第16話「またもやそんな結末」
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ばさらの森武闘会。Cブロックの第一戦が始まろうという頃。 政宗は依然として試合観戦もどこ吹く風で、何故か泣きながら去って行った小熊幸村の探索を続けていた。 政宗「あー…気のせいか、数ヶ月も幸村を探していたような気がする…(汗)」←あながち間違っていない 浅井「こらぁッ! 列に横入りするとは悪なッ! 削除する!!」 顕如の部下「うぎゃあっ! きゅううぅ……【倒】」 浅井「フン…! 仏門に帰依している身で何と堕落した奴…! ん!?」(政宗の存在に気づく) 政宗(嫌な予感だぜ……)←今さら目を逸らす事も出来ずに溜息を漏らす政宗 浅井「貴様、人間界から来た独眼竜政宗だな?」 政宗「あぁ〜? そういうお前は一体誰だ?」 浅井「フン、私の名が知りたいか? では教えてやろう! 我こそは、このばさらの森に新たな正義と秩序と安定をもたらす者! 浅井長政よ!!」 政宗「ん…?? どっかで聞いたような……しかもカモシカ……」 浅井「フフ…運が悪い事よ。貴様は私と同じAブロック。人間は地球上に生息する動物の中でも最も醜悪な生き物! その存在自体が悪! よってこの浅井長政が正義の名の下に貴様を削除する! 覚悟しておけえッ!!」 政宗「カモシカが人間を狩る? そんな自然界に逆らった事していいのかよ」 浅井「黙れ黙れッ! 肉食の悪しき生き物め! 聞くに違わぬ大口叩きも片腹醜し! ……だが、この場で諍いを起こすのも祭りのムードに泥を塗る。よって、貴様は武舞台の上で成敗してくれる!」 政宗「そうかよ。じゃあその時はよろしくな? (早く幸村探さねえと…)」 浅井「むうッ!? こら、貴様! 私の話を聞いているのか!? こ、こら、何処へ行く! ななな何と礼を失した奴…! おのれ、伊達政宗! 成敗! 成敗だあぁー!!」(政宗が通り過ぎた後も1人でぎゃんぎゃん騒ぐカモシカ浅井) その頃、Cブロックの第一戦。カモシカ浅井の妻・市と対するのは――。 市「前田、慶次……」 慶次「はぁ〜。参ったなあ、抽選とは言え、対戦相手が女の子だなんてさ」(ぽりぽりと頭をかく慶次) 市「油断してるとすぐに終わるよ…? 貴方はただの犬……でも、私は黒獅子……全てを焼き尽くす呪われた獅子の血を継ぐ者……」 慶次「まあまあ、そんな暗い顔しないで! お市ちゃん、何だっていっつもそんな悲壮感漂ってるの? 惚れた男と一緒になれてさぁ、幸せ真っ盛りなはずだろ? もっと明るくいこうぜ、明るく!!」 市「………」 慶次「明る……く、ってのは、やっぱ、なし…? はは……」 市「なしだよ……」 慶次「あ、あのさぁ! お市ちゃんには悪いけど、俺はこんな所で負けるわけにはいかないんだよ。ぶん殴ってやんなきゃなんない奴がいるからさッ!」 市「誰…? 長政様を傷つける動物は市が許さない…!」 慶次「え? あーあー、違う違う! 俺の目当てはお市ちゃんの旦那じゃないって! だからさぁ、こう、何て言うの? お市ちゃん、この試合、棄権? とか…してくれない?」 市「………」 慶次「俺が優勝したら、浅井の家の安泰ってやつ? それは保証するからサッ!」 市「お喋りはここまで……。市、行くよ…?」(ゆらりと長刀を振りかざす市) 慶次「お市ちゃんっ! 俺、女の子と喧嘩はしたくないんだって〜!」 市「じゃあ慶次が負けるといいよ……」 慶次「だから、そういうわけにもいかないんだっ……って、うおっ!?」(市の攻撃を僅差で避ける慶次) 市「すばしっこいね……」(ゆら〜り) 慶次「ひぃッ。何かオーラがドス黒い! 氣に触れただけで呪われそうだっ」 市「長政様と市の邪魔をする者は……みんな死ぬといいの……」(第二陣の攻撃!) 慶次「うわっ【避】! あ、あぶねーっ!! こ、こんな逃げているばかりじゃ拉致があかねえッ。やっぱ戦うしかないのか!」 市「今さら何を言っているの…。ここは戦う為の場所だよ…」 慶次「そうだけどさッ。俺にだってポリシーってもんがあるんだからっ!!」 市「ポリシー…?」 慶次「そっ! 女の子は『何があっても、絶対傷つけない』!! てサ!!」 市「………」 慶次「だからっ! お市ちゃん、何とか棄権を――!?」(市の攻撃を避けるも、突然足先を滑らす慶次) 市「……!?」 慶次「う…う、わあ…ッ!?」 ドッドーン……!! 審判「……ッ!? じょ…場外!! 場外! 前田慶次選手の場外アウト負け! 勝者、黒獅子のお市選手!!」 ワアアアと周りの歓声とどよめきが起こる会場内。 市「……どうして」 慶次「いっちちち……。な…何だぁ…? 何なんだ、一体……?」(何が起きたのか自分でも分かっていない慶次) 会場裏にて。 蘭丸「あははっ。やっぱり前田の人間はバカばっかりだ! 同じ手に2回もかかりやがった! 信長様の妹君と戦おうなんて生意気なんだよッ」(手にした蝋を片手にニヤリとする悪戯坊主) ――舞台裏で暗躍する小悪魔が1匹……。 政宗は未だ会場に現れないまま、次回に続く……!― |
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つづく |