あとがき…


  私の子供の頃の思い出の場所と言ったら、家の近くの小さな森と、やはりこの物語に出てくるような「水源地」でした。「憩いの○○」というような名前がついていたように思いますが、幼少時よりあまり両親と一緒にいなかった私は、自分を預かってくれていたおばさんと、たまにここへお弁当を持って散歩をするのが大好きでした。
  でも中学・高校になると、一人でも行ける距離にあるそこへも行かなくなり、人づてに、川遊びができたあそこも今では埋め立てられたり、和みの散歩コースも削られたりしている…と聞くだけになってしまいました。その後、引越しもしましたし、今はどうなっているやら…です。

  だからかもしれませんが、時々旅行などで緑のハイキングコースなどへ入ると、とても懐かしい気持ちになります。そこへは初めてきたはずなのに、どことなく以前も来たような感覚を覚える。すごく不思議で、何かこう、ぎゅっとくるような気分です(意味不明)。

  このお話の登場人物である友之や夕実姉さんは、自分たちの過去があまりにも重いせいで(ごめん…汗)、遊び場であったいわゆる「思い出の場所」に、そういった懐かしいような、ぎゅっとする感覚は、もしかするとそれほど抱かないかもしれません…。ですがそれでも、ふっと「帰りたい」という気持ちにはなると思うのです。でも、結局その帰りたい場所、その人にとっての「居場所」というのは、土地とかその場所そのものではなくて、結局はその思いを共有できる「人」なのではないかと思います。

  初めてこの話を書いた時は、家族だけど言いたいことを何でも言えるわけじゃないし、わだかまりも持っていて当たり前。それが他人に対してだったらもっと大変…というような趣旨があったような気がするのですが、いかんせん、ボーイズラブ系の話に転換していったら、テーマは「友をおとすのは誰だ!?」になってしまい…(笑)、重い話のはずが、途中からめちゃくちゃ楽しくなってしまいました(鬼)。読んで下さった皆さんが、少しでも昔の事を思い出して懐かしい気持ちになれたり、モテモテ友君にときめいて下さっていたら、これほど嬉しいことはないです。
  長い連載でしたが、最後まで読んで下さった皆さん、どうもありがとうございました。


                      
2001.10.6 上総 実



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