バレンタインデー、愛ある日常。

【神部裕子編】

自宅アパート前にて。
裕子「トモ君、はいこれ! 私が作ったチョコレート!」
友之「チョコレート…?」
裕子「そうだよ、今日はバレンタインデーでしょ? ふふ、トモ君の為に一週間前から特訓して作った特性チョコクッキー!」
友之「あ、ありが…。裕子さん、ありがとう…」
裕子「うん! さ、開けてみて食べてみてっ。で、感想聞かせて! 昨日徹夜した分、かなりの自信作なんだ」
友之「うん。………う」
裕子「えっ!! ど、どうしたのトモ君!? ま、まさか…マズイ!?」
友之「そっ…そんな事な…。お、おいし……」←意図せず涙目
裕子「きゃートモ君ごめん! 私、何間違えたんだろう!? そ、それは修司にあげて、トモ君にはお店のを買ってあげる!」
友之「しゅ…!? こ、これ…修兄に食べさせるの…?」
裕子「大丈夫、あいつはトモ君と違って毒食べたって死なないから! …って、自分の作った物毒扱いなのも…複雑だけど」(がっくり)



【橋本真貴編】

教室にて。
橋本「北川君! これ、私が作ったチョコレート! 超ゴージャスチョコケーキだよ!」
友之「え…?」
橋本「やだな〜。今日はバレンタインデーでしょ? 女の子が好きな男の子にチョコをあげる日だよ!」
友之「………っ」
橋本「あ、あはは…っ。勢いに任せてあからさまな告白をしてしまった。でも今日はそれが許される日だから…」
友之「………」
橋本「……って。迷惑だった…? 北川君…?」
友之「そ、そんな事ない…。あの、ありがとう…」
橋本「!! で、でへへへへへ…! うんっ。あ〜幸せ。すっごい幸せだなあ…へへへ…」
友之「あの、橋本さん…。これ…?」
橋本「え? あ!! しまった値札が…っ!! あ、あははは〜。お、お菓子作りって…実は苦手で…」



【沢海拡編】

廊下にて。
沢海「あ、友之」
友之「……拡、それ…?」
沢海「あ、これ…? これは、別に何でも…」
友之「……さっき橋本さんが…拡は休み時間毎に渡されるチョコの数が増えてくって…」
沢海「……あいつ、余計な事を……」
友之「拡のこと好きな子、いっぱいいるんだね」
沢海「………別に嬉しくないから」
友之「え…っ。あ、あの…」
沢海「友之が誤解するようなら全部返す。こんなのいらない」
友之「そ、そんなの…っ。駄目、だよ?」
沢海「突っ返したりしたら相手が傷つくから? ……なら友之は俺からの、貰ってくれるよな?」



【中原正人編】

学校帰り。道すがら。
中原「トモじゃねーか。今帰りか? 乗れよ、送ってってやる」
友之「え…でも…」
中原「……いいから乗れ。ノロノロしてんじゃねーよ」
友之「………」(大人しく中原の運転するトラックに乗り込む友之)
中原「ちゃんとシートベルト締めろよ」
友之「うん…。あ、痛…?」
中原「ん…あぁ、それか。座席の荷物は後ろにでも放っておけ」
友之「これ…凄く綺麗な包み…いっぱい。チョコレート?」
中原「ああ。くだらない行事のせいで会社の連中が気を遣ってくんだよ。邪魔くせー…」
友之「…正兄、モテるんだね」
中原「ば…っ!? ……た、たく、バカな事言いやがって。おら、この菓子でも食って黙っとけ」



【荒城修司編】

アパート。キッチンにて。
修司「あ〜うまくできたなぁ、トモ。お前はパティシエの才能があるよ」
友之「修兄の手伝いしただけだよ。……すごく美味しそうだね」
修司「そりゃそうだろー。修司&トモの力作だもんな。コウ兄ちゃんも泣いて喜ぶこと間違いなし!」
友之「……修兄、でもバレンタインって女の子の行事じゃないの?」
修司「んー? はは、トモ、お前古いなあ。そんなのは一昔前の話だ。外国じゃ、男だって好きな相手に花でも指輪でも何でも贈るぜ」
友之「バレンタインデーに?」
修司「ま、14日じゃなくたって何だっていいんだ。ただ、こういう祭りには参加しとかないと損だろ?」
友之「損…なの?」
修司「そうだよ? はい、トモ。それじゃあ、これは修兄ちゃんからの愛の印。あ〜んして?」
友之「あ…んぐ…。……お、おいし……」
修司「ふ…そんな嬉しい事を言うトモの顔こそ美味しそう。…こりゃ、食べない手はないかな?」



【香坂数馬編】

某ファミレスにて。
数馬「トモ君、今日はね。さすがのボクも疲れて死にそうだよ」
友之「し、死にそうって…?」
数馬「ボクの学校、男子校なんだけど。行った早々チョコ攻めだよ。あまりの甘さに眩暈がしたね」
友之「………」
数馬「はいはい、君のその遅い思考回路は毎度の事だね。早い話が男連中からチョコ貰いまくったって事。学校中ついて回られたよ」
友之「…バレンタインデーだから?」
数馬「そ。外は外で知り合いの女の子連中が群がってるしさ。抜けてくるのに時間かかっちゃった」
友之「す…すごいね…。数馬、人気者なんだ…」
数馬「あれ、そんな当たり前の事に今頃気づいたの? それでもボクは君に会いに来てあげた。どう、感謝する気になった?」
友之「う、うん。で、でもチョコ…そういう話と思わなくて、持ってきてないんだ…」
数馬「……あのね。ボクは催促しに来たわけじゃないの。貰うよりあげる方が好きなんだ。これ、チョコじゃないけどプレゼント。感動して泣かないようにね」



【北川光一郎編】

自宅のアパート。玄関先にて。
光一郎「ただいま」
友之「…コウ、これ…!」(ダッシュでお出迎えモード)
光一郎「ん…。ああ、菓子か? へえ、お前が作ったのか? 1人で?」
友之「ううん。修兄と一緒に…」
光一郎「はぁ…? ……ヘンなもん、入ってないだろうな…」
友之「……? あ、あの、こっちが修兄でこっちが…」
光一郎「……形で分かるな。この空々しいハートが修司で、こっちがトモのだろ?」
友之「お、おかしな形になっちゃったんだ…。ちょっと…崩れたし…」
光一郎「……美味いよ。すごいな、トモ。こんなの作れるようになるなんて」
友之「………!」
光一郎「はは…そんな大袈裟に目、輝かすなよ。本当の事言っただけなんだから。じゃあ今夜は俺も…お前に美味いもん作ってやるな」



おまけ…
【椎名澄人編】

駅前にて。
椎名「あ、ト、トモ!! またもや偶然の!! 運命の出会い!!」
友之「あ……」
椎名「今日どうだった? トモは可愛いからチョコたくさん貰っただろう? 強欲な正人あたりに取り上げられたりしてないか?」
友之「そ、そんな事……」
椎名「隠さなくていいって。よし、それじゃその分俺がトモに甘いもん奢ってやるよ。何がいい!?」
友之「え……」
椎名「パフェか餡蜜か? ケーキ屋だって何だって怯まず入れるぞ、俺は! 何つってもトモの為だもんな!」
友之「あ、あの…。でも、もう帰らないといけないから…。代わりに…これ……」
椎名「へ…これ…板チョコか…? く、くれるのか、トモ、俺に!? おおおお、この俺に…ッ!?」
友之「……お菓子作りの材料で…ごめんなさい……」
椎名」「え? あ…ああ、コウにあげる用かな? あ、あははは…う、うん。それでも嬉しいは嬉しいからな…(泣笑)」





……「丘」キャラの中で1番チョコ貰ってそうな人は誰でしょう?
あいつだろうと思いながら戻る〜。