかけているが、それでもツキトは志井を「何でも出来る凄い人」と、純粋に尊敬する事を止められないし、志井は志井で「自分は器用貧乏なだけ。本当に凄くて天才なのはツキト」と言い張って譲らないから、どうにも噛みあわない状態なのだ。互いが互いを「凄い貴方に比べて、私なんて」と言い合う様は、傍から見ればうんざりするほどの「バカップル」なのだが、当人たちにとっては深刻な問題なのである。
  だから、というのも変な話なのだが。
  もしどちらかが何か「すごいこと」を成し遂げたとしたら、恋人は「良かった、さすがだ!」と恋人を誉める一方で、「それに比べて、やっぱり自分は何の取りえもない駄目な奴だ」と、無駄に悲観する事も考えられるのだった。

「会いたいな……」

  思わずぽつりと呟いてしまい、ツキトは鞄の中に無理に押し込めた携帯を意識しながらぐっと唇を噛んだ。
  あまりしつこくメールをしては鬱陶しがられるかもしれないと不安で、それも出来ない。志井はツキトに折に触れ「もっと甘えてくれればいいのに」と零すけれど、ツキトにしてみればそれはとんでもない要求だった。折角再び志井とよりを戻して恋人関係に戻れたのに、また余計な事をしてもし嫌われでもしたら、今度こそ二度と立ち直る事は出来ない。兄や姉はそんなツキトを「軟弱者」と罵るけれど、そういう弱い自分を強くしてくれるのが志井なのだ。だからその志井と離れたら、ツキトは立っていられない。
「やっぱり……」
  気付けば家とは正反対の駅に辿り着いていて、ツキトは再び独りしかいない街中で声を漏らしてしまっていた。
  会いたい。どうしても会いたい。言葉を交わさないまでも、せめて一目その姿だけでも見たら、きっと自分は安心する。
「よしっ」
  ツキトは一度決めたその決断を折らないよう、なるべく早足で駅の構内を潜り抜け、改札を通った。志井には直前でメールなり電話なりしてみればいい。今もし掛けてみて繋がらなかったら、きっと自分はまた最悪な方向へ考えを導いてしまう。そんなのはごめんだった。





「嘘……」
  けれど志井のマンションにまで来て、ツキトはボー然として立ち尽くした。
  建物の通りに着いた時点で、何やら引っ越し業者のトラックが停まっていたから少しだけ首をかしげたが、まさかそれが志井本人が呼び寄せたものだとは想像もしなかった。
「え…」
  もう荷物は運び終えているようだ。一旦エレベーターで部屋のある階へ上がったものの、ドアはがちゃりと虚しい音を響かせるだけで鍵が掛かっている。念のためインターホンも押してみたが、何の反応もない。ドキドキする心臓の音が煩く耳に木霊するのを感じながら、慌てて再び階下へ降りる。引越し業者の人間は2名いて、トラックの荷台に積んだ荷物に再度カバーを掛け直したり、そのチェックをしたりと、忙しそうにしていた。
  けれど周囲に志井の姿は見当たらない。
「何で…」
  引越しをするなんて全然聞いていない。ふとロビーの受付窓口に管理人の姿を見つけて、ツキトは急いで志井の所在を訊ねた。……が、元々素っ気無い風だったその管理人は自分は何も知らないと言ってツキトをじろじろと検分した後、「まあ決めたのは急みたいだがね」とぞんざいに答えた。
「……あのっ」
  居ても立ってもいられず、今度は思い切って引越し業者の人間に声を掛ける。1人が突然声を掛けられた事に驚いてびくりと肩を揺らしたが、「はい?」と今度はにこやかに応じてくれて、少しだけ安心した。
「あの…この、引越しする人なんですけど。今、どこにいるんですか?」
「ああ、先ほどまではいらっしゃったんですけど。ちょっと車を移動してくると仰って、多分ここの地下駐車場に行かれましたよ」
「あ、ありがと、ござ…っ」
  満足に礼も言えないまま、ツキトは急いで踵を返すと、今度は地下の駐車場へ向けて駆け出した。頭の中にあるのは「どうして」「何故」という疑問符ばかりだ。引っ越すこと自体は、何か理由があるのなら仕方がないと思うけれど、問題なのはどうして自分に一言も言ってくれなかったのかという点だ。無論、実際相談などされても、ツキトとてこのマンションに然程の思い入れがあるわけではないから、「志井さんがそうしたいなら」と言う以外は特別何も言えないだろうけれど。
  それでも、お互いに思った事は何でも言い合おう、互いに我慢し黙っていた事で失敗を重ねてしまったからと言い出したのは志井ではないか。

(つまり、じゃあ、今回のことを言わなかったのは……)

  あっという間に地下の階段を駆け下りて、けれどツキトはハッとして足を止めた。この角を曲がればもう志井の停めている車はすぐそこだ。つまり、志井もすぐ近くにいるはず。
  けれど今さらながら、ツキトは志井とこの場面で会う事に非常な気まずさを感じた。

(志井さんは俺に内緒で引越ししようとしてる…。それなのに、俺が今ここに出てきたら絶対困るに決まってる)

  それにと、次々嫌な考えが脳裏を過ぎる。

(もし俺から逃げようと思っていたとしたら…? 突然俺が現れた事でバレちゃったって諦めて、「実は別れたいと思って…」なんて切り出されたら……)

  怖い。
「…っ」
  ツキトはごくりと唾を飲み込み、一歩後退した。嫌な考えだけでなく、冷たい汗がぷつりと背中に浮かぶのが分かった。そんな最悪な事を言われたら、自分は立っていられるだろうか? 考えただけで泣きそうになっている。ほら、もう視界だってぼんやり霞んでる。自分は病気だ。志井に依存し、志井をすっかり頼りにしている。
  今さら絶対離れられないのに。
「わっ…」
  けれどツキトが階段の壁にもたれかかりながら半ばパニックになりかけていたところへ、突然突拍子もない声が放たれた。
「……っ!」
  それによってツキトも思わず息を呑んで目を見開く。もたもたしている間に車での用を済ませた志井が戻ってこようとしていたのだ。ばったりと地上へ向かう階段の一角で顔を合わせてしまい、ツキトは突如としてガンガンと頭の上を煩く鳴り響く鈴の音にくらりと眩暈を感じた。
「ツ…キト!? どうしたんだ、一体!? って、大丈夫か、おい!」
  出し抜け対面した事で志井も最初こそ驚き声を失っていたようだったが、ツキトの異変にすぐ気づいたらしい。驚愕しつつも、壁に寄り添っていないと身体の均衡を保てていないようなツキトをがっしりと両手で支え、自身の方へと寄り添わせる。その感触にツキトはぎくりとしたのだけれど、逆らって離れようとしたものの足がふらついてうまくいかない。
  何より志井の拘束はとても強かった。
「どうした、ツキト!? 具合でも悪いのか? 顔、真っ青だ…!」
「志井さん…」
「いきなり現れたのも驚いたが……とりあえず部屋行こう、ちょっと休んだ方がいい。あ…荷物全部運び出しちまったから何もないが、まあ横になれるだけマシだろう」
「部屋……」
「ん?」
  微かに唇を動かして声を震わせたツキトに、志井は身体を屈めて不思議そうな目を向けてきた。端整なその顔が自分のものともろに同じ位置に現れた事でツキトは面食らって顔を背けたが、ここまできたら訊かないわけにもいかないと勇気を出す。
「志井さん……引っ越すの?」
「ん? あ、ああ、そうなんだ。部屋行ったのか? びっくりしたろ?」
「うん……。部屋、行ったら。鍵しまってたし…引越し業者の人がいて……」
「そうか、ごめんな。急に決めてバタバタしてたから、ツキトにもまだ知らせてなくて……驚かせて悪かった。ただ、平日だったし、お前学校だろう? まさか突然来るなんて事ないと思ったし」
「どこ行くの…」
「ツキト?」
  志井がツキトを抱えていた両手をぴくりと動かして怪訝な声を出した。ツキトの様子がおかしいということは分かったものの、どうやらそれ以上の何かが起きたと勘付いて思わず身体を揺らしたのだろう。
「どうした……? ツキト、お前――」
  泣いてるのかと言われるのが嫌で、ツキトは慌てて首を左右に振って頑なに下を見つめた。
「志井さん、どっか遠いとこ? 引越しって……何か……新しく始めた仕事の都合で、とか?」
「し……仕事って、ちょ、ツキト―…」
「もう滅多に会えないとか。い、今までだってそれはそうだったけどっ。志井さんは東京いるし、俺だって大学あるし。それに、兄さんがまだ志井さんに海外の仕事させようとしてるって支倉さん言ってた。でもそれって本当は意地悪とかじゃなくて、志井さんが出来る人だからって兄さんも知ってるからで、悪気があるわけじゃないんだよ。本当に。でも、志井さんにしてみたら良いように使われるのはやっぱり嫌だよね? それで居場所が分からないように引越ししようと思ったとか」
  よく分からないうちにぺらぺらと勝手に口が動いた。でも、肝心なことは訊けない。それは怖くてやっぱり訊けない。本当に引っ越すその理由が「それ」だったら、やっぱり自分はこれからどうして良いか分からなくなってしまうから。
  浮かれ過ぎていた。最近、本当に自分は調子に乗っていたとツキトは思う。
  たかが大学の主催したコンテストに入選したくらいで、志井から無条件にお祝いしてもらおうだなんて、志井に喜んでもらおうだなんて、何て虫が良い話だ。
「そ、それとも、本当は」
  だから志井が引っ越す理由は。
「お、俺が嫌になって……離れたくなった、とか……」
「ツキト」
「ひっ…」
  ただ名前を呼ばれただけなのにツキトは思わず小さな悲鳴をあげた。「そうだ」と言われると思ったからだ。こういう被害妄想というか一旦思い込んだらその思考から逃げられない強迫観念は、未だツキトの内に残る病的なものだ。要はそういった症状を落ち着かせてくれる鎮静剤が「志井」なわけだけれど、それが得られなくなったと思う事がここまで恐怖だとはツキト自身、今初めて知りえた事だった。
「本当にごめんな。ちゃんと電話すれば良かった。メールも」
「……っ」
  がっつりと両頬を志井の両の手で挟みこまれ、無理矢理顔を上向かされる。ツキトは驚いて志井の謝罪を目の前で受け留めたが、何を言われたのかはまだよく分かっていなかった。気付けば瞳からもぼろぼろと涙が溢れ出てしまっている。
  それでもぼやけた視界の中で、意思の強そうな志井のよく通った声ははっきりと聞こえた。
「毎日連絡してたのに、突然なくなったからびっくりしたんだよな。俺は……本当に駄目だ。そういうのに全然気付けない。……ただ、みっともなくはしゃいでいたから、下手にお前と電話でも何でも話したら……言っちまうと思ったんだ。俺は内緒にしていたかった、今回の引越しを」
「俺から逃げるため…?」
「だから何でそうなる……」
  はあと大きく溜息をつき、志井は一旦がっくりとしたように項垂れた。
  けれどすぐさま再び顔を上げると、志井はツキトの頬を撫でてその涙を拭い、そっと顔を近づけた。
「あ……」
  そうして優しいキスも何度もツキトの唇の上に落とすと、それに翻弄され途惑う恋人には構わず、意識した早口で告げた。
「引越し先は、お前んちのすぐ傍」
「……えっ?」
  その答えに未だ涙で濡れた目をぱちぱちと瞬かせると、志井はここでようやく苦く笑って、そんな風に驚いてみせたツキトの前髪をさらりとかきあげた。
「お前が大学のコンテストで入選したって聞いて、凄く嬉しかったんだ。で、何を祝いにしようと色々考えて、リボンのついたプレゼントもバカみたいに買い漁ったんだけどな。どうにも物足りなくてさ。……で、こうなったら傍に行く事にしようって決めたんだ」
「こうなったら……って」
「一度決めたらそれ以外に考えられなくなって、むちゃくちゃ興奮して……ははっ。ここ数日間の俺はかなり凄かったぞ? あ…ツキトはその間凄く不安になっていたのにごめんな。けど……お前の傍に行きたかったから」
「本当に…? 俺から離れたいと思ってたんじゃなくて…?」
「そういう風に未だ誤解されるような間柄だから、もっと近くにいなくちゃ駄目なんだな」
  そりゃあ俺だってと志井はわざと不満気な顔を浮かべて再度ツキトの唇にちゅっと軽いキスをした。
「こうやって直にツキトに触れられていない時はしょっちゅう不安なんだぜ。今頃お前はあっちで絵の事ばっかり考えて俺の事なんか思い出しもしないんじゃないか、周りのアブナイ連中に誘惑でもされてんじゃないか……ってな」
「そ、そんなわけないっ」
「そんなわけないよな」
  知ってるよと志井は優しく笑んでから、さあ話は終わったとばかりにツキトの身体をぎゅうと強く抱きしめた。
「一緒にいような」
  そうして志井はツキトの耳に唇を押し当て、酷く真面目な声でそう言った。
「お前が何処へ行こうが…俺の手の届かない所へ向かおうが…俺はその後をついていくって決めたんだ。もう俺は間違わない」
「お、おかしいよ……?」
  またそんな言い方をする。
  いつでも志井を追いかけて、置いていかれたくないと焦っているのは自分の方だとツキトは言いたいのに。
「志井さん……俺……俺、志井さんが、好きだよ……」
「ああ。俺も好き」
「凄く好き」
「うん。俺も凄く好き」
  ふざけたように志井はツキトの必死の告白を揶揄するように真似て見せた。
「志井さん…っ」 
  けれどツキトはちっとも気にならなかった。この強く抱きしめてくれる腕の中はとても安心だ。自分ももう間違えたくはない。だからこの手を絶対に離したくないと強く思う。
「あぁ〜、ツキト。それで、そろそろ上行かないと業者の奴らが不審がって下りてくるけど……」
  だからツキトは志井がらしくもなく困ったようにそう言って離れようとした時も、今度は「嫌だ」と自分からぎゅうぎゅうと抱きついて顔を擦り付けた。志井と離れたくなかった。そして志井がそれを苦笑混じりに許してくれた空気を感じ取った時はこの上なく幸せだと思った。

  ああ、結局この人の中に俺の幸せはある。

  ツキトはそう確信し、はっと小さく安堵の息を漏らした。








ヒトは間違うけど、それを正す事も出来る。たぶん。
……と、補足しないと分からないタイトルをつける悪癖をやめたいです。