第13話「初戦の相手」
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とんでもなく久しぶりな更新で、本当にやるのかバサラ武闘会。 本当にやるのです。 幸村「政宗殿! 今日は遂に武闘大会初日でござるよ! 体調の方は万全でござるか!?」 政宗「無駄に休ませてもらったんで体力は有り余ってんだが……逆にやる気レスって感じだな」 幸村「は?」 政宗「何でもない、こっちの話だ。……しかし、ど田舎な村だと思ってたんだが……」 政宗は幸村から目を逸らし、呆れたように周囲の「お祭り騒ぎ」へ視線を移した。 のどかでのんびりした雰囲気(?)のばさら村が、今日は打って変わって騒々しい空気に満ち溢れている。 恐らく闘技場があるのだろう、森の奥に至る手前の入口には、一体いつ作られたのか大仰な木の門に盛大なアーチがあり、看板には「おいでよばさらの森!武闘大会!!」と書かれていた。 政宗「次から次へと怪しげな動物どもがやってきているが…。こいつら皆、出場選手か?」 幸村「違いますな。あれらは観客でしょう。闘技場の周りには楽しい出店もたくさん立ち並びますし。そうそう、美味い団子屋もオープン予定で…」 佐助「旦那はそっちも楽しみなんだよね〜♪」 幸村「さ、佐助! いつの間に! もう会場へ行ったと思っていたぞ!?」 佐助「あ〜ごめんね〜。折角独眼竜の旦那と2人きりだったのに邪魔してさぁ」 幸村「な、何を佐助…っ。某は別に…【焦】!」 政宗「そういや、小十郎達知らないか? 手続きがどうのって先に行ったんだが」←幸村の焦りに無頓着 佐助「うーん、手続きっていうより、偵察? 登録は事前申請だからもう済んでるしねえ」 政宗「偵察ぅ〜? 何だそりゃ」 半兵衛「ふん、君が伊達政宗か。こうして間近で見るのは初めてだね」 政宗「ん…?」 幸村「あ!」 半兵衛「お噂はかねがね。随分力のある武人だと聞いているけれど、今の今までずっと屋敷に篭もりきりだったそうじゃないか。でも、さすがにこの大会だけは無視する事が出来なかったってところかな」 政宗「おい、佐助。こいつ誰だっけ」 半兵衛「………」←ピクリと怒筋を浮かべる半兵衛。 佐助「前に教えた事あったでショ。豊臣秀吉の家臣、竹中半兵衛! この森での支配を目論んでいる物騒な輩だよ」←コソコソと耳打ち 政宗「あぁ! そうだそうだ。それで他にも色々な勢力があるんだったよな?」 佐助「そうそう……って、あれ? 旦那?」 幸村「た、竹中半兵衛!」 佐助「旦那!?」 半兵衛「………」 幸村「貴公、先日も前田殿を意味もなく苛めたであろう! 前田殿が落ち込んでいたぞ!」 政宗「あん…?」 佐助「あちゃ……」 半兵衛「フン、何の事だい。全く心当たりがないね」 幸村「し、白を切ろうとしても無駄だ! 貴公は何かと言うと、豊臣殿と前田殿との仲を裂こうとするが、一体どのような恨みがあると言うのだ! 武人としてあるまじき行為だぞ!」 政宗「……何か複雑な人間…じゃなかった、動物関係があるらしいな」 佐助「まあね。引きこもってた独眼竜の旦那には分からない、色々なしがらみが結構あるのよ。この森にはサ」 政宗「ふうん。……ん?」 秀吉「………フン」←政宗を一瞥し、のっしのっしと去っていく 政宗「……とりあえず俺は、そのしがらみとは一切関係ねーはずなのに、何であんなむかつく眼で睨まれなくちゃならねーんだ?」(ぶすっ) 佐助「独眼竜の旦那に思い当たる事がなくても、向こうにはあるって事でしょ。ほら、現に…」 元親「うおおおい、政宗! 今日こそ、この公の場できっちりとどっちが元就にふさわしい男か、決めようじゃねえかあ! 俺は全力でいくぜえ!!」(ゴウッ)←燃えている 家康「コラーッ! 伊達政宗ッ! わしらの誘いを蹴った恨み、今日ここで晴らしてやるぞお!!」 ホンダム「………」←キラン!と目を光らせている 明智「くっくっく……美味しそうな獲物がたくさんいますよ……。くっくっく」 蘭丸「あ、伊達政宗! 信長様より目立つむかつく奴! この俺がぎったぎたにしてやるぜ!」 ザビー「同ジク、何ダカムカツクカラ、ザビーの愛デ改心サセテアゲルネー!!」 政宗「……おい。約1名、これまで1回も登場してねえのに、理不尽に俺に精神攻撃喰らわしてきた奴がいるぞ」 佐助「だから言ったっしょ? 旦那はこの森注目のルーキーですから。ライバルは真田の旦那だけじゃないって事」 政宗「……ますます面倒になってきたぞ……。ん、ようやく闘技場前に着いたか。へえ…割と立派な舞台じゃねえか。円形のスタジアムとは、洒落てるな」 佐助「お金掛けてるからね、この大会には。あ! 人間の方の小十郎さんだ! おーい、こっちこっち!」 政宗「ん? そういや幸村の姿が見えねーが……」 小十郎「政宗様、こちらでしたか。良かった、このまま大会が始まるまでお姿を見つけられないかと思いました。何せこの人…いえ、動物の入りですからね」 政宗「ああ、いつの間にか幸村ともはぐれちまった。あいつ、平気か? 何か竹中って奴に喧嘩売ってたが」 佐助「俺サマ探してくるよ。ま、向こうは相手にしないと思うけどね。じゃ!」←言った途端風のように消える佐助 政宗「しかし騒々しい所だな。今までどんだけの動物が隠れてたんだ」 小十郎「そうですね。パンダ小十郎が私にも大会に出ろと言った意味が分かりました。皆、この森の住民たちは、この武闘大会に相当な思い入れがあるようです。まあ…何せ、何でも願い事が叶うんですからね」 政宗「フン、くだらねえ」 小十郎「政宗様は何も願い事はないのですか」 政宗「言っただろ、俺は自分の願いは自分で叶える。この大会に出るのは……まあ、幸村が出ろって言うからな」 小十郎「なるほど」 政宗「……何だよ、その笑みは」 小十郎「いえ、別に。それより、これがトーナメント表です」(さっと持っていた紙を政宗に差し出す小十郎) 政宗「ん? そんなもん、あるのか」 小十郎「ええ。事前申請をした時点で、機械的に抽選にかけられて当日発表となるようです。出場希望者は32名。それぞれA〜Dブロックに分かれて、その各ブロックに勝ち残った4名が準決勝、決勝を戦うそうです」 政宗「ふーん。こんな祭り騒ぎになってる割に、出場者は30名弱か。意外に少ねェな」 小十郎「普段は100名下らないそうですけどね」 政宗「ん?」 小十郎「どうやらその原因は、表の森を取り仕切る【武田】を筆頭に、対抗勢力である【上杉】、徐々に頭角を現し始めている【豊臣】、陰の支配者である【織田】勢など、相当の猛者たちがこぞって出場するから、らしいです。他にも【徳川】や【前田】、【北条】、【浅井】、個人参加でも元親殿や元就殿などのエントリーがあって話題を呼びましたし……まあ、普通の者は敬遠したというところでしょう」 政宗「そういやあ、幸村ってその武田のオッサンの弟子、なんだよな?」 小十郎「そうですね。真田殿も文句なく、今大会の優勝候補ですよ」 政宗「そうなのか。あいつ、強いのか…。普段の姿見てると、あんま想像出来ねえけどな」 小十郎「政宗様こそ」 政宗「あん?」 小十郎「あちらの世界とはあまりに違う今のお姿を見ていますと……。ふふ、きっと皆驚くでしょうね」 政宗「フン…。って、それで、トーナメント表だったな。俺は――」 島津「だあぁっはっはっはっ! おまはんが伊達政宗! 独眼竜かッ!!」(どーん) 政宗「…デカイカバがとっくりの酒を水のように飲み干してるぞ(汗)」 小十郎「凄い図ですね」 島津「うい〜…ヒック! オイの名はぁ……島津、義弘ッ! 美味い酒と、強か相手とのガチンコ勝負が何より好きな武人じゃい! 独眼竜の! おまはん、相当な腕っぷしらしいが、どうじゃい、こん調子ば!?」 政宗「ま、まあ…そりゃあ、まあまあ、だがよ。 アンタ……島津? どっかで聞いた名だな…」 島津「ほぅ、オイは覚えがねえが! なら、どっかで会った事があるんかもしれんのう! まあ、細かい事はどうでも良か! 1回戦はオイとの勝負じゃ! 首さ洗っておきんしゃい!」 政宗「あ、思い出した! アンタ前回優勝者の――? ……って…行っちまった…。あのカバジジイ、かなり酔っ払ってたな。足取りもフラフラじゃねえかよ」 小十郎「ええ。この森に帰ってこられた数日前も、相当泥酔していたとか」 政宗「落ち着きのないジイサンだ。けどまあ……ちっとは面白そうだな?」 小十郎「はい。政宗様の腕慣らしには丁度良い相手かと」(しれっと) 政宗「ふ…プレッシャーかけやがって。そういうお前はどいつが相手だ?」 小十郎「あ…ええ…。…それが」 政宗「ん? 何だよ勿体ぶって。お、これを見るとパンダの小十郎はCブロックだな。相手は…げ! あの明智って奴か。運悪ィな、アイツ…」 小十郎「普通は、前回優勝者と対戦する政宗様が1番不運だと思うものですが」 政宗「俺の事はいいんだよ。それでお前の名前はどこだ!? 俺はAブロックで……ああ、幸村はDブロックなんだな。これじゃ、決勝までは当たらないな。……ん!?」 小十郎「……気づかれました?」 政宗「………気づいた」 小十郎「まあ、仕方がありません。私も大概、ついておりませんね(苦笑)」 政宗「……どうだろうな。ついてねえのは、アイツの方かもしれねえぜ?」 小十郎「ともかく私は己の力の全てでお相手させて頂くだけです。政宗様と対峙したいと仰るからには、この私に手間取るはずもないでしょうから」 政宗「そうだな……おい、小十郎。本気でやれよ?」 小十郎「御意」
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つづく |