第42話「ザビザビザ〜♪」
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ばさらの森武闘会。その小休止中、ワンコ慶次に連れ去られた政宗は。 慶次「ここだ、ここ! 政宗、ここがかすがちゃんが崇拝する白豹の謙信ん家だよ!」 政宗「て、てめ……」(ゼエハアと息が荒い。らしくもなくでかいワンコに引きずられて思い切り調子を崩したらしい) 慶次「謙信は昨日の元就との試合で大分疲弊したらしくて、今は奥の間で休んでいるはずなんだ。かすがちゃんは十中八九、その謙信を“ケンシン的”に看病しているはずだ!」 政宗「面白くねえッ【殴】!!」(スパコーンッ!!) 慶次「ぎゃんっ!!」 政宗「……人を無理やりこんな山奥にまで連れてきた上、つまんねえジョークまでかましやがって…いっぺん死んどくか【怒】!?」 慶次「ま、政宗、その巨大ハリセンは一体どこから…【涙】」(両手で頭を押さえながら涙目のワンコ) 政宗「あ!? どこからだっていいだろーがっ! ……つか、丁度手元にあったんだ」 慶次「はぁ? 何なんだよそれは〜」 謙信「わたくしのはりせんですよ」 政宗「ぬおっ!?」 慶次「うわあっ!? け、謙信!? と、突然背後から現れるなよ、びっくりするじゃねーか!!」 謙信「ふふ……けいじ。おまえがあまりにくだらぬことをはっしたせいで、わたくしのいとしいはなたちがいっせいにこおってしまいましたよ」(周囲の氷土と化した辺りを見回す謙信) 慶次「そ、そんなに寒いギャグだったぁ…?」(きゅう〜んと耳と尻尾が垂れてしまうワンコ) 政宗「……つーか、お前がわざと氷の技使ったんだろうがよ」(謙信を胡散臭そうに見やりながらぼそりと呟く政宗) 謙信「そちらは、いせかいからきたわかきりゅうですね。だて、まさむね」 政宗「あ? ああ、まあな。アンタは、白豹の上杉謙信で、大虎のオッサン同様、この森の表の支配者なんだろ?」 謙信「ふふ……そのようなもの。わたくしにはかんけいのなきこと。……ですが、いまは。このもりのゆくすえには、わたくしもこころうれうおもいがいたします」 慶次「謙信! やっぱりお前も心配してたんだな! でも、大丈夫だよ、秀吉もあの魔王さんも、ここにいる政宗が止めてくれるから!」 政宗「おい…」 慶次「それで! かすがちゃんはいるかい!? 次の試合の相手はあの秀吉だろう!? 俺たち、かすがちゃんに試合を棄権してもらいたくて、それでここまでやってきたんだ」 謙信「なるほど」 慶次「謙信が止めてくれるんなら、それが一番いいんだけど…。謙信だって、かすがちゃんをあんな危険な闘技場へやりたくはないだろ?」 謙信「そうですね。そもそも、わたくしはこたびのたいかいに、かすががでることをゆるしてはおりません」 慶次「え?」 謙信「されどあのむすめは、みずからのいしをつらぬき、たたかいへおもむくことをきめたのです。あくまでも、わたくしのつるぎでありたいと」 慶次「そ、そんな! でも!」 謙信「ですから、かすがはこのたいかいがはじまってから、ここへはかえってきておりません」 慶次「え!?」 謙信「わたくしにとめられればまたまよいがでる…。ゆえに、たいかいがおわるまでもどるきはないのでしょう」 慶次「そ、そんな…。じゃあ、かすがちゃんは一体どこに?」 政宗「何か知らねーけど、いねーんなら仕方ねーな! この広い森ん中でたった一人の女を探すなんて不可能だしよ。というわけで、俺は帰らせてもらうぜ」 慶次「政宗!」(がしいっ!!と抱きつくワンコ) 政宗「なっ…!? だ…っから、テメエはいきなり抱き着くなっ!!」 慶次「こうなったら、秀吉の所へ行こう!」 政宗「はあ!?」 慶次「あいつに頼むんだ! 試合を放棄して欲しい、それが無理なら、かすがちゃんに怪我を負わせる真似だけはしないでくれ…って!」 政宗「そりゃあ……無理だろ。あのゴリラ、半端なく誰にでも容赦ねえ感じだったぞ」 慶次「でももうそれしかないよ…! 俺は、秀吉にこれ以上誰かを傷つけるような真似して欲しくないし…! 元の優しいあいつに戻ってもらいたいんだ! だから!」 政宗「……その話、断片的でよくは分かんねえけど、とにかくお前らは古い付き合いなんだな?」 慶次「うん…。親友、なんだ」 政宗「秀吉の野郎もそう思ってるんなら話は簡単だ。お前の頼みを断りはしないだろうよ」 慶次「………」 政宗「……どうやら奴さんの方はお前を親友とは見ていないようだな」 慶次「ちゃんと……話し合えば…!」 政宗「元々ゴリラも猿人の類だろ? 猿と犬が互いに分かりあおうってのが、そもそも無茶な話なんじゃねえのか?」 慶次「政宗っ! 俺は真面目に話してんだぞ!!」 政宗「知るかーっ! 腹減ってんだよ、俺はイライラしてんだ、悪いか!?」←というより、幸村のことでイラついているのは明らかなのに自分で気づいてない 謙信「む……? このおとは……?」(二人のやりとりを呑気に眺めていた謙信。ふと木々の生い茂る奥の道へと目を向ける) 政宗「ん…?」(釣られて政宗も動きを止める) 慶次「何だ? これ、蜂……? いや、違う…!?」 かすが「きゃあきゃあきゃあきゃあ! 何なのよこれは〜【汗】!!!」(突然森の茂みから飛び出してきたかすが) 慶次「かすがちゃんっ!?」 政宗「あの機械は…!」 かすが「お、おのれいつまでも調子に乗って、この私に奇怪な呪術など……! きゃ…きゃああ!!」(何度も反撃しようとクナイを持って意気込むのだが、結局倒れたり逃げたりと忙しい) 慶次「何なんだ、あの空飛ぶ変な生き物は!?」 メカザビー《ザビザビザビザビザビザビザ〜♪♪♪》 何と、かすがを執拗に追いかけ、恐ろしい重低音の爆裂聖歌を熱唱しているのは、昨日も幸村たちを監視していたスパイロボ、メカザビーだった!! メカザビー《ザビザビザビザビザビザビザ〜♪♪♪》 かすが「きゃああ! も……もう…駄目……」(両手で両の耳を押さえながらがっくりと膝を折るかすが) メカザビーはかすがに多大なダメ―ジを与えている! かすがは意味不明なものや気持ち悪いものが大嫌いな可愛い女の子なのである!! 政宗「う……何か俺も激しく気持ち悪くなってきたぞ…(汗)」 慶次「うわあ!? なな、何だ、この脳みそを掻き回されるかのような酷い音痴は〜【苦】! お、俺は耳がいいから余計に堪え、る……!」←ばったり。倒。 政宗「!? お、おい、犬! バカ慶次!? お前、大丈夫か!?」 メカザビー《ザビザビザビザビザビザビザ〜♪♪♪》 かすが「うぅ……お許しを…謙信、さま……」(続いてかすがもばたりと倒れる) 政宗「お、おい! くそ、あの変態ロボット…!」 謙信「やれやれ…。わたくしのあいするゆきげしきになんとふつりあいな……」(ゆらり……) メカザビー《ザビザビザビザビザビ……ザ……ピ、ピー、ピーガーガー…!!》 政宗「ん!?」 謙信「おねむりなさい」(チャキン、と刀を鞘にしまう謙信) 政宗「は…速っ……」 メカザビー《ピーピー……OH、ムカツクネ〜。自爆、スルヨ》 政宗「はぁ!?」 謙信「まさむね、そなたは慶次を」 政宗「なっ…ちょっ…待て!!」 政宗が叫んだのとほぼ同時。 メカザビーは突然自爆し、巨大な轟音と共にその機体を粉々に飛び散らせて消えてしまった!! メカザビーは敵から致命的な攻撃を受けると、よほどの事がない限りは自爆するようセットされているのである! 政宗「テメエ……俺に重い犬の方を押し付けやがって……」(その爆炎の中、何とか慶次を肩に担いで謙信のいる門前にまで現れる政宗) 慶次「ぐうん……」←目を回し中 謙信「わたくしがわたくしのつるぎをはこぶのはとうぜんでしょう?」 かすが「謙信…様ぁ……」←気絶しながらも謙信を呼ぶかすが 謙信「ふふ…なんといとおしいつるぎ。けいじやそなたも、だいじないようでなによりです」 政宗「そう見えるのか!? おい、これがッ!?」←爆炎にやられてボロボロ。 謙信「そうこえをあらげるのはおよしなさい。ですが、このふかかいなこうげきによって、けいじやわたくしのねがいもかなった」 政宗「ん…」 謙信「かすがは、これでりたいあでしょう。かわいそうに、ここへくるまでにずいぶんとこうげきをされたようです。これではしあいにのぞむのはむりですね」 政宗「……そうか。それにしても、おい、アンタ。アンタは何であの壮絶な破壊音にびくともしなかったんだ?」 謙信「わたくしにはなにもきこえませんでしたよ」←変な頭巾被ってるから耳が隠れてる 政宗「なるほど(汗)」 謙信「それよりそなた、あのきっかいなめかにみおぼえが?」 政宗「あ? ああ…まあ、な……」 砕け散ったメカザビーの残骸を眺めながら政宗は思案する。 何はともあれ、かすがはメカザビーの奇襲攻撃により、トーナメント棄権!! 以下次号…!! |
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つづく |