雨の日の一コマ…
【神部裕子編】
友之が通う学校・校門前。裕子が下校途中の友之に向かって足早に駆けてくる。
裕子「トモ君!」
友之「あ…裕子さん…」
裕子「あ〜もう、やっぱり濡れたままぼうっと歩いて来て! はい、傘!」
友之「わざわざこれ…?」
裕子「そうだよー? トモ君、雨に濡れた後ってすぐ風邪引くでしょ。コンビニとかで傘買えばいいのに」
友之「もったいないし…」
裕子「何が? お金が? もう、そんなの後で私が幾らでもあげるよ」
友之「そ、そんなの…」
裕子「はい、タオル。あ、ところで帰る前に駅前の喫茶店でお茶しない?」
友之「え…?」
裕子「身体もあったまるし。ふふ…これくらいは役得だよね?」
【橋本真貴編】
昇降口にて。
橋本「あ〜やだ雨だ〜! 北川君は傘は? ある?」
友之「あ…ううん…」
橋本「や〜そうなんだ! 私もなんだけど…。あ、そうだ、ちょっと待ってて!」(だだだーっ)
友之「……?」
橋本「お待たせ! はい、ビニール傘! それとタオルと…あ、念の為ハンカチも持っていく?」
友之「え、あの…これ…?」
橋本「昇降口の所にあった置き傘だよ! 誰のか分からないからパクってきた!」
友之「……!?」(ぎょっとして声も出ない)
橋本「タオルは保健室で借りてきたの。あ、鞄も濡れるといけないからこの袋にでも入れる?」(ささっ)
友之「あの…いいよ、これ…」
橋本「え? 何? 私? 私は大丈夫だよ、心配しなくて平気だからね♪」←聞いちゃいない
【沢海拡編】
教室にて。
沢海「友之、これ」
友之「え?」
沢海「折りたたみだけど。傘、持ってきてないんだろ?」
友之「でも…拡は…?」
沢海「俺は自分のあるから大丈夫だよ」
友之「本当…?」
沢海「ええ? 何で? 何だよ、友之。ホントだよ? 何でそんな事訊くんだ?」
友之「…拡、そう言って前、自分の分を俺に貸してくれたって…」
沢海「え…そんな事、誰が言ったんだ?」
友之「クラスの人…」
沢海「…俺、この後部活なんだけど。友之が受け取ってくれなきゃ、安心して行けないよ?」
【中原正人編】
チーム練習後、グラウンド管理室にて。来月分のグラウンド使用料を払い終わって外に出たところ。
中原「…ち、何だよ降り出しやがった」
友之「……っ」(困ったように空を見上げる友之)
中原「………」(ちらっとそんな友之を横目で見やる正人)
友之「………」(その視線に気づいていない友之)
中原「しばらくここで休んで行くか」(玄関口のすぐ横の壁に寄りかかって座る正人)
友之「………」(こくんと頷いて横に座りこむ友之)
中原「ん…何だよ、トモ。寒いのか?」
友之「え…ううん…」
中原「嘘つけ、震えたろーが今。しょうがねえな…」(自分の羽織っていたジャケットを友之に投げる正人)
友之「あっ…。でも…正兄は…?」(それを受け取りつつ、戸惑い気味の友之)
中原「お前と違ってこんくらいで風邪なんか引かねえよ。大体…お前に寝込まれたら俺が叱られるだろーが」
【荒城修司編】
駅前にて。
修司「あ、トモだトモだ。お帰り〜」
友之「修兄…? どうしたの…?」
修司「どうもしないよ。ただ通りかかったらトモがいたの。俺たちはやっぱり運命の糸で結ばれてるね」
友之「…修兄、すごく濡れてる。今日はバイクじゃないの…?」
修司「ああ、今日はそういう気分でね。電車だったんだよ。トモも濡れてるな。傘ないのか?」
友之「うん、忘れたんだ…。コウ兄には持っていけって言われたのに…」
修司「そっか、それじゃあそんなズブ濡れで帰ったら大目玉だな」
友之「え…っ。そう…かな…」(途端に不安そうな顔になる友之)
修司「そうだよ♪ コウ君を怒らせたら大変だ。そのまんまで帰るのはよくないぞ、トモ?」
友之「でも…」
修司「ふっ…大丈夫、修兄ちゃんがお風呂もあって休憩もできる良い所連れて行ってあげるから♪」
【香坂数馬編】
デートの帰り道にて。(デートかよっ)
数馬「あー雨だ。雨だね、トモ君」
友之「……うん」
数馬「ああ、でもこれは通り雨だね。そのうちやむな、きっと」
友之「…数馬、そういう事分かるの…?」
数馬「分かるよ。僕、自然とオトモダチだから」
友之「自然、と…。すごい…」
数馬「はあ…? ふん、そうだね。すごいかもねえ、僕って…」
友之「……?」
数馬「それより、折角だからお散歩しよう? たまにはこういうのもいいんじゃない?」
友之「え…濡れる、の…?」
数馬「そうだよ? がーっと濡れてさ! びっしょびしょになるの! さ、友之行くぞ!」
【北川光一郎編】
自宅のアパートにて。珍しく早く帰ってきた光一郎が玄関先で濡れねずみ状態の友之を発見。
光一郎「友之…。お前、傘持っていかなかったのか?」
友之「うん…」
光一郎「……早く風呂行ってこい」
友之「………」
光一郎「どうした?」
友之「コウ、怒ってる…?」
光一郎「は…? 別に怒ってない。どうでもいいから、早くあがれ」
友之「うん…」
光一郎「……本当に怒ってない。むしろ…気づかなくて悪かった」
友之「え…。そん…そんなの、そんなのいいよ…っ。だって…あっ」(不意に抱えあげられ驚愕する友之)
光一郎「ならこれ以上イライラさせるな。早く脱がないと風邪引くだろう」(言いながら浴室へ運んじゃうコウ兄であった)
おまけ…
【椎名澄人編】
会社帰り、コンビニの入口にて。何と友之が雨に降られ、困ったように立ち往生している!!
椎名「ト、トモじゃないか…!? どうした、こんな所でっ?」(思わず声が上ずる変態サラリーマン)
友之「……っ」(驚いたように身体を揺らす友之。椎名に慣れていないようだ)
椎名「学校帰りか? 買い物途中か? そうか、雨降って…傘ないのか!?」
友之「………」(迫力に押されつつも頷く友之)
椎名「そうかそうか。なら俺のに入れよ、な? 家まで送っていってやるから!」(相合傘にうきうき♪)
友之「………」(怯えたように伺い見るような目)
椎名「遠慮すんな、そんな遠回りでもないんだから。あ、でもその前にコンビニで買い物してっていいか?」
友之「……はい」
椎名「折角だからトモにも何か買ってやるな♪ 菓子とかジュースとか。何でも言っていいぞ? ん?」
友之「……あ…じゃ…傘…」
椎名「へ……あ、なるほど、ははは…は…(涙)」
……しょーもないネタで失礼しました。
さっさと戻るべえ〜。