お正月の1シーンから…

【神部裕子編】

近所の神社にて。
裕子「トモ君早く! 屋台いっぱい出てるよ!」
友之「う、うん…っ」(はしゃぐ裕子に焦りながら後を追う友之)
裕子「あ、焼きりんご! 焼きそばも美味しそう〜。トモ君、何食べたい? 何でも欲しい物買ってあげる!」
友之「あの…裕子さん、お参りはしないの?」
裕子「え? あ、そうか。あはは、つい食い気の方に意識がいっちゃった。じゃ、さっと行って戻ってこよ?」
友之「すごい人…」
裕子「そうだね。こんなちっちゃい神社なのに。トモ君、はぐれちゃ駄目だよ? あ、そうだ、手つなご?」
友之「えっ…で、でも…」
裕子「照れない照れない、どうせ皆気にしてないんだから! はい、手!」
友之「う、うん…」
裕子「ふふ…。な〜んか、私のお願い、神様にお願いする前にもう叶っちゃった感じ…」



【橋本真貴編】

玄関先にて。
橋本「北川君! あけましておめでとう〜!」
友之「は、橋本さん…?」
橋本「へへ〜びっくりした? 突然、ごめんね。はい、これ! 年賀状!」
友之「年賀状?」
橋本「うん! はは、年末サボってたら書くの遅くなっちゃって。でも元旦に渡したかったから、こうやって来ちゃった!」
友之「………」
橋本「あ、ごめん! 北川君、もしかして私が来たの迷惑だった…!?」
友之「あ…! そんなんじゃないよ…っ。ありがとう…」
橋本「えっ! いやいや、そんな! へへ、でもほっとした〜。はい、それじゃあ読んで読んで♪」
友之「え…あ、あの、これって…」
橋本「あはははは! そう、初詣のお誘い! 日時と場所まで書いちゃってるの。というわけで、今からレッツゴー!」



【沢海拡編】

川原沿いにて。
沢海「すごい人だったな。友之、疲れてないか?」
友之「うん」
沢海「でも顔色悪い。……無理に誘ってごめんな」
友之「そ…! 平気! 拡に誘ってもらえて…嬉しかった…」
沢海「え…そ、そうか。良かった。それで友之は何か願い事した?」
友之「あ…えっと…特には…」
沢海「ええ? しなかったのか? 随分と熱心に祈ってるように見えたけど」
友之「あ、んまり…そういうの分からなかったから…。皆がやってたようにやっただけ…」
沢海「…そっか」
友之「あ…拡は? 何をお願いしたの…?」
沢海「え? 俺? はは、実は俺も…。俺、友之の横顔ばっかり見てたからさ…特に何も」



【中原正人編】

おみくじ売り場前。
中原「最低だなおい…。大凶ってフツーそんなに出るものか?」
友之「正兄、大凶だったの…?」
中原「悪ィかよ。ちっ、あ〜損した。で、トモ、お前はどうだったんだ?」
友之「あの…大吉……」
中原「ほ〜そりゃめでたいこって。さてはお前、俺の運気まで吸い取りやがったな」
友之「……ご、ごめんなさい」
中原「なっ…! バカやろ、冗談だろーがッ! 何しょげてんだ、お前ッ!」
友之「だって……」
中原「だーッ! やめろその陰気な面はッ! 悪かったよ、八つ当たりだ。いいから、もう行くぞ」
友之「あっ…正兄、おみくじ木に縛らないと…」
中原「…やるから。だからその縋るような目はやめろ。…ったく、どっちが凶運引いたんだか分かりゃしねえ…」



【荒城修司編】

デパートの屋上にて。
修司「あ〜正月早々トモとデートできて嬉しいな〜。裕子の奴に脅されて頼まれた福袋も無事ゲットしたし」
友之「修兄、ここからの風、すごく気持ちいい…」
修司「んー? お、そうだな。俺もこういう…ちょっと冷たいくらいの風が好きだな」
友之「………」
修司「ふ…。何、トモ君その心配そうな顔は〜? 修兄ちゃんがまた風に乗ってどっか行っちゃいそうだって心配したか?」
友之「うん…」
修司「うわ〜…ホントだったんだ? トモにそんな可愛い顔で言われたら…」
友之「しゅ、修兄、人…っ」
修司「ん〜? 何、トモ。修兄ちゃんに抱きつかれるのイヤ?」
友之「い、嫌じゃないよっ。でも…皆、見てる…」
修司「皆可愛いトモに見惚れてるんじゃん。いいから、気にしなくていいから修兄ちゃんに抱かれておいで」



【香坂数馬編】

グラウンドにて。
数馬「トモ君トモ君。これ、君にプレゼント。知り合いの玩具職人に作ってもらった特注品」
友之「コマ…?」
数馬「ただのコマじゃないよ。君みたいなドン臭い人にでも、一発で回せちゃう魔法のコマ!」
友之「魔法の?」
数馬「そうだよー。どうせ君って人はこういうお正月の遊びとかもした事ないんでしょ?」
友之「うん…」
数馬「ならボクが今までの分、君にたくさん遊ばせてあげるよ。ほら、こうやって紐巻いて…こうやって回すの!」
友之「あ…すごい…。数馬、上手い…」
数馬「当たり前でしょ? ボクは何だって出来るんだからね。じゃあ次はトモ君の番!」
友之「うん。できるかな…」
数馬「できるまでずっと付き合っててあげるよ。ボク、君に関してはかなり辛抱強い人だから」



【北川光一郎編】

自宅のアパートにて。
光一郎「友之、せっかくの休みなんだし、どっか行くか?」
友之「何処かって…?」
光一郎「別に、何処へでも。お前の行きたい所、かな」
友之「………」
光一郎「は…何だ、どうした? そんな神妙な顔して」
友之「コウ、何処か行きたい…?」
光一郎「ん……」
友之「できたら…今日、は…家にいたい…」
光一郎「……別にいいよ。お前がそう言うなら」
友之「あ…でも、コウが外行きたいなら…っ」
光一郎「バカ、何遠慮してんだよ。俺も同じ…お前とここにいる方が落ち着くさ」



おまけ…
【椎名澄人編】

コンビニの入口にて。
椎名「ト、トモ!? トモじゃないか! いや〜俺たちってここでよく会うよな! あけおめッ! ことよろッ!」
友之「………っ」
椎名「今日はどうした? コウは? もしかして1人!?」
友之「あ………」
椎名「お、そうだ! どうせならこれからどっかメシでも食いに行くか? 俺が奢ってやっから! な!?」
友之「あ、あの……」
椎名「いいからいいから! ここで会ったのも何かの縁! くう〜俺って年初めからついてる〜!」
友之「コウ…家で待って…」
椎名「え、何? ああ、何だやっぱそうか。じゃあ家まで送るか! 正月は強引なナンパ野郎とかがウロウロしてっから! な!」
友之「で…でも…中に正兄が……」
椎名「げっ! ま、正人と一緒!? あ、あははは…そ、それじゃ、またなトモ! 今度は1人の時に…な!」(逃)





この中に1人だけいる「強引なナンパ野郎」さんとは誰でしょう。
あいつだろうと思いながら戻る〜。