第44話「ご飯はまだ?」


ばさらの森武闘会。…は、まだ始まりません。

パンダ「どうされますか政宗様。この崖下に何かあるのは間違いありません。明智の野郎もそこに」
政宗「そうだな。だが、腹が減った」
パンダ「は?」
慶次「ん?」
政宗「考えてもみろ、小十郎。もしこのまま俺ら3人だけで乗り込んでいって、下が悪の巣窟だったらどうする? とんでもねェヤバイ奴らの根城だぜ、そこにはラスボス級のどでかいモンスターは勿論、雑魚キャラも含めて、ぶっ倒さなきゃならねえ敵が無限大にはびこってやがるんだ! どうだ、激しく面倒臭ェだろうが!? しかも今の俺は腹が減ってて、本来の3割くらいしか力が出ねェ!」
パンダ「ま、政宗様…。何やら普段の役回りと逆ですが…。幼き頃の政宗様はいつも無鉄砲で、そういう悪の巣窟なら、むしろ率先して飛び込んで行かれるような……それをこの小十郎が思いとどまって頂くよう、必死にお止めしたものです」
政宗「あ〜? そうなのか? そりゃやる気レスな主で失望させて悪かったな」
パンダ「いえっ! その思慮深き慎重に期したご判断、ご立派です! この小十郎、政宗様のご成長にただただ胸が熱くなる思いで!」(握り拳)
慶次「慎重って言うか、政宗は単に腹が減ってるだけだろ? しかも3人で乗り込むって、俺を頭数に入れるの止めてくれよな〜」
政宗「あぁ!? てめ、俺を散々テメエの私事に巻き込んでおいて、こっちの落とし前はこっちで処理しろってか?」
慶次「いや、まあ。そりゃあ、この森の危機に関する事だったら、そりゃ手は貸すけどさ。でも明智はトーナメントも棄権になったし、見たところ織田軍から強力なバックアップを貰ってる感じでもないだろ。あいつが一人で動いているだけなら、そんなに大きな事は出来ないと思うし。やっぱり当面の敵は豊臣軍だぜ。秀吉の暴走を止めないと!」
政宗「暴走って、俺個人としては、むしろあいつにこそ何の恨みもねーんだがな」
パンダ「実際、豊臣秀吉は正々堂々トーナメントを勝ち上がっているだけだしな」(「しかも何で政宗様がやらなきゃいけないんだ?」という疑問の顔を慶次に向けるパンダ。ごもっとも)
慶次「そ! そうだけど! でも、秀吉の背後にいる竹中半兵衛! あいつが何か企んでいるのは間違いないんだよ! それでこの森を皮切りに世界征服とか、秀吉を色々と悪い道にそそのかしているんだよ! 多分!」
政宗「多分かよ! しっかし、前から思ってたんだが、お前らって複雑な三角関係なのか?」
慶次「は、はあ!? 何言ってんだよ、い、意味分かんないんだけどっ(焦)!?」
パンダ(……政宗様も他人事だと鋭いな……)
政宗「まっ、何はともあれ、とりあえず一旦引き揚げだ。今日は偶然明智の野郎の隠れ家か何かが分かっただけでもよしとしようぜ。とりあえず帰還だ、帰還! そんで、飯!」
慶次「……政宗って意外にスローライフ推奨キャラ?」
政宗「何度も言うようだが、俺はこの森にはバカンスに来てんだ! 休養させろッ!」


場所は変わって、パンダ小十郎宅の前。


政宗「ふー、やっと戻ってこられたぜ。遠いの何のって」
慶次「本当のどうぶつの森は狭いんだけどねー。……って、ん?」(ふと家の前に立っている人物に目を留めて最初に足を止める慶次)←躾のなってない犬だから先頭を歩いていた
政宗「ん?」
島津「お……。独眼竜、何じゃ、おんし外におったのか。こりゃあ丁度良かった」
政宗「何だよオッサン、俺に何か用か? つーか、歩き回ってて平気か?」
島津「ぶわっははは! まぁ、おまはんにふっ飛ばされてちぃとばかし腰が痛いがのう。じゃどん、あれしきの事で早々倒れるおいではなか!」
政宗「ふ…それよりどうしたい? 話があるなら中入れよ。丁度俺らはこれから飯に――」

幸村「うおおおおおおおおおお!!!!」(バターン!!と、勢いよくドアが開かれて飛び出てくる幸村)

島津「ぶごおっ!?」(そのドアにもろ身体がぶち当たって顔を押さえる島津のおいちゃん)
幸村「はっ!? かかかかたじけないっ!? 大丈夫でござるか!?」
島津「ぶ…ははは、心配せんでよか。じゃが、こりゃたまげたわい……」(ひりひりする鼻面を押さえて笑う島津のおいちゃん)
幸村「ほ、本当に申し訳ない……って、き、貴殿は島津義弘殿!? 政宗殿との試合ではあの鋭く力強い太刀筋に某も身震いする思いで!!……って、ん?」
政宗「よう、幸村。もう具合はよくなったのか?」
幸村「まっ……まままま、政宗殿!?」(ずざざざと後ずさりする幸村)
慶次「遅っ。今さら気づいたのかよ幸村! ついでに俺たちもいるよ〜?」
幸村「〜〜〜〜ッ」
政宗「ん? 何だまだ顔が赤いな。やっぱ熱でもあるんじゃねーか、大丈――」
幸村「う、うあああああああ!!」(ぼっと顔中を赤らめる幸村)
政宗「ぬおっ!?」
幸村「破廉恥でござるうぁああああああああ!!!!!」(脱兎)
政宗「……ッ!」
幸村「うおおおおおおおお!!!!!」(そして森の奥へ消える)
慶次「な、何だあ……? あっという間に見えなくなっ……」
佐助「あ。ありゃりゃ。真田の旦那、もしかしてロケット噴射の如くどっか行っちゃった?」(ひょっこりと家の中から顔を出す佐助)
小十郎「既に恥ずかしさから全身火を噴いていましたしね。佐助殿のお話があまりに過激だったのでは?」
佐助「そりゃないよ〜。俺サマは真田の旦那が説明しろって命令してきたのを素直に実行しただけでしょーが」
政宗「……おい忍。幸村に何を言いやがった」
佐助「わっ、それで帰ってきた早々、あんたもその殺気立った顔やめてくれる(汗)? 俺サマとんだとばっちりだよ〜…」
小十郎「政宗様、お帰りなさいませ。パンダとも合流されたのですね」
パンダ「おう。政宗様に食事の支度はしてあるだろうな?」
小十郎「無論、ぬかりなく。そちらはどうだったのです? 問題は解決しましたか?」
パンダ「まぁそれは中に入ってから……政宗様?」
政宗「ちっ…しょーがねーな…。幸村を連れ戻して来る。飯の支度しておいてくれ」
慶次「えっ、探すの? あの様子じゃ、またこの森中を駆け回ってるよ?」
政宗「けど、俺を見てあんな風に逃げ出されちゃ、気になって飯なんざ食ってらんねえ」
佐助「独眼竜の旦那に探されたら余計動きが止まらないと思うんだけどなぁ…」(ぼそり)
政宗「あーっ、くそ! しっかし、俺は何度あいつをこうやって探し回んなきゃならねーんだ!?」
慶次「俺は行かないよ〜。ご飯食べて待ってる〜」
パンダ「申し訳ありませんが、私も今後の明智の動向を調べないといけませんので」
佐助「俺サマもちょっとやるコトあるからパスね。旦那見つけたらよろしく♪」
小十郎「食事の支度はお任せを」
政宗「結局俺一人かよ、探すのは! ったく…!」←と言いつつ、一人で行ってしまう政宗
慶次「政宗は何だかんだで、幸村の事が気になって仕方ないんだねえ」
佐助「あの鈍さは罪だね」
パンダ「しかし政宗様はご成長された…(涙)!」
小十郎「そうですねえ。……おや」


島津「と、取り込み中のようじゃのう……」(ぽっつーん)


以下次号…!!




つづく



戻る