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「今日はお前の好きなもの何でも買ってやる」
「え?」
  驚く友之の方は見ず、光一郎はゆっくりと歩きながら頷いた。
「たまにはな」
「……何でも?」
「何でも」
「………」
「何が欲しい?」
  言われて友之は妙に落ち着かなくなり、慌ててきょろきょろと通りの屋台を見回した。境内の奥にあるという目的の神輿までまだ十分な距離がある。そこに至るまでの道のりには一体どれだけの夜店が並んでいるのか。そんな中から「何でも好きなものを」と言われても、優柔不断な友之はただただ困ってしまう。
  ちなみにこういった場合、友之の中で「全部欲しい」とか「あれとあれを買って」といった考えは及ばない。友之にとって「何でも好きなもの」というのは、その中で「どれか1つだけ」好きなものを…という事になるからだ。夕実がいなくなり光一郎と共に暮らすようになってから、友之は周囲の人々から実に多くのものを与えられてきた。…が、元はそういった事に全く耐性のない身である。友之にしてみれば他人から何かを多く貰うという事は、誇張した言い方をすればそれだけ己の罪悪が増えるという事なのであった。
  だから普段、光一郎が友之の日常生活においてある程度厳しい「規制」を課してくる事は、却って友之の精神を安定させる事に繋がっていた。一般家庭であれば兄から学校の成績や宿題の進み具合をいちいち問われれば煩いとしか思わないだろう。早く寝ろ、部屋を散らかすな、無駄遣いするな…そういった本来ならば親がするような「お小言」も、友之にはむしろ必要な事なのである。
  そういった事に関して光一郎自身がどう考えているのかは別として。
「おい坊主! これどうだ?」
  その時、ぐるぐると悩んでいた友之の肩を野太い声の主がとんと叩いてきた。
「…っ!」
  突然の事に友之が驚いて飛び退ると、そこには声からはまるで想像できないひょろりとした風体の中年男性がにこにことして自分の売り物を指し示していた。
「こういう時にしか食えないぞぉ。おいさんとこのは、またとびきり美味いしな!」
「ああ…。トモ、お前好きだろ? 食えよ」
  光一郎が背後から言うのを友之は不思議そうに眉を寄せた。
「何?」
「綿飴」
「坊主にはとびきりでかいのを作ってやるなぁ!」
  何やら陽気なそのひょろおじさんは強引にそう言うと、もう透明の器に長い棒を差し入れてぐるぐると器用に白い綿を包ませ始めた。友之があたふたとしていると光一郎が可笑しそうに肩を叩いた。
「何、挙動不審になってんだよ」
「だって…これ何?」
「え?」
  友之の台詞に光一郎は僅か目を見開いた。
「お前、綿飴食べた事ないのか」
「うん」
「………」
「さっきのラムネも初めて飲んだ」
「………」
  友之の他意のない返答に光一郎は一瞬気まずい顔をしたが、嬉々として「大傑作だ!」と悦に浸るひょろおじさんにはすぐに礼を言って金を渡した。
「お兄さんはいらないかい?」
「俺はいいです」
  そして光一郎はあっさりそう断ると友之にだけ出来上がったそれを渡し、またすたすたと歩き始めた。声は先ほどと何ら変化はないが、その様子はまるでそこから逃げ出すような、妙に急いだものだった。
  友之は訳が分からず、焦ってそんな光一郎の後を追った。
「コウはいらないの?」
「ああ…」
「何で」
「あまり好きじゃない」
「………」
  ラムネの時もそう言っていた。
「……コウ」
  心の中の「引っかかり」を再び思い出してしまい、友之の足は自然に止まった。大体、こんなにたくさんの店があるのに光一郎は自分の物は何も買おうとしない。興味を持って足を止める様子もない。
  ラムネも綿飴も苦手だというのなら、光一郎の好きな物とは一体何なのだろう。
「トモ」
  すると、すっかり沈んでしまった友之に光一郎がぴたりと足を止めて振り返ってきた。そうしてまたすぐに傍へ戻ってくると、困惑したように目を伏せた。
「悪い」
「え…」
「……また歩くの早かったな」
「……ううん」
  どう言って良いか分からず友之が沈黙すると、光一郎は暫し考え込んだ後口調を変えた。
「どうだ。綿飴、美味いか?」
「あ…」
「何だよ。早く食べてみろって」
「うん…っ」
  言われて友之は慌ててそれを口にした。
「ん…」
  ふわふわの綿を口いっぱい含むようにして食むと、途端じゅわっとした甘い汁が口内に広がった。大好きな味だと瞬時感じて、友之は現金な事にそれだけで自然笑顔になった。そして光一郎がそれにほっとしたような様子を見せると、友之はもう反射的にそれを差し出していた。
「コウも一口食べて!」
「俺?」
「うん! ……あっ」
  あまり好きではないと言っている光一郎に何を言ってしまったのか。
  しまったと思いつつも、友之はぼそぼそと言い訳にもならない言い訳を口にした。
「お…美味しいと、思ったから…」
「サンキュ」
「え…」
  けれど光一郎はあっさりそう言うと友之の手首を掴んで顔を寄せ、すぐにそれを一口口に入れた。友之はただぽかんとしてそれを見守っているだけだったが、光一郎によって掴まれた手首にはしっかりとじんとした熱さが伝わった。
「…凄い甘さだな」
「ご、ごめ…」
「何で謝るんだよ。……美味いよ」
「え」
「お前にそんな顔されて勧められたら、な」
「……?」
  光一郎はやはりどこか苦く笑っていたが、友之はその意が掴めないまでもほっと胸を撫で下ろした。何となく気まずかった空気がそれだけで払拭されたような気がした。良かったという風に安心して笑ってみせると、光一郎もそんな友之に優しく笑んで、「じゃあ今度は何にする」と訊いてきた。
  それで友之はまた焦った風に店を見回した。





  普段は大人しい北川兄弟が屋台の「はしご」をしたなどと言ったら、きっと彼らを知る大勢は皆ひどく驚く事だろう。
  しかしその夜2人はまさに「店から店へ」と、神社の敷地内にあるほぼ全ての夜店を何らかの形で覗き見た。ラムネ、綿飴と続いたその後、何故か歩を進めていく毎に友之は屋台のおじさんやおばさん、お兄さんお姉さんやらに声を掛けられまくり、サービスされまくり、「寄ってって」の総攻撃を受けたのだ。
「その浴衣が反則だったかもな」
  光一郎が友之に聞こえるか聞こえないかくらいの声でぽつりと呟いていたが、友之にはそれの意味はよく分からなかった。ただ裕子と裕子の母親が自分の為に奮発してくれたこの浴衣が何か物凄い力を発揮しているのだろうなという事だけおぼろげに理解した。
  裕子お勧めのたこ焼きにりんご飴、焼きもろこし、チョコバナナ。
  くじ引きでは全外れだったのに「坊主には特別賞だ」とかいう訳の分からない理由で小さな犬のぬいぐるみも貰ったし、ヨーヨーもいらないというのに大柄のスキンヘッドのおじさんが大きい方のまで持っていけとしつこく迫った(これは光一郎が丁重に断ったが)。
  神社裏の駐車場には特設舞台と神輿が置かれていて、神輿はちょうど再び町内を一周しに行くところだった。同時に舞台上ではハッピを着た子どもたちが笛と太鼓を始めていて、周囲では何故か獅子舞がその音に合わせて踊っていた。
  友之は楽しくて嬉しくて、まるで全部が自分が作り上げた都合の良い幻のようだと思った。隣には光一郎がいて、今はもう最初に見たような憂鬱そうな面影もない。自分と同じように楽しそうにして傍で笑ってくれている。凄く優しい。また光一郎だけではない、周りの人たちもみんなが優しかった。
  こんな世界が自分たちの住むすぐ近くにあったなんて。
  夕実は自分を置いてこれらを見に行った時、どんな想いでこの明りを見つめ、太鼓の音を聞いたのだろう。この溢れる光にその身を照らしていたのだろう。
  眩い祭りの風景に身を置きながら、友之はふとそんな事も思った。





「俺な、実は祭りってあまりいいイメージないんだ」
  帰りの道すがら、少し花火を見ていこうと2人は河川敷の堤防に腰を下ろした。
  その時、光一郎が唐突にそう言った。
「今日ごめんな。最初の方」
「ううん」
  光一郎の申し訳なさそうな言い様に友之は慌ててかぶりを振った。自分だってあからさま浮かない顔を見せてしまった…。悪いのはむしろ自分だと思った。
  2人の頭上では既に花火が始まっている。
  ドンドンと空に舞い上がる光の花に目をやりながら、光一郎は友之に言うでもなく再び口を開いた。
「こういう規模のでかい祭りだと余計。わざわざ電車乗って違う町の奴らも来るし、誰彼やたらとはしゃいでる。……そういうのが鬱陶しかったんだな」
「………」
  光一郎が騒がしい事があまり好きではないとは友之もよく知るところだ。けれど普段から何に対しても毒を吐くような人ではないので、たったそれだけの台詞にも友之はどきりとして自然顔を強張らせた。

  自分は今日こうして光一郎と出かけられる事が嬉しくて、浴衣も早くから着ようとしたり、ずっと落ち着かなくて随分とはしゃいでしまった。
  やはり光一郎は鬱陶しいと思っただろうか。

「なあ」
  そんな友之の心配をよそに光一郎は淡々と続けた。
「普通の家族と違って俺たちにはこういうのが《災い》だっただろ。余計なイベントなんかなきゃいいのにっていつも思ってたよ。そうすれば夕実も余計なヒステリーは起こさなくて済むし、お母さんは泣かなくて済むし、お前は…」
「僕…?」
「怯えなくて済むだろ」
「………」
「季節が変わる度に何かあるよな。祭りだクリスマスだ正月だって。全部なくしちまえって思ってた」
「……あまり」
「ん」
「そういうの…分からなかった」
「だろうな」

  お前らとは関わりあいになろうとしなかった俺だから。

  光一郎は軽くそう言い放つと、横でひたすらじっとした目を向けていた友之にここで初めての視線を寄越した。花火が上がる度に周囲からは歓声と感嘆の声が聞こえ、同時に夜の空がぽうっと一瞬明るくなる。
  その度、横にいる光一郎の顔にも陰影ができた。端整なそれが鮮やかに己の視界に飛び込んできて、友之は思わず胸がぎゅっと痛くなった。友之自身、その痛みが何なのかははっきりしなかったが、光一郎を綺麗だと想い、好きだと想い、そして一方で過去自分たちと距離を置いてあの家にいた光一郎の姿が映し出されて酷く切ない気持ちがした。
「コウ…」
「ん」
  だから訊きたかった。訊かずにいたいという気持ちもあったのに、言わずにはおれなかった。
「あの頃…僕のこと嫌いだった?」
「そんなわけないだろ」
「………」
  その答えは思いのほか早くに返ってきたが、友之は思わずすっと眉をひそめて黙りこくった。光一郎の言葉を嘘だとは思わなかったが、「本当」だとも思えなかった。そう感じた自分を嫌な奴だと罵りながらも、そう思った事を取り消せなかった。
「そんな顔するなよ」
  すると光一郎は訳知り顔で小さく笑い、友之の髪をぐしゃりと撫ぜた。
「前にも言っただろう。嫌われてると思っていたのは俺の方だって」
「………」
「……何だかな。お前、本当に可愛いな」
  そして光一郎は不意に何を思ったのか、唐突にそんな事を口にした。友之が驚いて顔を上げると、それに光一郎はほっとしたように目元を和らげ手を放した。
「実際この頃は周りからもよく言われてるもんな。裕子や修司なんかには前からだけど、チームの人たちとか俺の大学の奴らにまでさ。は…あいつらなんて凄く煩いんだぞ。お前のこと可愛い可愛いって…大合唱だ」
「か…可愛くない…」
「ああ。昔は本当に可愛くなかった」
  友之の否定を光一郎は過去限定として頷いた。
「俺はお前が何を考えているのか分からないのがむかついてしょうがなかったんだ。お前はいつも黙って俺を見てる…、けど、俺が話しかけてもロクな返事もしないで夕実の所へ行っちまう。こいつ、俺のこと相当むかついてるんだなって思ったら勝手にどんどんイラついて……俺はお前の傍にいるのが苦しかった」
「………」
「トモ。これは昔の話なんだからな? しかもお前を嫌ってたってのとは違う」
「うん…」
「だから。そんな風に落ち込むなって」
  光一郎は苦笑しながら再び友之の髪をぐしゃりと掻き混ぜた。何度も撫でられて、それがまるきり子どもに向けてやるそれで。本当は逆らいたかったが、一方でその手を払うのはやはり嫌だとも思った。光一郎が自分をどう思おうともう離れるのは嫌だ…。友之の中ではいつでもその想いが一番だった。母が死に、姉に捨てられ、父にも見捨てられ。独り暗い部屋に閉じこもっていたその時に光一郎が「俺の所へ来い」と言ってくれたあの日の事が忘れられない。子どもの頃、泣いていた自分の手を引いて水源地から一緒に帰ってくれたあの日の光一郎とそれは全く同じだった。夕実がいた頃はただひたすら夕実だけを見つめていたけれど、友之は本当はいつも何処かで光一郎のあの手が再び差し伸べられるのを待っていたのだ。
「結局…昔のバカな自分を思い出したくないから、俺はこういうのが苦手なんだろうな」
  物思いに耽る友之に光一郎がそう言った。
「俺はお前を見習わなきゃな」
「え…」
  言われた事に驚いて友之がぽっと声を漏らすと、その優しい言葉は更にゆっくり投げ掛けられた。
「見習いたいって言ってるんだよ。どんどん変わっていく…外に出たがって色んなものに興味持って。誰とでも話そうとしているお前をな」
「………」
「それに、俺はそういうお前を見てると嬉しくなる」
「嬉しい?」
「ああ」
「……じゃあ…もっと頑張る」
「だから可愛いって言ってるんだ」
  友之の素直過ぎる返答に光一郎は思わず噴き出してから、それを誤魔化すように再び夜空へ視線を向けた。けれども友之としてはそんな光一郎に多少不満めいた気持ちがして、逆らうように言い返した。
「可愛くない」
「可愛いよ」
「可愛くないよ…男だもん」
「そういう頑固なところも可愛い」
  珍しく光一郎もしつこく言い返した。そんな兄の姿に多少翻弄されつつも、友之は何故だかふつふつと湧き上がってきた掴み所のないモヤモヤとした気持ちを抑え切れず、殆ど無意識のうちにその名を口にした。
「夕実……って、今…どうしてる…?」
「………」
  途端、光一郎の顔から笑みが消えた。
  一瞬躊躇したが、それでも友之は早い口調で続けた。
「コウ兄には連絡取ってるよね」
「……何で突然そんな事訊く」
「………」
「トモ?」
「うん…」
  友之は一度大きく息を吸った後、再び思い切ったように答えた。
「さっきコウ、僕のこと誰とでも話そうとしてるって言ったけど…。夕実とは…まだ話せないから」
「いい。別に無理しなくても」
「ううん」
  慌てて首を横に振り、友之は違うというように必死な目を向けた。
「いつか…。夕実とも普通に話せるように、な……なる、かな」
「………」
「そしたら…きっと、コウも僕も、本当にお祭りもクリスマスも…みんな、好きになれるよね」
  それは本当にそう思った。
  夕実を恨んではいない。絶対に嫌いにもなれない。けれども、会うのはまだ怖い。友之にとって姉の夕実は絶対的な存在であり、未だ自分の身体も心も全部を縛れてしまう人だ。
  けれどもそういった畏怖があったとしても、それ以前に夕実は自分と光一郎の家族であり、そして愛すべき人なのだ。だからこのままではいけないと思うし、自分はもっと強くならなくてはいけないと思う。

  もっともっと強くなりたい。

「……友之」
  その想いを口にしたわけではないけれど、友之がそう心に念じていた時、暫し沈黙していた光一郎が呼んだ。それは酷く低く掠れたような声だったのだけれど、隣に座る友之には十ニ分に聞こえた。
「俺はお前に敵わない」
「……コウ?」
「今すぐ抱きたい」
「!」
  ふっと発せられたその言葉に友之は文字通り絶句した。
「理性なんかなけりゃな」
  けれどそんな友之に対し言った光一郎の方は何でも事のように軽く笑っていた。そうして暗がりの中とはいえ周囲に人がいる事にも構わず、光一郎は友之の手をぎゅっと握ると、そのまま近づき唇に触れるだけのキスをした。
「……っ」
  友之の顔はそれでたちまち真っ赤になった。
「何でこれくらいで赤くなるんだよ」
「だ…っ」
「もう一度するか?」
「し、しない…!」
  慌てて声を大にして首を振ると、光一郎はそれだけでまた楽しそうに声を立てて笑った。友之はそんな兄にただただ面食らって、じりと身体を仰け反らせながら呟いた。
「コウ…? 何か…変…」
「ん…そうか。まあ…ちょっとテンション高いかもな」
  話し振りや表情はいつもとまるで変わらないのに光一郎はそう言ってまた笑った。友之はそれを心底不思議そうにじいっと見上げた後、じわじわとこみ上げてくるものを誤魔化すように、ここでようやく自分も掴まれた手を握り返した。
「あの…」
「ん?」
  そして、友之は。
「帰ったら…もっと…」
「は?」

  もっといっぱいキスして欲しい。

「……っ」
  そう言いたいのにそこまではどうしても言えず、困った友之はただぎゅうぎゅうと光一郎の手を握り続けた。光一郎が「どうした」と訊いてくるので余計に焦ってしまったのだが、友之は下を向いたまま何とか別の言葉でその気持ちを訴えようと口を開いた。
「…っ…。コウ…」
「ん?」
「……す……好き……」
「………」
「あの…コウ…」
「……友之」
  ふっと嘆息したような声が聞こえたと思ったと同時、光一郎はおもむろに友之を立たせると「帰ろう」と言った。
「え?」
「花火は終わり。俺は見た。お前は?」
「ぼ、僕…まだ…」
「じゃあ、歩きながら見ろ」
「えっ」
  驚く友之に光一郎は問答無用で更に強く手を引くと、行くぞと言って歩き始めた。友之はそんな光一郎を慌てたように見上げながら、それでも必死に後をついて歩いた。多少は痛いと思ったけれど、光一郎が手を引いてくれている、その事実だけがこの時友之の心をどうしようもない程の嬉しさで満たしていた。
  からころと桐下駄の音が心地良い。
  光一郎に握られている手が気恥ずかしくもやっぱり嬉しい。
「あ……」
  ドンドンと不意に上がった花火を後ろ手に見やる。綺麗だった。それを綺麗だと思える自分が嬉しかったし、また誇らしくもあった。
  そして友之はこんな素敵な祭りならもっとたくさんやればいいのにと…そう、心の内だけでそっと思った。








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で、2人は結局写真を撮る事なんてすっぱり忘れてます。