―あとがきという名のつぶやき―



  人間、「ひとりでも歩ける」わけないじゃないかっ!…という、ツッコミをしながら毎回書いていた丘連載。本日無事、終了しました。で、こんなの書いている暇があったら早くアップしたい〜!という気持ちもしつつ、でも連載が終わった後は必ずつけているものなので、やっぱり書きます、あとがきという名のつぶやき。

  丘の3部は何年も前から「書いて欲しい」と1番リクエストを貰っていたものですが、書いてしまうとトモどんどん大きくなっちゃうけど、それっていいの?と自分の中で葛藤があったのも事実です。年をとらせたくないじゃないですか(笑)。
  でもトモって(周りの人もそうですけど)、全然解決してない問題をいっぱい抱えてますよね。1番は夕実との関わり方、それからお父さんのこと。2人の問題が浮上すると、どうしたって光一郎との関係についても悩む事は必定ですし。

  どこの話数で書いたかは忘れましたが(ヲイ)、友之が光一郎との今後を考えるのはとんでもなく恐ろしいって言ってるか思ってるかしている部分があります。
  私は自分で書いておいて何ですが、それを後で読み返した時「そうだったのか友之」と驚きました。
  丘は結構自動書記状態になって、登場人物が勝手に話して勝手に話が進むので、作者である私自身でも「なるほど〜」と思う時があります。多分、というか絶対、丘はこのサイトで成長した作品なので、これまでこの話を読んでこの話を愛して下さった皆さんの色々な意見や感想が苗床になっていて、作者である私以外のところから登場人物たちに新たな肉付けがされていると感じます。だから時に私の手を離れて、数馬が勝手な事をして話が逸れたり、修司が予想以上に手強くなって私をイラつかせたりするわけです(笑)。

  でもそれもこれも、全部が大切な私の宝物です。こんなに大きなお話になるなんて、 1部を書いていた時には予想もしていませんでした。全て丘を好きで読んで下さる皆様のお陰です。

  因みに今回の3部では、1部の頃からいつか書きたいと思っていたシーンがありました。結果的にそれを書く機会はありませんでしたが、似たような部分はつけられた。
  それは修司が独りで暗闇の中に立っていて、友之がその姿に「自殺するんじゃないか」と心配して飛びつく場面です。
  昔は本当に修司が死ぬ気でどっかの崖に立っちゃうところが書きたかった。
  でも奴はそこまで思いつめてはいないし、大体全体的に見たら何て恵まれた男なんでしょう、トモにもコウ君にも愛されて、好きな時に好きな所行ってるんですよ。何だこいつって感じです(笑)。
  それでも今回の核は修司です。彼をもっと書きたかったからこそ始めた連載でした。幸せだけど、切ない男ですから。

  その分、もう1人のお兄ちゃんである正人や、すっかり影の薄くなった裕子お姉さん、それに数馬も光次も出番的には物足りないと感じられた方もいらっしゃるかと思います。人の多過ぎる丘シリーズですから、そこのところはご容赦下さい。けれど代わりとでも言いましょうか、沢海君は大活躍だったと勝手に思っているのですが、どうでしょう(笑)。

  今後はまた短編で友之たちをちらほらと書いていくと思います。これからもトモは悩んだり立ち止まったりするのですが、もしそんなうじうじ受け子でも応援して下さるという場合は、今後ともどうぞ見守ってやって下さい。

  約9ヶ月という長い間、優しく更新を待って下さった皆様、本当にどうもありがとうございました。



2009年10月25日 上総 実 拝