第3話「起きたばっかりなのに…」



政宗「ふわあ。よく寝た」
慶次「おっはよ、政宗」
政宗「……はあ? お前は、また来たのかよ」
慶次「あっ、ひっでーなー。その如何にも迷惑そうな顔! ねえ小十郎さん、何とか言ってよー」
小十郎「政宗様、もうお昼過ぎですよ。あまり昼夜逆転の生活を続けるとお身体に悪いです」
慶次「いや、俺が言って欲しいのはそういう事じゃ……って、もう。いーよーだ」
政宗「何可愛くもねえのに頬膨らませてんだ。小十郎も、俺はここでは好きに生活するって言ったろ。まだこっち来て1週間も経ってねえのに説教するなよ」
小十郎「……はい、分かりました(そっとため息)。それで、昼食はどうされますか?」
政宗「慶次、お前何か食ったのか?」
慶次「うん! 片倉さん特製《野菜たっぷりかた焼きそば》! すっげー美味かったあ」(ぱたぱたとでかい尻尾を振るワンコ慶次)
政宗「んで、その小十郎はもう畑か。働き者だなあオイ」
小十郎「政宗様も行ってみますか? まだこの辺りの地理に詳しくはないでしょう? あまり外へは出られてないようですし」
政宗「そうだなー。ま、そのうちな」
慶次「政宗は出不精だなー。散歩大好きな俺には理解出来ないよ。こんなずっと家に引きこもって本ばっかり読んでさ」
政宗「俺は休む為にこの森に来てんだ。お前らと戯れる為に来てんじゃねー」
慶次「その割には幸村はよく呼んでるみたいじゃん。毎日のおやつが楽しみだって、最近の幸村は口を開けば『政宗殿〜vv』だよ? 懐かれてるねえ」
政宗「あいつの食ってる様見るのは面白ェからな」
慶次「んじゃ俺も見せてやるよー。小十郎さん、俺にもかた焼きそばおかわりー!!」(言いながら政宗の座ったソファにダイブする慶次)
政宗「て…てめ、じゃれつくな、こら犬!! でかい図体して、いってーんだよッ【怒】!!」
慶次「なーなー、俺がばさらの森を案内してやるからさッ。可愛い女の子でも探しに散歩しに行こーよ!」
政宗「散歩なら一人で行けっ! 幸いここは何処でも自由にドッグランだ! って、いてーって、だから抱きつくな、うぜえッ!!」
慶次「んな事言わないで構ってよー」(きゅんきゅんと甘えるフリ)←犬の習性か?



幸村「ま、政宗殿………」



政宗「あ! 幸村、お前も来たのか…っ」
幸村「お、おはようございます……。その、小十郎殿が入れて下さいました」
政宗「あ、ああ、そうか。まあ座れよ。昼飯は食ったか? ……って、慶次、テメエ! マジで離れろ!」
慶次「へへへー。政宗が遊んでくれるって言わなきゃ離れないぜー♪」
政宗「犬は外で遊んでろ! それか、そこへsit down!!」
慶次「ぴくっ!」(これまた犬の習性でお座りする慶次)
幸村「………う」
政宗「? 幸村? どうした?」
幸村「うぅ……。政宗殿など………」
政宗「は?」
幸村「政宗殿など、嫌いでござるうぅ〜【悲】!!!!」(ダダダーっ)
政宗「は!? お、おい、幸村…っ!?」
慶次「……悪戯が過ぎたか」(くう〜んと伏せ状態で反省の慶次)



政宗「な、何だったんだ、あいつは…」
小十郎「政宗様が慶次殿とばかり楽しそうに遊ぶからヤキモチをやかれたのですよ」(昼食を運んできながら苦笑するコミックス版小十郎)
政宗「あん?」
慶次「そうそ。出来たばっかの友達がさー、違う子と仲良くすると妙に悲しくなっちゃう子っているじゃん? それよ、それ」
政宗「……お前は、分かってんならあんな事してんじゃねえよ。…てか、あれのどこが仲良く遊んでるように見えるんだっての」



元就「政宗」



政宗「うおっと、び、びびった…ッ! おい元就、テメエ気配消して背後に立つなよ。いつの間に人んち入りこんでんだ?」
元就「ノックはしたぞ。返答がないので了承と受け取った」
政宗「お前なあ……。まあ別にいいけどよ…」
慶次「あれえ…? ねえねえ、もしかしなくてもキミって、村外れの海沿いに住んでる、狐の元就サン?」
元就「誰だ貴様は。我は貴様など知らぬ」(冷ややか〜)
慶次「えー俺はあ、前田慶次! へえ〜、間近で見たの初めてだ! 噂に違わぬ美人さんだね? 男にしとくの惜しいよ、ホント」
政宗「お前、こんな狭い村に住んでて元就と話すのは初めてなのか? 越してきたばっかの俺んちには既にここまで遠慮なしのくせによ」
慶次「だってー、元就サンが越してきたのも結構最近だし? それにさ、元就サンと仲良くしようとするとスッゲー怒る怖い男がいるんだよね」
政宗「は? 誰だよ?」
元就「……ここは騒がしくて不快だ。政宗、あそこへは勝手に入らせてもらうぞ」
政宗「あ? ああ、別に構わねーよ、俺はこれから飯食うし。なら、小十郎」
小十郎「承知致しました。では元就様、こちらへ」
元就「……ふん」
慶次「村の誰とも馴れ合わない元就サンが。政宗の家に何しに来てんの?」(去り行く背中を見送りながら小声で)
政宗「何かな、俺ん家の書庫に興味ある本がたくさんあるんだと」
慶次「本? あー、何か片倉さんが新しく作ったっていう地下のお部屋?」
政宗「ああ。向こうの世界からこっちに運びこんでる所を見て興味湧いたんじゃねえの? いきなり偉そうに訪ねてきて、『貴様の持つ本を我に見せろ』だぜ? 変わった狐だな」
慶次「ここは変わりもんが多いからねえ〜」
政宗「お前が言うなよ……って、ん??」(ふと窓の方から視線を感じた政宗)



元親「じいいいいいい……」(恨めしそうな視線)



政宗「……おい慶次。あそこに未知の生物がいるんだが」
慶次「へ? あー、あいつが鬼っ子元親だよ! おーい元親、元気かい?」
元親「……! チッ……!」(ダダダーっと去って行く元親)
政宗「何だアイツ(汗)」
慶次「ヤキモチやいてんでしょ。元就サン、最近この家に入り浸りだもん。俺的には面白い事になりそうでわくわくすっけどね!」(笑顔全開)



政宗「…俺的には何かめんどくせー予感がするぞ。……あー、幸村も探さねえとな」(ため息)



――森に来てもちっとも休んでないんじゃないか?と自問自答する政宗様なのであった。




つづく



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