第1話「おいでよばさらの森」



政宗「ふー、やっと着いたな」
小十郎「道が思った以上に悪くて車も大分揺れてしまって。政宗様、お疲れではありませんか」
政宗「あー、何て事ねェよ。それより、ここがお前の親戚の家か! 結構デカイじゃねえか」
小十郎「政宗様が逗留されるのですから、それに併せて増築させました。それにしても出迎えもないとは、一体…? あ!」
片倉「おお政宗様。お久しぶりでございます」(畑仕事ルックで登場)
政宗「………俺、レッサーパンダと知り合いだったっけか」
片倉「ははは! 無論、政宗様の事は幼少の頃よりよく存じ上げております。…しかし、ご立派になられた」
政宗「そうか? サンキュー、お前がこっちの小十郎と知り合いの片倉小十郎か! どうぶつの森ってな、最初聞いた時はびびったが。まあ、何つーか、変わった国だな。けど、面白そうだし、暫く厄介になるぜ!」
片倉「ここは空気も飯も美味い所ですぞ。存分にお寛ぎ下さい」
小十郎「さあ、こんな門前で立ち話も何ですから。早く中に入りましょう?」
政宗「ああ、そうだな。……けどなあ」
小十郎「? どうかされましたか、政宗様」
政宗「いや。どうもこうも。この森って、いつもこうなのか?」



幸村「佐助佐助ッ! あの者が噂の新住民、人間らしいぞッ。人間だ、人間ッ!」
佐助「そんなに何回も言わなくても見れば分かるって。フーン、結構オトコマエじゃない?」
幸村「人間は恐ろしい魔術を使うと言うが本当だろうか?」
いつき「訊いてみればいいだよ。幸村さ、訊いてみてけろ」
幸村「そ、某がかッ!? いやしかし……何かあっては……」
佐助「平気でしょ。片倉さんの知り合いみたいだし? 何ならかすが、一緒に挨拶に行く?」
かすが「な、何故私に振る…っ。私は、新しい人間が謙信様にとって害なす者でないか偵察に…!」
蘭丸「どうでもいいけど、新顔のくせに俺らに挨拶もなしかよー? 土産の一つも欲しいトコだよな!」
慶次「うーん、どうせなら女の子が引っ越してくれば良かったのになあ」



政宗「……思いっきり、色々聞こえてくるんだがな」
片倉「ははは! 皆、田舎者ですから。政宗様のような方が来るなど滅多にない事ですから、気になって仕方がないのです。ご容赦を。……コラお前等!」

覗き見していたどうぶつ達「びくうっ!!」

片倉「政宗様はお疲れなんだ。近いうち挨拶はして頂けるから、とりあえず散れっ!」
慶次「なあなあ、何で政宗サマ、なんて言うんだ? それ、そいつのあだ名かい?」
政宗「いーや、別に。俺の事は政宗でいいぜ? アンタは?」
慶次「俺!? 俺は、セントバーナードの前田慶次だッ! んで、こっちは――」
幸村「小熊の真田幸村でござるー!」
いつき「オラはうさぎのいつきだべ!」
佐助「俺サマ、猿の猿飛佐助」
蘭丸「りすの蘭丸だぞ!」
かすが「………ふん。白豹のかすがだ」
佐助「ホントは斑あるのに、白粉で誤魔化してるんだよね」
かすが「う、煩いッ!」
政宗「あー、OKOK! お前ら全員覚えたぜ。これから暫くの間よろしくな」
小十郎(政宗様…このようなどうぶつの森にすぐ順応されて…さすがでございます…ほろり)



幸村「な、何だか良さそうな御仁でござるな、佐助?」
佐助「んー、まだよく分かんないけどね」
いつき「けど、面白そうだべよ!」
慶次「でもやっぱ女の子が良かったよー」
蘭丸「いつ土産貰えるんだ?」
かすが「謙信様に報告せねば…!」



政宗「やれやれ。何つーか。やっぱ凄ェ所に来ちまったかもな」



――こうして政宗の「おいでよばさらの森」は幕を開いたのであった。




つづく



戻る